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[MOM2249]日体大柏FW高橋航太(3年)_延長同点ヘッド!3か月ぶり実戦の主将がチーム救う!!

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延長後半1分、同点ゴールを喜ぶ日体大柏高FW高橋航太主将(9番)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.14 選手権千葉県予選決勝T2回戦 千葉明徳高 1-1(PK3-5)日体大柏高 日体大柏高G]

 実戦は3か月ぶり。怪我から復帰して今週、ようやくチームのトレーニングに完全合流したばかりだという主将が日体大柏高を救った。

 延長前半3分に先制された日体大柏はその2分後にFW高橋航太主将(3年)を投入する。その高橋は延長後半1分にMF有坂翔耶(3年)の左クロスを頭でゴールへ突き刺し、同点ゴール。ファーサイドからDFの前に入り込んで放った渾身ヘッドが、自身にとっても「復活弾」となった。

 高橋は「今まで3か月くらいチームを空けていたので、ここでキャプテンとして救ってあげないと意味が無い。何がなんでもというのがありました」。ゴールが決まった瞬間、怪我を乗り越えて来た主将の思いを知るチームメートたちは喜びを大爆発。サブ組の選手たちはタッチラインを越えてピッチ内に入り込み、殊勲の高橋に飛びついていた。
 
 高橋は今年、チームの得点源として関東大会予選優勝などに貢献。だが、6月の関東大会初戦で左膝を負傷。主将を欠いたチームはインターハイ予選準決勝で敗れ、目標の全国出場を逃してしまう。高橋は大学のセレクションに備えて7月の県リーグ1部で復帰し、2試合に出場したが、再受傷。その後3か月もの間、離脱することになってしまった。

 それでも、負傷中にやってきたことがチームの危機で結実する。「自分がインターハイ出れずに流経(流通経済大柏高)に負けて申し訳ない気持ちがあったし、リーグ戦も負けが続いてしまっていた。でも、戻ってきた時に足手まといでは意味が無いと思って、筋トレをしっかりとやっていました。左足の強化や体幹をやって、ヘディングの時のブレを無くして、それが本当に今日来てくれた」。コンディションはまだ万全ではなく、実戦復帰の予定はまだ先だったという。それでも、チームの危機でピッチに立った男は、体幹強化によってもたらされた同点ヘッドを素直に喜んだ。

 チームにとって、彼の存在は大きい。元柏の酒井直樹監督は「日体の嫌な仕事をやってくれた。ピリッとする言葉を言い続けてくれた」と感謝する。自発的に厳しい言葉を発する選手が少ない中、高橋は「ここでオレが何かしないと日本一になれない」と進んで“嫌われ役”になり、厳しい指摘や、鼓舞する言葉をチームに言い続けてきた。その姿勢は復帰した後も変えるつもりはない。

 目標は千葉制覇、そして日本一だ。夏は休養に充てて選手権のために調整してきたが、本人は「コンディションはスタートで出るほどじゃない」ことを認める。3回戦、その先の戦いでチームを救うためにはまだまだ状態を向上させなければならない。例え、先発ではなくて、チームのために全力を尽くす考え。「チームがピンチ担った時に自分がキャプテンとしてチームを救えるような選手になりたい」と意気込む主将がその得点力とリーダーシップによって、再びチームを勝利へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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