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必ず全国に舞い戻る!粘り強く戦いながら、瞬間的に“らしさ”発揮。國學院久我山が東京Bブロック決勝進出!

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CB上加世田達也が相手をブロック。國學院久我山高が決勝進出を果たした

[11.5 選手権東京都Bブロック予選準決勝 國學院久我山高1-0国士舘高 西が丘]

 第96回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選準決勝が5日に行われ、15年度全国準優勝の國學院久我山高国士舘高に1-0で勝利。國學院久我山は2年ぶりの全国出場を懸けて、11日の決勝で実践学園高と戦う。

 國學院久我山の清水恭孝監督は決勝進出を決めた後、「勝ち続けることも大変だと思うんですけれども、一回落ちたものを引き上げるのはもっと大変なところがあると思う」と語っていた。

 13年度から3年連続で激戦区の東京都予選を突破し、15年度は全国準V。一つひとつのプレーにおける技術力と多彩性、そして判断力の高さを全国舞台で表現し、勝利に結びつけてきた。だが、全国準Vメンバーの半数を残した昨年度は東京都予選1回戦で帝京高に0-1で敗戦。9月の段階で選手権から去ることになった。

 今年は関東大会予選とインターハイ予選でいずれも代表決定戦まで進出。全国を争う力を証明したが、そこで苦杯を喫して昨年同様に出場権を得ることができなかった。現在は2年前にレギュラーとして全国決勝を経験したGK平田周主将(3年)とCB上加世田達也(3年)がいるものの、今回の選手権で予選敗退すれば、全国経験者がいなくなってしまう。それだけに、清水監督は今回の選手権予選が「今後の久我山にとっても重要になる」と口にし、平田も「2つ落として、これしかない」。久我山らしいサッカーを目指しながら勝利にこだわることを強調した。

 準決勝は苦しい戦いだった。試合序盤は國學院久我山のペース。後方からの正確なパスワークで相手の守りをずらし、エースMF三富嵩大(3年)がチャンスに絡む。そして12分には左サイドからのパスで抜け出したFW鵜生川治臣(3年)がGKを引きつけて左横へラストパス。これをMF高橋黎(2年)が左足でゴールへ流し込んだ。

 國學院久我山は28分にも三富の右足FKがゴールマウスを直撃。後方からゆっくりと攻撃を組み立て、幾度か会場を沸かせるようなシーンも作り出していた。だが、前半終盤にかけて徐々に国士舘が巻き返す。ダイビングヘッドでのクリアなど、チームを勢いづけるような守備を見せるCB和田航希主将(3年)や最終ラインで高さを発揮するCB早坂海斗(3年)、GK金山英樹(3年)に支えられたチームは、前からのプレスもハマり、MF齊藤敦(3年)が厳しいチェックでボールを奪うなど國學院久我山の攻撃を停滞させる。

 そして、後半は國學院久我山以上にボールを握って攻撃。11分にはPAにこぼれたボールに反応した右SB菊地駿斗(2年)が決定的な右足シュートを放つ。これは國學院久我山GK平田のファインセーブに阻止されたものの、16分にも右サイドを抜け出したMF瀧口太陽(3年)の折り返しをFW豊川広幹(3年)が右足ダイレクトで合わせて久我山守備陣に冷や汗をかかせた。

 國學院久我山も連係や個人技からチャンスを作り出し、右SB井上翔太(2年)や交代出場のFW宮本稜大(2年)が決定的なシュートを打ち込んだが、決めることができない。39分に左サイドから三富が狙った右足FKもポスト。清水監督が「(全体的に)ボールを持った時の安定感が足りない」という國學院久我山は自信を持ってボールを繋いだり、プレッシャーのかかった状態でも個々の技術を発揮するようなシーンが少なかった。

 後半はセカンドボールもよく回収していた国士舘が押し続けた試合に。クロスを上げるところまでは持ち込んでいた。だが、國學院久我山は周囲が期待するような試合運びができない中でもしぶとい戦い。清水監督も「今年のチームは勝ち上がるために一生懸命頑張っている。自分たちの良さを出すことだけがありきではない。粘り強く戦っていると思う」と評価したように、それぞれが声を掛け合いながら、逞しく戦い続けた國學院久我山は、平田や上加世田を中心に粘り強く戦いきって決勝進出を決めた。

 この日は、2年前の全国大会のヒーローで昨年は主将を務めたMF名倉巧(現琉球)がリハビリ中ということもあって、母校の応援に駆けつけていた。「難しい試合とかあっても勝ち切ってきている。粘り強くなってきている。市船とか1-0で勝つ試合が多いじゃないですか。(今年の久我山も)1点差でも守りきれるチームになってきている。そういう部分も大事だと思います」と後輩たちを賞賛。この後、チームに合流する予定のために決勝戦は観戦できないが、次は全国大会で母校を応援する機会ができることを期待していた。

 決勝戦で戦う実践学園は今年3戦3敗と分が悪い。この日は耐えて白星を掴んだが、守って勝つつもりはない。それを狙ってできるチームでもない。久我山らしさを追求しながら一週間準備して決勝を戦うだけ。清水監督は「最後にゲームを決めるのはセカンドボール拾ったり、プレスバックしたり、球際で負けないところだと思う。そういうところを出しながら瞬間的に久我山らしさを出せるようにしたい」。また、3年生の変化、勝ちたいという気持ちの表れを口にしていた平田は「自分たちのサッカーをどれだけ追求できるか。今年3回やって3回負けていますけれども、特別な対策よりも自分たちが変えてきた部分をどれだけ見せられるかと思う」と語り、必ず全国に戻ることを誓っていた。全国まであと1つ。全国準V後に苦しんできた國學院久我山が今度こそ、代表権を掴み取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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