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成立学園が準決勝突破し、1年前と同じ関東一との決勝へ。よりまとまって戦い、「去年の借りを返す」

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2年連続での決勝進出を決めた成立学園高

[11.4 選手権東京都Aブロック予選準決勝 成立学園高 2-0 東海大菅生高 西が丘]

 第96回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選準決勝が4日に行われ、成立学園高東海大菅生高に2-0で勝利。東海大菅生は11日の決勝(駒沢)で関東一高と戦う。

 試合後、成立学園の宮内聡監督は決勝進出を果たした選手たちへ向けて「GKと2CBとボランチ菅原の4人で勝ったようなものだと言いました」と引き締めたという。個人個人のプレーになってしまい、グループ、チームになることができていなかった。GK横井健太(3年)やCB村上渉(3年)、CB照山颯人(2年)、MF菅原克海(3年)の我慢強いプレーで乗り越えることができたが、準決勝以上に紙一重の勝負になるであろう決勝戦、昨年の決勝で敗れている関東一戦での勝利へ向けて、よりまとまって戦うことが求められたようだ。

 東海大菅生戦は立ち上がりの先制点によって流れを大きく傾けた。10番FW佐久間駿希(3年)のスルーパスで抜け出したFW窪田稜(2年)が左足で先制ゴールを決めた時間は、キックオフからまだ50秒弱。電光石火とも言える一撃によって成立学園は優位に立った。

 その後も後方から正確にパスを繋いで攻める成立学園は、左のSB中村海斗(3年)や窪田がDFをかわしてラストパスを入れるなど2点目のチャンスを作り出す。東海大菅生も前線のFW青木紘貴(3年)やFW鈴木亮太郎(3年)が起点となり、幾度かチャンスを作り返す中で、次の1点を先に奪ったのも成立学園の方だった。

 27分、MF鈴木皓主将(3年)が右サイドからファーサイドのゴールネット方向へ蹴り込んだFKが、GKの頭上を越えてそのままゴールイン。幸運な2点目を奪ってリードを広げた成立学園が2-0で前半を折り返した。

 東海大菅生も後半、前への勢いを強めて反撃。ボールを奪った勢いで一気に前へと出ていく。成立学園の佐久間や窪田の決定的なシュートをGK橋本颯(2年)がストップするなど2点差を維持すると、20分には波状攻撃からMF杉浦夢翔主将(3年)が左足を振り抜く。そして29分には、前線へ上がっていたCB湯江俊太(3年)の右足ミドルが左ポストを直撃。スタンドからの声援を力に、何とか1点を奪い返そうとしていた。

 成立学園は終盤、イージーミスもあって相手に決定機も作られていたが、GK横井のファインセーブなどによって最後まで1点を許さず。2-0で勝ち、決勝へ駒を進めた。

 05年度以来、12年ぶりの全国大会出場まであと1勝。その間決勝で3度、準決勝で4度涙を飲んできた。昨年も東京都1部リーグで優勝したものの、全国切符を懸けた一戦で関東一に0-1で敗戦。内容面で高い評価をされてきた成立学園だが、今手に入れたいのは内容と結果の両方。昨年よりも個性の強い選手がいない分、昨年以上にパスでの崩しにこだわり、その中で昨年にも負けないような得点力を身に着けてきたチームがあと1勝を目指す。

 宮内監督は決勝戦へ向けて「自分たちのサッカーが良いか悪いか別として、東京のナンバー1を決める試合に中学生とか小さい子が見に来るから、東京のチームがこれだけこういうサッカーをみんなでやっているんだと示したい。内容と結果を目指しながら、そこは追求していきたい」と口にする。

 選手たちにとっては恩師や先輩たちが味わってきた悔しさを晴らす決勝戦となる。昨年の経験者でもある鈴木は「去年悔しい思いして、今年は苦しい展開の試合が多かったんですけれども勝ち上がってきて、決勝に進むことができた。相手も同じなので去年の借りを返すという気持ちはこっちの方が強いと思うので絶対に勝ちたい」。宿敵を打ち破って、今年こそ、成立学園が頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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