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[MOM2270]遊学館FW山本龍治(3年)_ブレーク中の技巧派FWが決勝導く“3度目の正直弾”

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遊学館を決勝へと導いたFW山本龍治

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.28 選手権石川予選準決勝 遊学館高 2-0 金沢高 金沢市民サッカー場]

 遊学館高にとって3年ぶりの予選決勝進出を引き寄せたのは、今予選でブレイク中のFW山本龍治(3年)が放った一撃だった。これまでの試合と同じく、FW高木莉旺(3年)と2トップを組んで試合に挑んだが、準々決勝までとは注目度が段違い。全国行きが近づくプレッシャーや、スタンドから聴こえる大きな声援もあり、「緊張していて、あまり身体が動かなかった」。

 それでも、序盤から左右のスペースに流れて、相手DFをかき回すと、前半27分にはGK柴田健吾(3年)が前方へ入れたロングキックをきっかけに最初のチャンスが訪れた。中盤で競り合ったボールは相手DFに奪われたが、処理がもたついたところを山本がカット。そのままGKとの1対1に持ち込んだが、シュートは相手GKの足に阻まれ、天を仰いだ。

 決定機を逃がしたものの、後半に入ってからは、「緊張がほぐれて身体が動くようになってきた」。相手の運動量が落ちたことも相まって、スペースへ飛び出す回数が増えると、後半30分には、DF久保碧海(2年)の縦パスから再びチャンスが到来。勢いよくゴール前に飛び出し、GKとの1対1に持ち込んだが、「枠を捉えることしか考えていなくて、ボールを見ていなかった」と余裕なく打ったシュートはGKに阻まれ、CKとなった。

 2度目のチャンスを逃し、「(精神的に)きつかった」と振り返るが、主将のDF斗光晏夢(3年)から「次、またチャンスがあるから、準備しておけよ」と声をかけられたことで、「もう一度、狙おうと(気持ちを)切り替えられた」。

 次のチャンスは、思っていた以上に早く訪れ、後半32分に中盤でボールを持ったMF北野瑠偉(2年)が相手DFの裏に浮き球を配給。素早くボールに反応した山本は、「DF裏を狙っていた。ゴールも見えていたので、後はボールをしっかり見て、枠を意識しながら振り抜いた」と落ち着いてゴールネットを揺らした。“3度目の正直”を果たし、勢いに乗ると今度は味方の好機をお膳立てする。38分には味方のコンビネーションから右サイドを抜け出すと、ゴール前に鋭いパス。DFに当たってコースが変わったボールを途中出場のFW熊澤貫太(2年)が押し込んだ。

 中学時代は、東京のジェファFCに所属。石川遠征を行った際に、吉川幹大監督から誘われ、遊学館への入学を決意した。技巧派を多く輩出するチーム出身とあり、持ち味はテクニカルなドリブル。斗光が「アイツは上手い」と太鼓判を押すほどの武器を発揮するため、これまでは足元でボールを貰うことを意識してきたが、選手権予選前に吉川監督から中盤へ下がってボールを受ける動きや、相手DFの背後を狙う意識などオフ・ザ・ボールの動きについて指摘され、改善に努めた。

 その成果もあり、今年、県1部リーグで奪ったゴールは3得点だったが、今予選では3試合連続で得点をマーク。3年ぶりの予選決勝進出の立役者と言える程の活躍を見せている。高校生活最後の年ということもあり、選手権にかける想いは人一倍強い。「このチームで一日でも長くサッカーをするために、選手権に出たい」という願いを叶えるため、連続ゴール数を4に伸ばし、再び歓喜を呼び込む。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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