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「世界の2強国」との連戦に武者震い?ハリルはブラジルの新星を「世界で一番」と称賛

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侍の甲冑とともに写真におさまるハリルホジッチ監督

 これ以上ない強化試合を前にして雄弁に語る姿はどこか武者震いしているかのようだった。最新のFIFAランキングで2位のブラジル、5位のベルギー。日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督は「現段階でFIFAでは2位と5位かもしれないが、私の中では世界の2強国」と位置付ける強豪国との連戦に向け、「勝ちたいと思っている」と、あくまで勝利を目指す考えを強調した。

「いつも言っているが、ツーリストとして行くわけではない。我々の長所、我々の勇気を持って臨みたい。しかも勝ちたいと思っている。我々より強いと言われている相手だが、もしかしたら10回のうち1回だけ勝つチャンスがあるかもしれない。そういった1回にしたい。そういう準備をしたい」

 選手には心理面、メンタル面での準備を要求する。「自分たちが弱いんだというコンプレックス、恐怖を抱いてはいけない。勇気を見せていかないといけないし、侍の魂、侍の意識を持って行かないといけない」。来年のロシアW杯で日本は第3ポットか第4ポットに入る。開催国のロシアを除けば、ブラジルやベルギーを含めたFIFAランキング上位7チームと同組になる可能性は極めて高い。「もしかしたら我々のグループにブラジル、ベルギーが入ってくるかもしれない。そういう想定をして、準備しないといけない」と、本番を見据えた貴重なテストマッチになる。

 指揮官が「力強さ、タレントを兼ね備えたチーム」と評するブラジル、ベルギーは言わずと知れたタレント軍団だ。14年10月14日のブラジル戦(0-4)で4ゴールを許したFWネイマール(パリSG)は過去の日本戦で3試合7ゴール。だが、そんなブラジルのエース以上にハリルホジッチ監督が絶賛するのが、今年1月にパルメイラスからマンチェスター・シティに加入した20歳のFWガブリエル・ジェズスだ。

「私にとっては世界で一番うまいアタッカーだ。身長は174cmぐらいだが、背後に垂直にもボールを受けることができる。ビックリするのはクロスにも合わせられる。大きくない選手なのに必ず合わせてくる。止まったプレーをしない。常に動きながらやっている。ハイレベルのクオリティーを備えた選手だ」

 シティでは今季のプレミアリーグで9試合に出場し、6ゴール。直近では今季7試合7ゴールのFWセルヒオ・アグエロがベンチを温める試合もあり、「マンチェスター・シティにはアグエロが何年もいるが、彼がベンチに追いやられるぐらいだ。それを20歳で彼がやってしまっているということを日本のみなさんはもっと理解しないといけない。アグエロのおかげで昨シーズンよかったというシティだが、彼が競争を促し、追いやった。グアルディオラは本当にジェズスを信頼している」と手放しで称賛した。

「どちらかというとパワー系」と表現したベルギーについてはFWロメル・ルカク(マンチェスター・U)、FWクリスティアン・ベンテケ(クリスタル・パレス)、FWエデン・アザール(チェルシー)、FWドリース・メルテンス(ナポリ)らの名前を挙げ、「パワーも使いつつ、速い選手もいる」と警戒。そのうえで、ブラジル戦とベルギー戦では「まったく違うタイプの2つのオーガナイズになる」と指摘した。

 同時に「守備で満足して、めちゃくちゃにクリアして終わりたくはない。それは私のアイデアではない。しっかりオーガナイズしてトライしたい」と、守備からの攻撃にも選手に高い要求を課す指揮官は「選手が勇気、集中、勇敢さ、アグレッシブさを持って、大きな仕事を成し遂げるトライをしたい。私のチームを負けるチームにしたことはない。この試合も勝つトライをしようと言うつもりだ。スポーツにはすべての可能性がある」と力説した。

(取材・文 西山紘平)

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