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香川、劇的ドロー弾も「勝ち切らないといけないゲーム」と厳しい表情

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同点ゴールを奪った日本代表MF香川真司(ドルトムント)

[10.10 キリンチャレンジ杯 日本3-3ハイチ 日産ス]

 1点のビハインドを背負ったまま、時計の針は後半の45分を回った。残された時間はアディショナルタイムのみ。敗色濃厚となったチームを救ったのは日本代表の背番号10、MF香川真司(ドルトムント)の右足だった。

 4日前のニュージーランド戦に先発出場して後半15分までピッチに立った香川は、ハイチ戦はベンチからのスタートとなった。前半17分までに2点をリードした日本だったが、後半8分に同点に追い付かれてしまう。すると、同14分にMF倉田秋(G大阪)に代わって香川がピッチへと送り込まれる。

 ニュージーランド戦では4-2-3-1のトップ下に入ったが、この日は「フィットするんじゃないかなという感覚を得ている」という4-3-3のインサイドハーフの位置に入ってMF井手口陽介(G大阪)と並ぶ。だが、「ちょっとペースがダウンしていたので、もう一つギアアップしないといけなかった」とピッチに立ったものの、「皆が攻撃的に行っている分、人数は前にいたけどコンビネーションや連動性はなかなか生まれなかった」と振り返るようにPA内への進入回数は限られ、逆に後半33分にはハイチに逆転ゴールを許してしまった。

 2-3とリードされたまま、後半アディショナルタイムに突入するが、90+2分に香川が意地の同点ゴールを泥臭くねじ込む。

「それまで効果的なチャンスが生まれていなかったけど、あの場面では唯一、(原口)元気から車屋(紳太郎)に入って攻撃のリズムが出て速い攻撃ができ、連動性のある攻撃ができた場面だった」

 FW原口元気(ヘルタ・ベルリン)のパスから左サイドを駆け上がったDF車屋紳太郎(川崎F)がグラウンダーのクロスを送ると、「両サイドバックが高い位置をとってビッグチャンスが生まれた」と流れてきたボールを逆サイドのDF酒井高徳がシュート。車屋のクロスに反応してゴール前でつぶされていた香川だったが、「良いところに来たから触ろうと思った」と右足で合わせてネットを揺らし、同点ゴールを奪取した。

 苦しんだチームを救う得点となり、「ゴールすることは、どんな形であれ、自分たちに自信を与えてくれる」と話しながらも、「ゲームをコントロールして勝ち切らないといけないゲームだった。引き分けで終わったのは最低限の結果」と声を落とす。

 来月にはブラジル、ベルギーと強豪国との連戦が待ち構えている。「今日のゲーム内容に関しては課題が残るし、自分自身も入った中で感じることがあった」と厳しい表情を見せた背番号10は、「これからブラジル、ベルギーと考えたとき、逆にここで経験できたことをプラスに捉えていくしなかいし、次につなげていくしかない」と気持ちを切り替えて前を向こうとしていた。

(取材・文 折戸岳彦)

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