beacon

実践学園が帝京との延長戦制して決勝進出!関東大会、インハイに続く代表権獲得に王手:東京B

このエントリーをはてなブックマークに追加

攻守において勝利に貢献した実践学園高DF尾前祥奈主将。3バックの中央から思い切った攻撃参加も

[11.5 選手権東京都Bブロック予選準決勝 帝京高1-2(延長)実践学園高 西が丘]

 第96回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選準決勝が5日に行われ、2年連続準優勝の帝京高と5年ぶりの全国を狙う実践学園高との一戦は延長戦の末、2-1で実践学園が勝った。

 100分間の激闘の末、今年の関東大会とインターハイに出場している実践学園がファイナルへ駒を進めた。前半は東京都1部リーグの優勝を決めた試合で1-1と苦戦している帝京戦ということで警戒しすぎたか、相手のサッカーに合わせてしまう展開に。ロングボールと、セカンドボールを競り合う回数が増えてしまっていた。
 
 帝京はロングボール中心の攻撃ながらも、FW佐々木大貴とMF三浦颯太の両2年生がボールを持つと相手の逆を突くドリブルから一気に前進。実践学園は前半半ばからボールを落ち着かせることができ始めていたものの、21分に先制点を奪われてしまう。

 帝京は佐々木が右中間で鮮やかにDFを抜き去ると、左サイドへ展開。クロスをファーサイドのMF松永悠希(3年)が競ったこぼれからMF中村怜央(2年)が右足を振り抜く。これが右前方にいたMF中田廉太郎(3年)の足下へ。冷静なボールコントロールでDFを剥がした中田が、得意の左足でゴールを破って帝京が先制した。

 帝京は28分にもFW岡本良太(3年)の右足コントロールショットが右ポストを直撃。38分にも三浦が個人技で実践学園の守りに穴を開ける。また、守備面でもCB菅原光義主将(3年)を中心に個々が球際で身体を張り、相手にクロスを上げさせない守り、シュートを打たせない守りを徹底する。

 流れは帝京。一方の実践学園はハードワークを続ける相手の前に苦戦を強いられたものの、前半アディショナルタイム、FW武田義臣(3年)の左CKをファーサイドのDF斎藤彰人(3年)が競ると、最後はMF北條滉太(3年)が右足シュートを決めて同点に追いついた。

 深町公一監督が「あれが大きかった」と振り返る同点ゴール。勢いそのままに、後半は実践学園が帝京を押し込んだ。北條とMF浦寛人(3年)を中心にボールを動かしてサイドからチャンスをつくり、セカンドボールも回収。浦が決定機を迎えるなど相手を仕留めようなシーンを作り出していた。

 だが、帝京もいい形で攻撃に転じた際には右SB中村祐隆(3年)がシュートで終わったり、サイドからクロスへ持ち込むなど、飲み込まれずに試合を進めていく。だが、実践学園は主将のDF尾前祥奈(3年)が危険の芽を摘み続けるなど得点を許さない。終盤は互いにシュートチャンスを作ったものの、スコアは動かないまま後半終了。決着は延長戦へと持ち越された。

 その延長前半8分、実践学園が先制点を奪う。相手のクリアボールを交代出場DF人見隼斗(3年)が拾うと、右サイドへ展開。そして、深町監督が「途中から出した右サイドの大関がクロスボールをチャレンジしていた。浮き球が多かったので、グラウンダーを意識して上げろと伝えていた」というMF大関友貴(3年)がグラウンダーのクロスを入れると、ニアサイドの武田が右足ダイレクトで合わせて勝ち越しゴールを奪った。

 帝京は直後から三浦を前線へ上げて反撃。だが、後半6分に佐々木が放った右足シュートはGK成田雄聖(3年)にファインセーブされてしまう。その後、帝京は195cmFW赤井裕貴(2年)を投入して1点をもぎ取りにいったが、跳ね返した実践学園が1点差のまま逃げ切った。

 今年の実践学園は6月の関東大会、7月のインターハイに出場。そして東京都1部リーグ優勝も果たした。一方、インターハイでは1回戦で遠野高(岩手)に0-2で敗戦。初戦を突破すれば2回戦では優勝校の流通経済大柏高(千葉)と対戦することができたが、そこに意識を傾けすぎて自分たちを見失っていた。
 
 尾前は「流経戦かり意識していた。インハイに出て満足したところが絶対にあったと思う。自分たちの目標はそこじゃないと再確認したし、全国ベスト8という目標であるし、実戦の歴史つくるという意味でも俺たちの代しかできないところがあると思う」と力を込めた。関東大会、インターハイに続いて東京都を突破できれば、実力の証明にもなる。尾前は「自分たちが、本当にみんなの記憶に残るチームになれたらいいと思うので、決勝もどれだけプラスの声をかけられるかだと思うし、楽しむだけだと思います」。東京都1部リーグ優勝チームは選手権予選で結果を出せないというジンクスも破って自分たちが歴史を変えるつもりだ。

 実践学園はこの日、東京都2部リーグに所属する実践学園BでプレーしてきたFW西田輝(3年)が先発出場。「メンバー発表の時にスタンドが沸いていましたけれども、下のチームの子が先発で出たのは周りも嬉しい」と深町監督が語るように、“実践らしさ”とも言える選手起用、それを心から応援する一体感も見られた。その一体感を持ってあと1試合。尾前は「支えてくれる人たちの気持ちが最後のところに繋がっているんじゃないかと思います」。支えてくれる人たちのためにも決勝で勝って、全員で全国出場を喜ぶ。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

TOP