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ロングスローで奪った1点を守り切った仙台育英が5年ぶりの全国へ!東北学院は30年ぶりの歓喜ならず:宮城

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1点を守り抜いた仙台育英高が5年ぶり32回目の全国出場

[11.4 選手権宮城県予選決勝 仙台育英高 1-0 東北学院高 ユアスタ]

 第96回全国高校サッカー選手権宮城県予選決勝が4日に行われ、仙台育英高東北学院高に1-0で勝利し、5年ぶり32回目の全国出場を決めた。東北学院は30年ぶり5回目の優勝がかかっていたが、わずかに及ばなかった。

 前半立ち上がりは東北学院のFW佐藤未勇(2年)が何度かカウンター攻撃で決定機を作ったが、徐々に仙台育英がペースを握り始め、東北学院陣内に押し込んで行った。それでもMF小林航主将(3年)を中心に安定した守備を見せる東北学院に対し、なかなかゴールが奪えない展開が続いた仙台育英だったが、32分ついにゴールが生まれた。

 右サイド相手陣内深くでのスローイン。DF石川巧実主将(3年)はロングスローを放つと、ゴール前ニアサイドでDF後藤万輝(3年)がバックヘッド。「後ろにそらしてチャンスになれば良いと思っていて、全くゴールは狙っていませんでした」と語る通り、ゴールから角度のない位置で狙うには難しかった後藤だが、ボールは綺麗な孤を描いてサイドネットに吸い込まれるスーパーゴールとなり、仙台育英が先制した。

「押し気味にゲームを進めていたので、得点0で終わると相手のペースになるので、どういう形でも1点欲しかった。プラン通りだった」と、城福敬監督が語る理想的な展開で前半は1-0で仙台育英がリードで終えた。

 後半は徐々に東北学院へと流れが傾き、準決勝でゴールを挙げたMF前田吉里(3年)や佐藤未、MF後藤翔太郎(3年)らがゴールを狙う。対する仙台育英は、後藤とDF志村滉(2年)の2人のCBや右SBの石川が体を張った守備を見せ、アルビレックス新潟U-15出身で入学直後からレギュラーに定着していたGK佐藤文太(1年)も冷静にピンチを防いだ。

 試合終盤、東北学院は主将の小林が足をつりながらも気迫のプレーを見せ、最後までゴールを目指したが、仙台育英は終盤セットプレーの決定機でも「センターバック2枚が行く必要はない、とピッチ上で選手が自分たちで判断しました(城福監督)」と選手たち自身がリスクマネジメントを徹底し、1-0のまま試合終了。仙台育英が5年ぶりの栄冠に輝いた。

 ここ数年、毎年優勝候補に挙げられながら、準々決勝や準決勝で敗れていた仙台育英。「選手権で全国に行くためにはプレーヤーが自分たちで考え、ピッチ上で物事を変えていかなければいけません。今年の代はプレーヤーが自立できていました」と、城福監督はここ数年成し遂げられなかった選手権県予選制覇の要因を語った。

 主将の石川も「練習試合で矢板中央に1-0で勝てた経験が大きかったですね。今日も1-0の展開が続く中、最後は体を張れば良いんだと思えました」と様々な経験を力に変え、追加点が奪えない展開でも焦らなかった。目標は「日本一になること」と言い切る石川。今大会4試合でわずか1失点の強固な守備と、セットプレーで得点を取りきるしたたかさを武器に、日本一の座を狙う。

 一方の東北学院は県総体に続く準優勝に終わった。攻守の要としてチームを牽引し続けた小林は、「大一番での勝負強さがまだ学院にはありませんでした」と振り返った。

 地元開催のインターハイ出場後にFWとGKの3年生が受験のため学業に専念した。それでも「1~2年生の新戦力がどんどん出てきてチームの底上げができ、ありがたかったです」と後輩たちが穴を埋めてあまりある活躍を見せ、決勝の舞台まで行けたことに感謝をしていた。「来年は決勝で勝てる勝負強さを培って全国にチャレンジして欲しいです」と小林は叶わなかった全国大会出場の夢を後輩たちに託していた。

(取材・文 小林健志)
●【特設】高校選手権2017

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