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連動性の高い攻撃で大量13得点!岐阜の技巧派集団・帝京大可児がファイナルへ

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FW大森颯樹(3年)がダブルハットトリックを達成するなど帝京大可児が圧巻の勝利

[11.5 選手権岐阜県予選準決勝 帝京大可児高 13-0 大垣日大高 長良川]

 最後の最後まで容赦ない攻撃を展開した。「真剣勝負の場だからこそ、中だるみしないで最後までやりきることを意識した」と堀部直樹監督が語ったように、圧倒的な攻撃を80分間披露した帝京大可児高が大垣日大高に13-0で大勝し、決勝進出を果たした。

 怒濤のゴールラッシュの皮切りは前半7分。FW西尾綾祐(3年)がドリブル突破を図ると、攻め上がって来た左サイドバックのDF大森大地(3年)へスルーパス。大森大がGKとの1対1を冷静に制して、先制点を流し込んだ。

 幸先のいい先制点で勢いづいた帝京大可児は、得意のショートパスをテンポ良く繋ぐサッカーで、大垣日大が反撃の糸口すら見出させない、圧倒的な攻撃力を披露。前半10分には、ボランチの本多訓大(3年)のパスを受けたMF日比野紘樹(3年)が鮮やかな反転から相手を抜き去り、そのままドリブルシュートを決めた。

 前半17分、日比野のラストパスを受けたFW大森颯樹(3年)が試合を決定付ける3点目を挙げると、26分に2点目。FW久保藤次郎(3年)が追加点を決めた2分後の29分には、西尾のパスをワンタッチで浮かせ、DFと体を入れ替えて前を向くと、GKが飛び出して来たところを鮮やかなループシュート。これが決まって、大森颯が12分間でハットトリックを達成した。

 帝京大可児は前半33分にボランチの坂梨寿莉(3年)、34分に大森颯が加点し、前半だけで大量8点のリードを広げる。後半に入っても冒頭の堀部監督の言葉通り、攻めの手を一切緩めることがない帝京大可児は、8分に大森颯がこの試合5点目となるゴールを決めると、そこから一気に3点を重ね、12-0。後半アディショナルタイムには、大森颯がダブルハットトリックを達成するゴールを決めて、ゴールラッシュに幕を下ろした。

 大垣日大をシュート2本に抑え、29本ものシュートを打ち込んだ帝京大可児。DFラインから流動的に動く坂梨、本多、日比野の中盤のトライアングルに縦パスを打ち込み、そこから久保、大森颯、西尾の3トップがスペースに潜り込んだり、裏へ抜け出して決定的な仕事をこなす。この全体の連動は夏を境に格段と向上をした。

「インターハイで京都橘に0-2で負けた時、相手の連動が素早くて凄く差を感じた。その試合のビデオを見たら、京都橘と比べて僕たちは一人一人の距離感が遠かった。そこから距離感と連動性を意識してプレーするようになった。京都橘はセンターフォワードにボールが入ってからの、2人目、3人目の関わりがスムーズだった。それをやるのは僕らの仕事なので、かなり意識しました」(日比野)。

 京都橘の機能的なサッカーを目の当たりにし、自分達に欠けていた前線での連動性に気付くことが出来た。「ポゼッションの『その先』は重点的にトレーニングをした」と堀部監督が語ったように、中盤のトライアングルが頻繁に動くことで、高い位置で起点となれるパスコースを広げることと、前線への動き出しの質の向上を図った。これにより3トップも高い位置で勝負出来るようになり、連動性の高い分厚い攻撃が可能になった。

 怒濤の13ゴールはそれを力強く証明するものだった。次は各務原高とのファイナル。ここでも成長を証明し、5年ぶりの選手権出場を掴みとるべく。岐阜の技巧派集団は獰猛な牙をさらに磨いている。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校選手権2017

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