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全国準V経験者の國學院久我山GK平田主将、高まってきたチームの「思い」とともに東京ファイナルへ

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國學院久我山高のGK平田周主将

[11.5 選手権東京都Bブロック予選準決勝 國學院久我山高1-0国士舘高 西が丘]

 東京都Bブロック予選決勝進出を決めた國學院久我山高のGK平田周主将(3年)は、チームが徐々に変わってきたことを実感している。変わった部分、それはチームが勝ち上がるために必要な「思い」。関東大会予選、インターハイ予選では代表決定戦で敗れた國學院久我山だったが、当時足りなかったものが今、自分たちに身につき、勝つための力になってきたと主将は確信している。

「関東、インターハイの決定戦で落として、じゃあ、何が足りなかったんだろうとずっと突き詰めてきて、夏合宿とか行ったりして、足りないなと感じたのが、最後の1年間、3年生がどれだけ結果を残したいのかというところを、1、2年生にどれだけ伝えられるかが足りなかった。(チームメートが)惰性でやっていたら、強く言わないといけないし、僕達も最後の年で死ぬ気でやらないといけないというところを3年生が伝えられていなかった。コーチにも『オマエらなんだよ、チームをつくっていくのはオマエら3年生なんだよ』と強く言われたりしていました」

 本当に変わり始めたのは選手権予選開幕直前になってから。おとなしい性格の選手が多い3年生から、コミュニケーションを取ろうとする声や指摘する声が自発的に増えてきたという。平田も「3年生が最後だという思いを表現して1、2年生を引っ張ることができているかなとは思っている」と頷いた。決勝戦までの一週間、絶対に勝つ、全国へ行くという思いを持って過ごす。

 もちろん、思いだけで勝つことができる訳ではない。ただし、その思いの強さがチームに白星を引き寄せているのは確かだ。今大会初戦では府中東高に試合終盤まで2点をリードされるという絶体絶命の状況。そこから追いついて延長戦で勝利したチームは、準々決勝(対駿台学園高)を苦しみながらも1-0で制し、国士舘高との準決勝でも平田のビッグセーブや各選手の身体を張った守り、懸命な走りもあって再び1-0で競り勝った。

 1年時に正守護神として全国準優勝を経験した平田だが、昨年は東京都予選1回戦敗退(0-1で帝京高に敗戦)という屈辱を味わっている。3年生の頑張りに応えることができなかった悔しさは今でも忘れていない。「(去年)1、2年生がどれだけ3年生の思いを感じて助けてあげられたかというと、そうではなかったので、力を貸して上げられなかったので、今年は先輩のためにもというのが大きいですね」。現3年生が勝ちたいという思いをより1、2年生に伝えて、下級生と一緒になって戦う。そして、決勝で必ず勝って、全国に出場できずに卒業した先輩たちの思いに応える。

 2年前の選手権でレギュラーだったのは平田とCB上加世田達也(3年)の2人だけ。あの全国準優勝を最後に國學院久我山は全国出場を果たすことができていない。それだけに、平田は「僕の中で一番のタスクというか、久我山に何を残せるかと言ったらどんなことよりも全国に出る、そういうことだと思う」ときっぱり。決勝戦の相手は今年、3戦3敗の実践学園高だが、自分たちが取り組んできたサッカーと、高まってきた思いを信じて戦い、勝利して、全員で全国出場を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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