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PK戦までもつれ込む「かなりハードな戦い」…各務原が“ライバル決戦”を制して3年連続決勝進出:岐阜

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各務原高がPK戦を制して決勝戦へ

[11.5 選手権岐阜県予選準決勝 各務原高 1-1(PK4-3)岐阜工高 長良川]

 大差がついた第1試合と打って変わって、第2試合は1点を争う白熱の大熱戦となり、PK戦の末に決着がついた。第96回全国高校サッカー選手権岐阜県予選準決勝が5日に行われ、各務原高がPK戦の末に4-3岐阜工高を下し、3年連続となる決勝進出を決めた。

 岐阜工と各務原と言えば、かつて岐阜の『2強』と呼ばれ、何度も県の決勝でぶつかり合って来たライバルでもあった。しかし、帝京大可児高の台頭により、2強の図式は崩れたが、それでも必ず全国大会には出場する、まさに粘りが身上のチームだ。その両者が決勝で待つ帝京大可児と戦うべく、準決勝でぶつかり合ったのだから、試合前から「延長、PKは想定内」(岐阜工・清本勝政監督)であった。

 試合は開始10分で動いた。岐阜工の2年生アタッカー・羽鳥大貴が右サイドを突破すると、ゴール前のスペースに飛び込んだエースストライカー・森龍(2年)へラストパス。トラップから抜け出そうとした森が相手DFに倒され、PKを獲得した。このPKを森自らきっちりと決め、岐阜工が先制に成功した。

 しかし、各務原もすぐに反撃。前半25分、MF内藤汰貴(3年)のパスを受けたMF澤田健太郎(2年)がサイドを突破し、センタリング。これをMF武藤規仁(3年)が押し込んで、試合を振り出しに戻した。

 そこから試合は一進一退の攻防となった。ボールが行き交う中で、激しい球際と競り合いが各所で展開され、両チーム共にシュートまで持ち込めない。各務原は後半23分に武藤に代えて、ドリブラーのMF河田直也(2年)を投入。河田を左サイドハーフに置いたことで、彼のドリブル突破が冴え渡り、攻撃のペースを掴みとった。

 しかし、それでもシュートまで持ち込めない。河田が左を突破してクロスを上げても、フィニッシュは岐阜工のDF陣の激しい寄せと身体を張ったブロックにあう。逆に岐阜工も僅かな間隙を突いてカウンターを繰り出すが、今度は各務原DF陣の身体を張った守備にシュートを打つことができなかった。

 前半に各務原が3本、岐阜工が2本のシュートを放った以外は、延長戦を含めた60分間で両チームとも1本もシュートがない展開となった。膠着した試合はPK戦へもつれ込むと、岐阜工はGK吉井椋亮(3年)が1本セーブをするも、2人がポストに当ててしまい失敗。4-3でPK戦を制した各務原が決勝進出を果たした。

 試合後、各務原の梅野剛監督は、「岐阜工が得意とするカウンターをポゼッションでいなしたかったが、やはり相手の球際の強さと前への迫力に押されるところがあった。後半は相手の良さを消して戦うことが出来たが、かなりハードな戦いだった」と、岐阜工とのライバル対決の激しさを表現すると、岐阜工の清本監督も「各務原との試合は本当にいつも苦しい試合になる。勝たせてあげたかったが…」と疲弊した表情で語った。

 ライバル決戦を制した各務原は、11日の決勝で帝京大可児と対戦する。「決勝は逆にボールを持たれる展開となるので、粘り強く戦って、どの段階でボールを奪いに行くかはっきりさせて、接戦に持ち込みたい」と梅野監督が語ったように、決勝もかなりハードな戦いが予想される。1つの山を越えた先にある大きな山を乗り越えるべく、彼らは覚悟を持って決勝に挑むつもりだ。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校選手権2017

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