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堅守速攻を徹底した上田西が12年ぶり全国!湘南内定FW新井の市立長野を破る:長野

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上田西が12年ぶり全国へ

[11.4 選手権長野県予選決勝 市立長野高 1-2 上田西高 松本平広域公園総合球技場]

 第96回全国高校サッカー選手権長野県予選は4日に松本平広域公園総合球技場(アルウィン)で決勝戦を行い、上田西高が2-1で市立長野高を下し、12年ぶり2回目の全国大会出場を決めた。敗れた市立長野高は、湘南ベルマーレに入団が内定しているFW新井光(3年)がPKで1点を返したが、夏冬連続の全国出場はならなかった。

 雨が降ったり止んだりする中で行われた試合は、上田西が立ち上がりを制した。3トップに素早くボールを送り、FW根本凌(3年)、FW上原賢太郎(3年)がポストプレーに入ると、中盤がセカンドボールを制圧して攻勢に出た。前半15分、左サイドを押し込むと、スローインの対応に入った相手2人が交錯した隙を突き、こぼれ球をフリーで拾った右ウイングバックの田中一翔(3年)がきっちりとゴールに決めて先制した。

 対する市立長野は前半20分過ぎから得意のポゼッションが機能。新井が個人の突破からシュートを放つなど脅威となった。つなぐ市立長野と、素早く背後を突く上田西の展開で試合は拮抗していたが、38分に思わぬ形でゴールが生まれた。上田西は、ボランチのMF宮下廉(3年)が距離のあるFKを担当。ゴール前の味方に合わせるつもりで蹴ったが、少しミートが甘くなったボールは、GKの頭上を超えて直接ゴールネットを揺らした。

 2点リードで折り返した上田西に対し、市立長野は後半からギアを上げた。開始3分でボランチのMF山口亮太(3年)が左サイドからドリブルシュートを放つと、2分後にはボランチの島田直弥(3年)が斜めのパスで鮮やかに相手の守備網を切り裂き、FW山中麗央(3年)がシュート。決定機だったが、上田西が2年生GK小山智仁の好守でしのいだ。

 市立長野はMF久保田拓也(2年)を投入して攻撃を活性化させたが、スルーパスはことごとく相手GKに止められた。サイドからは鋭いクロスが何度も上がったが、中で合わせることができなかった。市立長野の芦田徹監督は、「インターハイ後は、外をうまく見せながら中を崩す攻撃をやって来たが、0-2にされてしまって、焦ってクロス(ばかり)になってしまった」と攻撃の連係がかみ合わなかった時間帯を悔やんだ。それでも後半25分、抜け出しに成功した右ウイングバックの小林恭也(3年)が倒されてPKを獲得。新井が決めて1点を返した。

 終盤は、クロス攻撃の市立長野と、敵陣のコーナー付近で時間を稼ぐ上田西という展開。上田西は、FW新田太一(3年)が味方のクリアを呼び込んで前に運び、奪われても前線で精力的な守備を見せる献身性の高いプレーでチームに貢献。2-1で逃げ切りに成功し、12年ぶりとなる選手権の切符を手にした。白尾秀人監督は「やり切れないという課題のあったチーム。つなごうとして奪われてやられていた。中途半端ではなく、やることを徹底させた」と持ち味である堅守速攻を明確に打ち出したことを優勝の要因に挙げた。

 全国大会は、各都道府県の代表(東京都のみ2校)48チームが出場。今月20日に都内で組み合わせ抽選会を行う。12月30日に開幕戦を迎え、2018年1月8日に埼玉スタジアムで行われる決勝戦を目指す。上田西の主将を務めるDF大久保龍成(3年)は「全国で優勝したいけど、まずは目の前の一戦を大事に戦って勝って行きたい」と次の舞台にかける意気込みを示した。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2017

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