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[MOM2253]前橋商DF藤生春樹(3年)_昨夏全国2発のFWから、欠かせない存在のCBに

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前橋商高CB藤生春樹(左)は伝統校の守備の中心として奮闘

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.21 選手権群馬県予選準々決勝 共愛学園高 1-1(PK3-4)前橋商高 前橋総合]

 昨年のインターハイでは西京高との1回戦で先制ヘッドを決め、帝京大可児高との2回戦では後半アディショナルタイムに決勝ヘッドを決めている。全国舞台で活躍したストライカー、藤生春樹(3年)は現在、前橋商高の守備の柱に。今年のインターハイ予選後にコンバートされたCBが、元Jリーガーの笠原恵太監督も認めるプレーで勝利に貢献した。

 前に強いCB李守文(3年)とコンビを組む藤生は、的確な動きで李や他のDFたちをフォロー。相手にドリブルで仕掛けられた際にはセカンドディフェンダーとなってカバーリングし、背後を狙ってきた攻撃に対しても冷静に奪い取った。

 一瞬の読み、予測力を武器に球際でも奮闘。一方で光っていたのが攻撃面だ。GKからビルドアップするチームの中で藤生の存在は大きかった。プレッシングしてくる相手FWの脇へ巧みに持ち出して縦パスを通すなど、判断良いプレーによって最終ラインで数的優位を作り出していた。

 笠原監督は「インターハイまでは5枚で守っていました。4枚で守ることができなかった」と説明する。チームの攻守を引き上げるために、採用されたのが藤生のCB起用だった。指揮官からの打診に対し、藤生は「前橋商業なので試合に出れるだけありがたい。CBでも試合に出られるのならば、やれることはやりたいと思いました」と快諾。そこからわずか4か月ほどで攻守において欠かせないCBに成長してきている。

 CB転向当初は練習試合でも毎試合のように失点していたという。だが、藤生は毎回の練習や練習試合で課題を見つけてそれを改善。その作業を繰り返してきた。また「(コンビを組む李)守文がどういうポジション取りをして、どういうことが得意で、どういうことが苦手なのか、自分で把握して上手く連係を取れてきたのかなと思っています」と説明したように、コンビを組む李のプレーを研究し、互いに良さを出すためにどうすれば良いか考えてきた結果、自身のプレーも、チームの守りも向上することができている。

 インターハイで活躍した藤生だが、選手権での全国出場は悲願だ。「去年は自分、2年だったんですけれども、3年生の力にあまりなれていなくて負けに多くかかわってしまったかなという部分がある」という。それだけに今回の選手権は特別。準決勝の前橋育英高戦へ向けて「(前橋育英は)全国でも、とても良いチームなので出し惜しみしないで、後悔ないように。(準決勝まで)1か月あるのでそこで準備をしっかりしていきたいです」と誓った。強敵の攻撃を跳ね返して、選手権全国出場へ王手をかける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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