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勝負強い今年の大阪桐蔭。強敵・近大附をPK戦で突破し、9年ぶりの全国まであと1勝!:大阪

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大阪桐蔭高が9年ぶりの全国まであと1勝とした

[11.5 選手権大阪府予選準決勝 大阪桐蔭高 1-1(PK4-3)近大附高 キンチョウ]

 第96回全国高校サッカー選手権大阪予選の準決勝が5日に行われ、大阪桐蔭高近大附高に1-1(PK4-3)で勝利した。大阪桐蔭は11月11日の決勝で履正社高と対戦する。

 日本代表のDF三浦弦太(現G大阪)ら多くのJリーガーを輩出し、プリンスリーグ関西でもコンスタントに上位に食い込む大阪桐蔭だが、選手権への出場は08年度に刻んだ1度のみ。決勝までたどり着いたのも、MF田中淳一(現岐阜)を擁した11年度から遠ざかっており、「どこの県に行っても、他の指導者から『何してるんや』と言われてきた」(永野悦次郎監督)。トーナメント戦での勝負弱さが目立つチームではあるが、今年の大阪桐蔭はいつもとちょっと違う。勝負強さが売りの逞しいチームだ。

 準決勝も勝負強さが印象的なゲームだった。立ちはだかった近大附は、大阪府予選の本命との声も多い強敵で「ここで当たりたくなかった。決勝でやりたかった」(永野監督)相手だったが、GK藤本諒哉(3年)が「立ち上がりは悪くなくて、自分たちがやろうとしていることをできていた」と振り返ったように、序盤から相手のストロングポイントであるMF平川尚(3年)とMF尾山海斗(3年)の両サイドに仕事をさせない。

 FW菊井悠介(3年)、MF神戸康輔(3年)を怪我で欠く大阪桐蔭は攻撃の組み立ての面で苦戦したが、代わりに出番を得たFW今井健太(2年)やMF清藤俊介(2年)が思い切りの良い突破を繰り返し、近大附の守備陣に襲い掛かった。

 すると、21分にはDF深澤佑太(2年)が右サイド低い位置からゴール前にクロス。相手に跳ね返されたボールをMF西矢健人(3年)が抑えのきいた左足シュートで叩き込み、均衡を崩した。

 ここから攻撃のギアを上げ、追加点を狙いたいところだったが、「点を入ってからは守りに入ってしまい、相手の得意なロングボールを入れられた」(藤本)ことが仇となり、守備の時間が続く。より劣勢の色が濃くなった後半は、開始早々の3分にサイドからのクロスのこぼれからFW河村慶人(3年)にゴールを破られてしまったが、その前のプレーがファウル判定となり、失点を回避。立て直したいところだったが、以降も近大附の攻撃は途切れることなく、MF内田将太(3年)、MF寺田樹生(2年)のダブルボランチや最終ラインから攻め上がるDF福田清春(3年)らにボールを握られ続けた。

 残り時間わずかとなってからは、近大附がパワープレーを展開。それでも、高さのあるDF赤澤大志(2年)らを中心に跳ね返し、「うまく守れていたので、このまま終わるかなと思っていた」(FW今岡陽太、3年)が、40分には福田のロングフィードから河村にヘディング弾を決められ、延長戦へ持ち込まれた。

 ここでも決着がつかず、勝負の行方はPK戦と委ねられることになったが、GK藤本が気迫を見せ、近大附のキックミスを2本誘発。対する大阪桐蔭も4番手のキッカーが枠を外したが、残り4人がきっちりと決めて、6年ぶりとなる決勝への切符を手繰り寄せた。

 勝負弱さを払拭するゲームを見せた大阪桐蔭だが、今季のスタートは低調で、春の遠征から3位が続いていた。しかし、6月の近畿高校選手権で頂点に立ち、殻を破ると、そこからは一度も負けることなく、選手権予選へと突入。「夏の遠征でも勝ちが多いし、最後の最後に点を決めて終わることが多かったので、自分たちの自信になっている」と藤本が話すように、白星を積み上げることによって、選手たちの自信は日に日に増している。選手に驕りも見られず、このまま頂点まで駆け上がる可能性は十分。決勝は、菊井が復帰予定であることもプラス材料で、永野監督は、「選手たちの顔をずっと見ながら、どうやって履正社と戦うかを考える良い1週間にしたい」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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