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[MOM2274]鹿島ユースDF荒川弘大朗(3年)_緊急布陣の最終ライン盛り立て、1点守り抜く

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鹿島アントラーズユースの最終ラインで勝利に貢献したCB荒川弘大朗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.29 Jユースカップ3回戦 鹿島ユース 1-0 浦和ユース 裾野]

 蹴って蹴られて、また蹴って――。Jユースカップ3回戦、鹿島アントラーズユースと浦和レッズユースのゲームは、序盤からウォータースプラッシュが相次ぐ中での肉弾戦となった。こういう展開で頼りになったであろうストロングヘッダーのDF中村勇太(3年)はU-18日本代表に招集されて不在。CBにはリーグ戦で2試合しか出ていない山本瑞樹(2年)、右SBにはこちらもリーグ戦では合計395分しか出ていない白井亮(3年)、さらに左SBは「まだまだ経験の浅い初先発の」(熊谷監督)佐々木翔悟(2年)が入り、左SBとしてプレーすることの多い荒川弘大朗(3年)もCBにスライドして先発する緊急布陣。不安要素がなかったと言えば、ウソになる陣容だった。

 だが、この4バックこそがハードな肉弾戦における最大の勝因となった。執拗に蹴り込まれるロングボールを粘り強く跳ね返しながら、ゴール前での攻防では全員が一丸となって体を張り続ける。例年より粘りを欠くという評価もあった今年の鹿島ユースだが、この試合に関して見せたプレーを思えば、その評価は明らかに不当だった。

 CBとして先発した荒川も「雨で難しい戦いになることは分かっていたし、一人少なくなってしまって本当に厳しかった。でも雨の中であれだけ応援してくれる人たちがいたので」と粘り強い対応を見せ続ける。「自分ができることは何かということだけを考えて、声を出すことは意識していた」と経験値を欠くディフェンスラインを盛り立てながら、「この雨なのでとにかくやることをハッキリさせた」と綱渡りのような試合を運び続けた。

 結果、最後はパワープレーに出て来た浦和の攻勢も跳ね返し、虎の子の1点を守り抜いて勝利。終わってみれば、最大の不安要素だったディフェンスラインが荒川を中心に「今日は本当に彼らに尽きる。最後までほころびを作らなかった」(熊谷監督)プレーで見事に完封を飾り、準々決勝への切符を引き寄せてみせた。

(取材・文 川端暁彦)
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