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潜在能力高いチームが精神的に成長。4-0快勝の福井工大福井が全国初出場へ王手

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MF永松豊(13番)のゴールを喜ぶ福井工大福井の選手たち

[10.29 選手権福井予選準決勝 福井工大福井高 4-0 高志高 三国運動公園陸上]

 第96回全国高校サッカー選手権福井県予選の準決勝が29日に行われ、福井工大福井高高志高に4-0で勝利した。福井工大福井は11月5日の決勝で北陸高と対戦する。

 序盤から主導権を握ったのは福井工大福井だった。DF竜田晃樹(3年)が自陣から繰り出すロングフィードや2列目から、FW堀江悠太(3年)とFW押野祐也(2年)の大型2トップへと展開。狙いは、そこからサイドのMF南後慶槙(3年)、MF佐藤諒弥(3年)を活用し、折り返しを仕留める形だったが、「前の二人のゴールに行こうとする気持ちが強かった」(誉田宗久監督)、「2トップがゴールに飢えていた」(GK木村遼耶、3年)と声を揃えたように、気持ちが前に出過ぎたことで噛み合わず、理想とする形は見られなかった。

 それでも、高志は相手を圧倒するほどの迫力を持つ2トップを思うように止めることができない。福井工大福井は前半3分に押野のパワフルな突破から右CKを獲得。ゴール前に入れたクロスのこぼれ球をMF前田澪志(2年)がボレーで狙い、11分にはGK木村のキックが相手DFの背後に落ちると、堀江がフリーでシュートを放つ。だが、このシュートは右ポストを直撃。その後は、好セーブを続けた高志GK山下晃生(2年)の壁を崩せないまま、時間が過ぎた。

 耐える時間が続いた高志もMF竹田楓河(2年)とMF平田航大(2年)のダブルボランチを中心にボールを動かし、反撃を開始。13分には左を抜け出したMF中野皓介(2年)のパスから、FW田中祐希(2年)がゴールに迫ったがわずかに合わない。

 両者、1点が遠い中、先手を奪ったのは福井工大福井だった。37分に南後が上げた左CKから、堀江がヘディングシュート。このボールがDF伊藤恵一郎(3年)の頭に当たり、ゴールネットを揺らした。

 ハーフタイムには、中盤の立ち位置を確認するとともにオフサイドにかかることが多かった前半の反省を踏まえ、攻撃陣のポジショニングを修正。効果はすぐさま結果に表れ、開始30秒で、堀江のスルーパスからDFの背後を抜け出した南後が2点目を奪った。

 誉田監督は「2点目が早い段階で獲れたのが大きかった」。福井工大福井は攻撃のギアを上げて、猛攻を開始。21分には、MF永松豊(3年)が、観客がどよめく程のFKを直接決めて、リードを3点差に広げると、31分にも前田のパスから押野が4点目を決めて、試合終了のホイッスルを迎えた。

 県のサッカー関係者が「能力の高い選手は多い」と評する今年の福井工大福井だが、同時に能力を思い通りに発揮できない脆さも見られた。新チーム結成当初は、ボールを繋ぐサッカーを志向したが、上手く行かず、インターハイ予選は準々決勝で丸岡高に0-4で完敗した。力不足を痛感したのと同時にこの敗戦を機に、主力の二人が高校サッカーを引退。冬への危機感を頂いた選手たちが、話し合いを行い、「勝つためには走らないといけないと結論に至った」(木村)。

 昨年まで、前任の徳丸敬紘監督の下、走りを鍛えられていた選手が多かったため、新たなスタイルはすぐさまフィット。選手権予選の準々決勝で丸岡にリベンジを達成したことで、勢いもつき、「守る時間が長かったけど、丸岡さんに勝てたことで、全国に出たいという思いが強くなった。精神的に大人になって、守備をしなければいけない場面で献身的に守れるようになったし、攻める時の勢いも出てきた」(誉田監督)。インターハイは過去2回、出場しているが、選手権出場は未出場。重い扉を開くチャンスは、今年の彼らになら十分にあるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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