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“いるべき場所”まであと1勝…夏から準備してきた星稜が1点を守り抜き金沢桜丘を下す

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決勝点を奪った星稜DF小平大輔(2年、12番)

[10.28 選手権石川予選準決勝 星稜高 1-0 金沢桜丘高 金沢市民サッカー場]

 第96回全国高校サッカー選手権石川予選の準決勝が28日に行われ、星稜高金沢桜丘高が対戦した。後半14分にDF小平大輔(2年)が挙げた1点を守り切った星稜が1-0で勝利。星稜は11月4日の決勝で遊学館高と対戦する。

「トーナメントは負けたら終わりという緊張があるから、リーグ戦とは違って思い切りが出せなかった。怯えるわけじゃないけど、オドオドする感じがあった」。試合後、河崎護監督がそう振り返ったように、県勢最多となる26回の選手権出場を誇る星稜ですら、緊張から立ち上がりは思うように決定機が作れなかった。

 ボールを持ったら素早くサイドに展開し、MF高岸憲伸(3年)の仕掛けや、MF松井渉太(3年)とDF中川真太朗(3年)の二人が両サイドから繰り出すロングスローで金沢桜丘のゴールに迫った。だが、「クロスの質やゴール前への入り方が良くなかった」(DF敷田唯、3年)ことから相手ゴールを脅かすことができない。それならばと、前半12分にはパスでの揺さぶりから左サイドに展開。フリーでボールを受けた高岸が鋭い切り返しでマークを外し、ゴールを狙ったが、シュートはわずかに右へ外れた。

 対する金沢桜丘は、的確なカバーリングを見せたDF太田直弥(2年)やGK尾籠佑太(3年)を中心に集中を切らさず失点を回避。ボールを奪ってからは、素早いカウンターで好機を伺った。前半16分には、左サイドでMF塚村慶太(3年)、MF山崎稔琉(2年)と繋ぎ、ゴール前のFW奥村祐平(1年)がバランスを崩しながらシュートを放ったが、枠を捉えることができず。両者、無得点のまま前半を終えた。

 前半の出来について、星稜の敷田は「苦しい試合になるとは予想していたけど、想像以上だった」と振り返ったが、「無得点は想定内」と指揮官は慌てず。「前半は中の枚数が足りなかった」(河崎監督)という反省点を活かし、後半頭から、179cmのDF津野響大郎(3年)を前線に投入し、相手に対する圧力を強めた。

 すると、後半14分には左サイドのショートコーナーから高岸がゴール前にクロス。相手DFが弾いたこぼれ球を小平がダイレクトで冷静にゴール左隅に叩き込んだ。星稜は以降も攻撃の手を緩めず、後半だけで15本ものシュートを打ったが追加点は奪えず、タイムアップ。決定力不足という課題が残る試合となったが、「こういうプレッシャーがかかる試合を勝てたことが大きい」と河崎監督は及第点を与えた。

 選手権予選の連覇が『17』で止まった昨年度の大会から一年。星稜が“いるべき場所”である選手権の舞台へ戻るため、今夏は戦うことを意識して、準備を進めてきた。きっかけとなったのは、夏のインターハイだ。終了間際の劇的ゴールで四国学院大香川西高を破り、初戦を突破したものの、続く2回戦では静岡学園高に1-3で完敗し、「インターハイで全国のレベルを知れたのは大きい。自分たちの力の無さを知れた」(敷田)。

 インターハイ後からは、全国での戦いを想定し、「ハードワークができる選手」を基準にしたメンバー選考が行われたほか、「また全国に戻って、日本一を獲るのが目標だけど、インターハイが終わってからは、“まず県大会を絶対に獲るぞ”というメンタル面の強さに拘ってきた。誰よりも、どのチームよりも気迫を持って試合に挑み、技術でも負けないチームを目指してきた。そこからは気持ちのこもった練習ができていると思う」(敷田)と戦う姿勢にも拘った。

「勝たなければ、ここまで頑張ってきた意味がない。サッカーは結果で評価されると思うし、全国大会に出て、登録メンバーから外れている3年生にもう一度チャンスが回ってくるように頑張りたい」と高岸が話すように、取り組みの成果を示すためにも残り1試合、戦う姿勢を全面に押し出し、白星を手繰り寄せる。

(取材・文 森田将義)
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