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[MOM2276]富山一FW大竹将吾(3年)_プロ行きの相棒に負けじと“生粋の点取り屋”がハットトリック

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持ち前の得点力でチームを勝利に導いたFW大竹将吾(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権富山県予選準決勝 富山一高 4-1 富山国際大付高 高岡スポーツコア]

 今年の富山一高は、徳島ヴォルティスへの加入が内定しているFW坪井清志郎(3年)に注目が集めるが、その横にはもう一人、忘れてはならない男がいる。競り合いの強さと得点へのどん欲さが光る9番のFW大竹将吾(3年)だ。

 ゴール前で見せる勝負強さは、“生粋の点取り屋”という表現が似合う選手で、この日は前半7分には、MF多賀啓太朗(3年)がゴール前に上げた左CKを頭で合わせて、先制点をマーク。CKからのヘディング弾は、準々決勝の富山中部高戦と同じ形で、「良いボールが来たので、当てるだけだった」と振り返る一撃でチームに勢いをもたらすと、13分には相棒の坪井がチーム2点目をマークした。

 ここからは思うように決定機に絡めなかったが、前半37分に二度目のチャンスが訪れた。中盤でのボール回しから、MF高縁海(3年)がゴール前にスルーパスを通すと、大竹はゴール前のスペースでこれに反応。「トラップした瞬間、最初はキヨ(坪井清志郎)の方を見たんですけど、横に相手がいたので止めて、前も向けたので、思い切り振り抜いた」と冷静かつ豪快に放ったシュートがゴールネットを揺らし、リードは3点差となった。

 前半39分には、坪井が左サイドから中央へとカットインすると、「アイツにはドリブルがあるので、相手を引き付けている。逆サイドでボールを待っていると転がってくることが多いので、いつも狙っている」と中央右寄りでボールを待った。すると、坪井は4人目をかわしたタイミングでバランスを崩し、「自分は体勢が悪かったので、“任せた”という感じで、より決められるアイツに出した」と大竹へのパスを選択。狙い通りにボールを受けた大竹は、落ち着いてハットトリックを達成した。

「前半は早めに点も獲れたし、攻撃のリズムも良かったと思うけど、後半だけで見ると負けているし、良い所も全くなくて、課題しかなかった」と振り返った後半も、持ち味であるヘディングの強さやキープ力を活かし、起点となるプレーを披露。ただ、「おさまりはしたけど、連携が少なかったり、ゴールに繋がるプレーが少なかった」と反省したように、4点目は奪えず、後半34分に交代でピッチを退いた。

 今予選は3試合で18得点をマーク。ひと皮むけた感がある大竹だが、今季は決して納得のいくプレーができていたとは言い難い。春先は腰を負傷した影響もあり、持ち味が出せず。プリンスリーグ北信越では、開幕から毎試合ゴールを続け、得点王に輝いた坪井に遅れをとった。

 ただ、インターハイ以降は怪我が完治。「腰が治って、踏ん張りがきくようになってから、ボールがおさまるようになったし、点も獲れるようになった」。プロ入りを決めた坪井の存在も良い刺激となったようで、「あれだけ点差を引き離されると、自分の存在が薄れてしまう。自分もプロを目指しているので、一緒にやっている仲間であっても、負けたくないという気持ちもある。アイツ以上に目立っていかないといけない」と自身の力に変えた。

 昨年は予選で結果を残しながらも、大会が近づくにつれ、決定力が低くなり、全国ではベンチ外となった。そこからは、「精神的に強くなってほしいなと思っていた」という大塚一朗監督の期待通り、プレーと共にメンタル的にもタフになり、憧れの舞台である選手権で活躍する準備は万全だ。

「昨年は悔しい思いしかなかったんで、今年は人一倍、全国にかける思いはある。全国に戻って、昨年出られなかった分を獲り返して、それ以上に活躍したい」という思いを叶えるためにも、まずは決勝で再び、大暴れするつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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