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[MOM2272]福井工大福井MF南後慶槙(3年)_1G1A!チームにとって欠かせない「小さな10番」

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2点目をマークし、チームメイトから祝福されるMF南後慶槙

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.29 選手権福井予選準決勝 福井工大福井高 4-0 高志高 三国運動公園陸上]

「僕たちの中で一番大切な選手」(GK木村遼耶、3年)、「あの子がアクション起こすと、チームの攻撃を動き出す」(誉田宗久監督)。周囲の評価を聞けば、MF南後慶槙(3年)がどれだけ福井工大福井高にとって欠かせない存在であるかがよく分かる。

 憧れの選手として、挙げるのはバルセロナのFWメッシ。本家同様、159cmの小さな身体とともに切れ味鋭いドリブルが目を惹く選手だが、この日は3日前に足首を負傷した影響と雨のピッチに苦しみ、「もっと(ドリブルで)行ける選手だと思うけど、なかなか今日は出せなかった」(誉田監督)。

 加えて、試合序盤に相手と接触した際に倒れ込むアクシデントもあったが、「アイツを代えるとチームが変わってしまう」(誉田監督)というベンチからの信頼に応え、37分には一つめの仕事をきっちりとこなした。

 味方が奪った左CKのキッカーに名乗り挙げると、「うちのチームはみんなデカい。ゴール前に良いボールを上げれば、誰かが決めてくれると思っていた」との狙いで入れたクロスがDF伊藤恵一郎(3年)の先制点を呼び込んだ。

 自らの働きで、苦しいチームを助けると、後半1分には再びチャンスが到来。相手DFの背後で、FW堀江悠太(3年)の縦パスを受けると、「裏に抜け出すのが好きなパターン。狙っていたら、ちょうどボールが来たので、行けると思って仕掛けた」とドリブルからのシュートを叩き込み、勝利をグッと近づけた。以降はチームメイトが2ゴール。ゴールラッシュのきっかけとなった南後の貢献はチームにとって大きなモノだった。

 1年生の頃は、同学年で唯一、選手権予選を経験し、チームを勝利に導くゴールもマーク。今年は10番を託されるなど、ピッチ上で違いを見せているが、2年生だった昨年は、「ちょっときついなと思ったら手を抜いたり、練習態度が不真面目だった」(南後)ことが原因で試合に絡めていなかった。ただ、今年に入ってからは「自分たちの代なので、ちゃんと頑張ろうと思った」と練習態度を見直し、自主練では武器であるドリブルに磨きをかけた。

「良い時は良いけど、調子に乗れない時はまったくダメ」と話すように、まだ課題も見られる。この日も1ゴール1アシストを記録したが、「今日はボールが滑って、シュートもパスも全くダメだった。自分の持ち味が出せなかった」。より試合の難易度が増す決勝は、彼のパフォーマンスが試合の行方を左右する。本来の輝きを放つことができれば、自ずと結果がついてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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