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「今年は守備のチーム」の“ドリブル軍団”中央学院、テクと好守で6-0発進:千葉

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中央学院高は6-0で初戦を突破した

[10.9 選手権千葉県予選決勝T2回戦 東邦大東邦高 0-6 中央学院高 中央学院大つくし野G]

 9日、第96回全国高校サッカー選手権千葉県予選決勝トーナメント2回戦の2試合が行われた。15年度大会4強の中央学院高と東邦大東邦高との一戦は6-0で中央学院が快勝。中央学院は10月28日の3回戦で専修大松戸高対日大習志野高戦の勝者と戦う。

 この試合が初戦の中央学院は、試合開始直後に個人技でPAの狭いスペースを突破した左SB福田望久斗(3年)が先制ゴール。浜田寛之監督が「1試合ずっと走れる。今まで見た中で一番体力がある」と評する元FWの左SBのゴールによって幸先良くリードを奪うと、15分には左サイドからドリブルで持ち込んだFW清野英国(3年)がMF石澤光希(3年)へ繋ぎ、最後はこぼれ球を清野が押し込んで2-0とした。

 早々に2点を先取した中央学院は、切り替えの非常に速い守備によって東邦大東邦に思うような攻撃をさせず、押し込み続ける。この守備の部分が“千葉のドリブル軍団”中央学院の今年の特長だ。

 浜田監督が「今年は守備のチーム。相手陣地で取る守備を夏にやりこんできた」と説明し、下級生時から主軸を担う10番MF永井颯太(3年)が「一昨年のベスト4へ行った代に似ている。(今年の特長は)切り替えとかを速くするサッカー」という中央学院の堅守によって、東邦大東邦は奪ったボールを蹴り出す選択になってしまい、相手にボールを拾われてまた攻められる展開が続いてしまう。

 今年はGK福与拓武(3年)やDFラインにも長身選手を擁する中央学院は守備からリズム。そして、主将のMF山内彰(3年)が後方からボールを運び、右の伊藤拓巳(2年)と左の福田がウイングプレーヤーかのような位置取りで攻撃に絡む中央学院は、波状攻撃を繰り出した。

 だが、東邦大東邦の連続して行うプレッシングとCB泉水将吾(3年)らが見せる球際での厳しいチェックの前にボールを簡単に失ってしまうシーンも散見され、前半に関してはコンビネーションによる崩しも不発。ボールを失った際に取り切れないシーンもあり、26分には東邦大東邦の右SB本多健人(3年)にインターセプトから一人でクロスにまで持ち込まれ、前半終了間際にもビルドアップを相手の俊足FW石井智大(2年)に引っ掛けられてピンチを迎えるなど十分な内容のサッカーができなかった。

 東邦大東邦は後半立ち上がりも気迫十分のプレーを見せる10番MF伊藤元(3年)がインターセプトからシュートへ持ち込むなど中央学院ゴールを脅かす。だが、ハーフタイムに浜田監督から「遊べ!」という声も飛んでいた中央学院は“遊び”もある、らしさを含めた攻撃によって東邦大東邦を突き放した。

 10分、左サイドからパス交換によってPAへ切れ込んだ福田が、ルーレットターンをしながらのラストパス。ボールを受けたFW日野仁太が、こちらも鋭いターンで相手のタイミングを外しながら右足シュートを放ち、3-0とした。

 「今年は守備が特長」とは言え、足技優れた選手たちが並ぶ中央学院はともに注目のテクニシャンである永井と清野を中心に、相手の逆を取るドリブルでDFを剥がしながら前進。31分には「後半は相手もバテて足も止まって、ドリブルとかでみんなで崩すことができたと思う」という永井が十分すぎるほどのキープでDFを引きつけてから出したスルーパスで日野が抜け出し、4点目のゴールを決める。

 健闘していた東邦大東邦の足が止まり、試合終了間際もチャンスを作り続ける中央学院はアディショナルタイム、日野のループパスから1年生MF古山颯雅が豪快な右足ボレーを決めて5点目。直後にも永井の仕掛けからパスを受けた日野が、再びターンしながらの右足シュートをゴールへ突き刺してゴールラッシュを締めくくった。

 快勝した中央学院だが、永井は守備面について、「もう一歩速くして蹴らせないくらいやらないといけない」と指摘。また清野は「コンビネーションを高めてパスを受ける人の選択肢が何個もできるようにしていきたい」と課題を口にしていた。

 目標はもちろん、全国出場。清野は「自分たちらしいサッカーをしていたら自然と勝てると思うので、緊張とかせずに自分たちのサッカーをしたい」と力を込めた。千葉で異彩を放つ“ドリブル集団”はやってきたことを迷うこと無く表現し続けて、激戦区・千葉を勝ち抜く。 

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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