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[MOM482]中央大DF須藤岳晟(4年)_“とにかく熱い主将”目標は浦和時代の恩師

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DF須藤岳晟(4年=浦和ユース)の熱さが中央大の快進撃の源だ

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.28 関東大学2部L第19節 国士舘大0-3中央大 江戸川]

 とにかく熱いキャプテンだ。仲間からの信頼も厚く、小学校から在籍したすべてのチームでキャプテンを任されてきた。中大でも最終学年までほとんど出場機会はなかったが、当たり前のようにキャプテンに任命された。DF須藤岳晟(4年=浦和ユース)が中央大を3年ぶりの1部昇格へと導こうとしている。

 意表を突くプレーが中央大に流れを呼び込んだ。前半29分、ゴール前でFKを獲得すると、須藤がふわりとしたボールをゴール前に入れる。直接狙うと思い込んでいた国士舘大の選手たちは不意を突かれ混乱。DF渡辺剛(3年=山梨学院高)の折り返しをFW野口竜彦(2年=前橋育英高)が詰めて、中央大が先制点を決めた。

 手塚聡監督によると、「いざという時のために温めていた」プレーなのだという。前日にも練習していたそうで、須藤も「今日のゲームの位置づけはチーム全員がわかっていた。それに向けて最高の準備をして向かっていった。3-0という形になってよかった」。8連勝の中央大は、早稲田大をかわして、ついに昇格圏の2位に浮上した。

 須藤は浦和の下部組織出身。同期には現在、ドイツ2部のインゴルシュタットでプレーするMF関根貴大がいる。小学1年生からプレーした2人は「幼馴染のような存在」。ただサッカー選手としての実力差は、雲泥の差があったという。「あいつはすごいっすよ。本当にピッチの上で格好いいんです。頼りになるというか。ずっとスゲーなと思ってやってきました」。

 身近に“凄すぎる”選手がいたことで、早くから自分の立場を考えるようになった。「自分はこんな身長で、足も速くない、サッカーも上手くない、何でサッカーをやるのかなと思った時に恩師みたいになりたいなと思ったんです」。

 恩師。出会いは中学生の時。浦和ジュニアユースに入団した須藤らの指導に当たったのは、現在浦和のトップチームでコーチを務める池田伸康氏だった。「とにかく熱い。半端ないです」。そこで教えられたのが、「人として成長しない限りサッカー選手として成長することはない」ということ。須藤に「こういう人間を目指そう」という目標を与えてくれた。

 熱い意思は今季の中大サッカー部にも波及。役割分担を明確化するなど、チーム改革を行った今季、後期全勝の快進撃で、3年ぶりの1部復帰へまい進している。「常日頃から自分のため、チームのために何ができるかを、部員112人が考えて、本気で行動してくれている」。自分の意思を尊重してくれた仲間。この日も最後までスタンドから声援を送った部員ら全員の後押しに感謝した。

 サッカーは大学卒業と同時に終えるつもり。残り3試合がキャリアの集大成になる。「プロに行く人間もいるけど、ほとんどが行かない人間。陽の目を見るのはプロに行く人間で仕方ないにしても、それ以外の人間が頑張っていないかといえばそうじゃない。この4年間の中でいろんな壁があって、みんな必ず成長したと思うし、それが大事だと思う」。みんなが幸せになれるように。どこまでも熱いキャプテンは、このまま最後まで突っ走る。

(取材・文 児玉幸洋)
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