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4強入りG大阪ユース 最後は9人、110分間の死闘…PK5-4で湘南ユースの快進撃止める

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死闘を制したG大阪ユース

[11.5 Jユースカップ準々決勝 湘南ユース1-1(PK4-5)G大阪ユース NACK]

 Jユースカップは5日、準々決勝2日目をNACK5スタジアムで行い、第1試合は湘南ベルマーレユースとG大阪ユースが対戦した。1-1のまま延長戦に突入すると、110分間でも決着がつかず、PK戦の末、G大阪が5-4で勝利。12日にキンチョウスタジアムで行われる準決勝で川崎フロンターレU-18と対戦する。

 立ち上がりから湘南が出足鋭いプレスでG大阪を苦しめた。U-17W杯日本代表のMF奥野耕平(2年)が「相手が勢いよく向かってくるのは予想通りだった」と話せば、實好礼忠監督は「すさまじかった。いつものようにボールを動かせなかった」と脱帽した。前半4分には湘南MF鳥海翔(3年)がファーストシュート。高い位置でボールを奪い、ショートカウンターから攻め込んだ。

 攻撃の形をつくれないG大阪だったが、守ってはDF岸田悠佑(3年)ら最終ラインが体を張ったブロックで対抗し、MF柴田壮介(1年)や大会3得点をマークするFW和田響稀(3年)のチャンスを潰す。互いに球際激しい堅守を見せ、湘南も同じく大会3得点のFW原田烈志(2年)を封じ、G大阪は前半シュート0本、湘南はシュート1本で前半を折り返した。

 修正を図りたいハーフタイム。實好監督は「相手の速いプレスを外さないと。みんながサポートに関わって、怖がらずにどんどんトライしよう」と選手に喝を入れる。後半立ち上がりにMF山下諒(3年)がフィニッシュまで持ち込むと、後半10分に投入されたMF丹羽匠(2年)は縦への突破でチャンスを創出。徐々にパスがつながり、攻撃にリズムが生まれた。

 それでも、湘南はひるまない。拮抗した展開の中で後半28分、ついに均衡を破った。右サイドをドリブルで運んだMF石原大樹(3年)がクロスを入れると、エリア内に走り込んだFW井上恵武(3年)が左足ダイレクトで押し込み、貴重な先制ゴール。井上はベンチに駆け寄り、仲間と喜びを爆発させた。

 後半35分、1点を追うG大阪は奥野に代えてFW塚元大(1年)を投入。攻勢を強めるメッセージを出すが、なかなか湘南の固いブロックを崩せない。しかし、このまま試合終了かと思われた後半アディショナルタイムに劇的な展開が待っていた。右サイドからのロングスローを受けたMF梅津克貴(3年)がPA内右で相手DFを引きつけながらマイナスのクロス。空いたスペースに走り込んだDF臼井貫太(3年)がPA手前から右足を一閃。鮮やかなスーパーミドルを叩き込んだ。

 土壇場で1-1に追いついたG大阪。90分間では決着がつかず、前後半各10分の延長戦に突入する。一進一退の攻防が続いたが、101分に5枚の交代枠を使い切ったG大阪は延長後半に臼井、MF國分龍司(2年)が負傷でピッチを退くアクシデント。最後は9人での戦いを強いられたが、湘南の攻撃に粘り強く耐え、PK戦に持ち込んだ。

 先行の湘南は3人目まで成功したが、後攻のG大阪3人目・梅津のシュートをGK真田幸太(3年)がストップ。連続で湘南4人目の鳥海もGK桑原瑠真(3年)が止め、1人ずつが失敗し、4-4でサドンデスへ。すると、湘南6人目MF柴田徹(2年)のキックをまたもGK桑原がストップ。G大阪は6人目の丹羽がGKの逆を突いて右足でゴール右下隅に沈め、PK5-4で勝利した。

 死闘を制し、準決勝に駒を進めたG大阪。實好監督は「今日は自分たちの強みが出せなかった」と試合を振り返り、「判断の速さ」を課題に挙げた。「判断が遅くて奪ったあとに奪い返された。相手のスピードに負けない判断の速さでボールをしっかり動かせるように、いいトレーニングをして積み上げていきたい」と、8年ぶり5度目のJユースカップ制覇へ気を引き締めた。

 湘南の快進撃はここでストップ。県リーグ所属ながらプレミアリーグ所属の強豪とも互角に渡り歩いたが、クラブユース選手権に続くベスト8で大会から姿を消した。時崎悠監督は「我々が一年間積み上げてきた相手のゴールに向かうプレーを発揮して、選手は延長も含めて本当によく頑張ってくれた」と最後まで戦い抜いた選手たちをねぎらうと、「できればもう一点取りたかったし、PKじゃない形で試合を終わらせてあげたかった」と悔しさもにじませた。

(取材・文 佐藤亜希子)
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