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“県内4冠”狙う昌平が埼玉栄を下して4強入り、指揮官「一つ一つの勝負にこだわって」:埼玉

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3得点を挙げた昌平高が埼玉栄高を下した

[11.4 選手権埼玉県予選準々決勝 昌平高 3-0 埼玉栄高 浦和駒場スタジアム]

 第96回全国高校サッカー選手権大会埼玉県予選は4日、準々決勝1日目を浦和駒場スタジアムで行い、1試合目は夏のインターハイ予選優勝校の昌平高埼玉栄高を3-0で下した。12日の準決勝では西武台高をPK戦の末に破った武南高と対戦する。

 両校は今季、6月に行われたインハイ予選の準々決勝で対戦し、埼玉栄が先制点を奪って先行する展開ながら、優勝を果たした昌平が3-2で逆転勝利を収めた。今大会では互いに3回戦の1点差マッチを制し、全国行きを争う舞台で再び相まみえる形となった。

 新人戦、関東大会予選、インハイと県内3冠を誇る昌平が序盤から主導権を握った。普段は「スロースターターというか、最初の入りが悪く、徐々に上げていく感じ」(藤島崇之監督)という埼玉王者だが、この日は立ち上がりから長短のパスを生かして効果的に敵陣へ侵攻。DF石井優輝(3年)らCBから1トップのFW佐相壱明(3年)への縦パスもよく通り、相手守備陣を押し下げることに成功した。

 すると前半7分、昌平が早々にスコアを動かす。右サイドを突破した佐相が相手DFの股を抜くクロスを送ると、中央に走り込んだ右サイドFW森田翔(2年)がニアで受け、落ち着いてファーサイドにパス。フリーとなっていたMF渋屋航平(2年)がダイレクトでゴールネットを揺らし、理想的な形で試合をスタートさせた。

 ところが「前半の中盤くらいからは、リズムを持って判断するような動きが少なかった」(藤島監督)と振り返ったように、その後は思うようなチャンスがつくれない。一方、埼玉栄はMF春原尊(2年)、FW新井亮士郎(3年)のドリブル突破を中心に攻撃を展開。決定機こそなかったが、MF福島健太(3年)の球際での奮闘も光り、徐々に拮抗した流れとなっていった。

 それでも前半40分、幸運な形から昌平が追加点を奪った。MF原田虹輝(2年)の右CKは相手DFにクリアされたが、PA外でこぼれ球を待っていたMF山下勇希(3年)がヘディングで前方に配球。ゴール前に流れたボールに足を伸ばしたDF関根浩平(2年)は惜しくも触れることができなかったが、大きく跳ねたボールはそのままゴールマウスへと吸い込まれていった。

 2点リードで試合を折り返した昌平だが、後半の立ち上がりは「タレントがいるなかで、縦に運ばれるシーンで怖さがある」(藤島監督)という埼玉栄の攻撃を受ける展開となった。後半8分、MF塚目海渡(3年)のシュートは惜しくも枠を外れたが、同9分には左サイドを突破したDF西見斗輝(2年)のクロスがGK緑川光希(3年)を強襲した。

 しかし、トップ下の山下を中心に攻撃を立て直していった昌平に、後半18分、ビッグチャンスが訪れる。フェイントで相手をかわしたMF古川勇輝(2年)のパスを山下が右サイドで受け、ゴール前へグラウンダーのクロスを供給。いち早く飛び込んだ佐相がダイレクトで合わせたが、「足が下に入ってしまった」(佐相)と浮かせてしまい、豪快なシュートはクロスバーを叩いた。

 それでも後半21分、PA内右で原田のパスを受けた古川が左足でグラウンダーのクロスを送り、ニアサイドで森田がスルー。ファーに走り込んだ渋屋がGKの逆を突くシュートを右隅に決め、リードを3点に広げる。「浮いていたボールなので難しいと思ったが、あのコースに蹴るのは練習していた」(渋屋)という“練習どおり”の一撃だった。

 昌平は後半30分、フィールド全体を走り回ってボール奪取とドリブル突破を披露していた山下を下げ、MF高見勇太(3年)を投入。指揮官が「ボールが運べるので、そこはうちの武器。ボールをつなぐだけじゃなく、ドリブルでスッと入っていくという良さがある」と評した背番号7は、チームの2得点目だけにとどまらない圧巻のパフォーマンスを見せ、ピッチを後にした。

 一方の埼玉栄は、チャンスをつくれない苦しい時間が続く。後半31分、新井の左足ボレーが枠を外れると、その後はシュートを放つことができず。0-3のままタイムアップのホイッスルを聞くこととなり、インハイ予選のリベンジを果たすことはできなかった。

 勝利を収めた昌平の藤島監督は「ディフェンス面が安定していたのが良かった」と無失点を評価しつつも、「まだセンタリングの精度、ゴールに向かう精度が足りない」と冷静に分析。「一つ一つの勝負にこだわってやっていく」と県内3冠を過信とせず、2014年度以来2度目の選手権出場に向けて着実に勝利をつかみ取っていく構えを見せた。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2017

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