beacon

「自分たちが歴史を変える」ために必ず43回目の全国へ。秋田商が6発逆転で決勝進出!:秋田

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半32分、秋田商高はMF出口陽介が頭で決めて逆転

[10.26 選手権秋田県予選準決勝 秋田商高 6-1 大曲工高 八橋陸上競技場]

 第96回全国高校サッカー選手権秋田県予選準決勝が26日に行われ、最多43回目の全国出場を目指す秋田商高が大曲工高に6-1で逆転勝ち。秋田商は28日の決勝で新屋高と戦う。

 インターハイ出場校・秋田商優位と思われた一戦だが、先制パンチを浴びせたのは大曲工の方だった。開始4分、左サイドのゴールライン際を強引に突破した左SB久米真楠(3年)がラストパス。これにフリーで走り込んだFW鈴木広光(2年)が右足ダイレクトで合わせて、大曲工が先制した。

 CB奈良学主将(3年)が「気持ちの部分の問題。フワフワ入ってしまった」と振り返る秋田商は、その後も大曲工にセカンドボールを拾われると、相手のカウンター、ロングボールをタッチラインへ逃げるようなシーンが続いてしまう。ボールを奪いきれずに相手の攻撃回数を増やしてしまい、奪ってからの攻撃もリズムが良くなかった。だが、後方から攻撃を組み立て、中盤を活用したパスワークによって右のMF伊藤直人(3年)と左のMF伊藤颯(3年)の両翼の前のスペースへボールが入りだすと、秋田商の攻撃は止まらない。

 20分、MF出口陽介(3年)がゴールエリアまで飛ばした右ロングスローを大曲工がクリアミス。こぼれ球に奈良が飛び込むと、最後は伊藤颯が押し込んで同点に追いついた。大曲工はミスから追いつかれたものの、球際でのチェックが厳しく、簡単には良い形でシュートを打たせない。そして、キープ力のあるMF高橋遼馬(2年)やFW佐藤凌吾(3年)が何とか前進しようとしていた。

 だが、秋田商は小林克監督が「繰り返したところが良かった」と頷いたように、両ワイドから仕掛けを繰り返して相手の守りをこじ開ける。32分、伊藤颯がゴールエリアへ蹴り込んだ右CKにフリーで飛び込んだ出口が勝ち越しヘッド。39分には左サイドからの崩しで3年FW田近晴登(3年)がPKを獲得すると、自ら左足で蹴り込んで3-1とした。

 後半8分には伊藤颯の左足FKで4点目。27分にはMF鈴木銀華(2年)の右CKが相手のミスを誘い、最後はMF松野竜士(3年)が豪快に蹴り込んで5-1とした。メンバーを大きく入れ替えた秋田商は交代で入った2年生たちがエネルギッシュな動き。「交代選手もまずまずやってくれた」(小林監督)という中、終了間際にも中央から崩し、最後は抜け出したFW鈴木宝(2年)が6点目のゴールを決めて試合を終えた。

 秋田を制して、次の目標にチャレンジする。秋田商は昨年度の選手権初戦で滝川二高(兵庫)に0-2で敗戦。秋田県勢の連続初戦敗退記録は12に伸びた。奈良は「滝二とやって、一つひとつの精度が全然違うなと思いました。(周囲からの連敗ストップへの期待は大きいが)自分たちはそれをモチベーションにしている。『自分たちが歴史を変える』とチーム内でもモチベーションが高いと思うので今年こそ勝ちたい」と宣言する。

 全国で勝つための力を磨いてきた。昨年のチームの強みだった前線からの守備に加え、今年は前線のコンビネーションやサイドアタックに自信を持っており、ベンチにも武器を持った選手が控えている。精度、スピードの部分はまだまだ向上の余地があるだけに、優勝してより力を磨く機会を得ることができるか。

 出口は「1、2年の時の先輩のように、後輩を全国へ連れていくというのも使命だと思うのでまず出ていきたいです」と語り、奈良も「気持ちを全面に出して今年の試合で一番いい試合をやりたい」と意気込む決勝で勝利して、43回目の全国を戦う機会を得る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

TOP