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ハリルが怒りの酷評「最悪な試合」「恥をさらした」

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厳しい表情で試合を見つめるハリルホジッチ監督

[10.10 キリンチャレンジ杯 日本3-3ハイチ 日産ス]

 ふつふつとした怒りがこみ上げてくるようだった。日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督は「長い間、監督を務めているが、こんなに内容の悪い試合は見たことがない」と打ち明け、「私が就任して、一番良くない試合だった。監督をしていて、こんなに悪い試合はなかった」と酷評した。

「就任して28試合目だが、最悪な試合だった」。国内組で臨んだ東アジア杯を含めれば、ハリルジャパン31試合目にして初の1試合3失点。しかも、前半17分までに2-0とリードしながら逆転を許し、後半アディショナルタイムに追いつくのが精いっぱいだった。「多くのチャンスをつくって2-0にして、選手たちの頭の中に何が起きたのか分からない。得点を取ったあとにすべてが止まってしまった」。そう呆れたように言葉を吐いた。

 6日のニュージーランド戦(2-1)から先発9人を入れ替えた。FW杉本健勇、MF小林祐希がA代表初先発。GK東口順昭は約1年半ぶりの代表戦出場で、DF昌子源とDF槙野智章のセンターバックコンビも初めてだった。中盤の小林、MF倉田秋、MF遠藤航は3人合わせても17キャップ。経験不足は否めなかったが、それを差し引いても2-0からの展開は受け入れがたかった。

「結果だけを求めるなら、このようなメンバーは選ばない。しかし、トライしないといけない選手がたくさんいた。いろんな選手に可能性を与えないといけない試合だった」。来年6月開幕のロシアW杯に向けたサバイバルが本格化する中、多くの選手にチャンスを与えた。しかし、ピッチ上の光景は予想外のものだった。

「代表としてチャンスを与えたのなら、もう少し違うものを見せてほしかった。そこがちょっと私が失望しているところ。なぜこんなにパニックになったのか。何をすべきか分からない状態になった」。指揮官は「心理面で何人かの選手は弱いのかな、もろいのかなと感じた」と、選手のメンタル面に言及。「何人かの選手の弱さ、もろさにはちょっとガッカリしている。相手もそこまで強豪国ではない。ナイーブな面とパニックになった面。いろんな面を分析しないといけない」と厳しい表情で言った。

「気が緩んだ選手、守備で帰らない選手、準備できていない選手がいた」。そうも指摘すると、「繰り返すが、メンタル面でもろさが見えた。そこが一番ショックを受けたところだ」と繰り返した。

 前日会見では「この場を借りて申し上げたい」と自ら切り出し、「明日、多くのサポーターに来てほしい。噂によると、まだチケットが余っている。つまり、まだまだたくさんのサポーターが必要ということ」と、ファン・サポーターに来場を呼びかけた。日産スタジアムには空席もあったが、親善試合で4万7420人の観衆が集まった。「サポーターの皆さんに『来てください』と言ったにもかかわらず、こんな試合をしてしまって、私のほうから謝罪したい」とも述べた。

「みんなの前で恥をさらしてしまった」「このような試合のあとにW杯本大会の話をすると、ちょっと愚かな人間だと思われてしまう。そんな内容の試合だった」。憮然とした表情の指揮官は同時に「ただ、我々がやってきたことがすべて台無しになったわけではない」とも指摘。「私たちがここまでやってきた道筋には自信を持っていい。ただ、目を閉じてはいけない。特に今夜の試合に関してはそうだ」と強調した。

(取材・文 西山紘平)

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