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「古豪ではなくて強豪になりたい」。今年3戦全敗の難敵突破した関西学院、49年ぶり全国ヘ王手!:兵庫

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関西学院高は1年生CB網谷周世らが健闘。1-0で決勝進出を決めた

[11.5 選手権兵庫県予選準決勝 三田学園高 0-1 関西学院高 アスパ五色メイングラウンド]

 快晴の空の下、淡路島を舞台に第96回全国高校サッカー選手権兵庫県大会の準決勝が行われた。第1試合は関西学院高が1-0で三田学園高に勝利して、12日に行われる決勝戦進出を果たしている。

 このカードは今年、県リーグ1部と新人戦で3回行われており、いずれも三田学園が勝利している。中学時代の所属チームが同じだった選手たちも両校に多く、試合前には笑顔で健闘を誓い合う姿が見られた。

 選手権予選のベスト4という舞台で実現した今年4回目にして最後の戦いは、キックオフ直後から熱のこもった攻防が繰り広げられた。序盤こそ両チームとも慎重な入り方を見せるが、三田学園はFW中山優作(3年)らが積極的に仕掛けて突破口を探り、関学高は高さのあるFW三島涼風(3年)が起点を作りつつ左サイドからチャンスを生み出すなど、攻撃の形が発揮されていく。互いにゴールへ迫る場面もあったが、守備網を破ることができずに前半はスコアレスで終えている。

後半も三田学園は中山とFW児玉侑翼(2年)の2トップや、2列目で強さと上手さを兼ね備えるMF井浦はずむ(3年)を中心に攻撃を仕掛けるが、関学高はDF三輪愛大(1年)とDF網谷周正(1年)の1年生CBコンビがしっかりと対応。ピンチの場面でもGK平工勝嗣(3年)の好守によりゴールを割らせない。

 そうした守備陣の期待に、攻撃陣が応えたのが11分だった。敵陣でボールを奪うと、そこからパスを受けた三島は力強いドリブルでエリア内へ進入して、倒れこみながら右足でシュート。これがネットを揺らして先制点となった。

 17分にはFW望月想空(1年)のシュートがポストを直撃するなど追加点のチャンスもあったが、その後は自陣で耐える時間が増えていく。23分には三田学園の児玉がエリア内でフィニッシュまで持ち込むが、関学高DFが身体を投げ出して気迫のシュートブロック。残り10分を切ったところで、三田学園は守備の要であるDF西川哲史(3年)を前線へ上げてパワープレーを仕掛けるが、関学高は最後まで集中力を切らすことなく、1-0のまま終了のホイッスルを迎えた。

試合後、三田学園の福原幸明監督は「関学高は(準々決勝まで)得点を多く取ってきたので、前半はその勢いを止めたかった。そこはできたが、攻撃でボールを動かせなかった」と話した。

 4試合で21得点の相手を1失点に抑えることはできたが、ボールを奪った後のプレーは反省点だった。失点シーンも、CBの選手がボールを持ったところでパスを出す先を見つけられなかったことがボールロストにつながっている。それまで守備力と空中戦の強さで最終ラインを支えていた西川は「(ボールを失ったことで)慌ててしまった。その後、(対峙した三島にボールが入ったところへ)タイトに寄せることができなかった」と悔しさをにじませた。

 勝利した関学高は「今年、同じ相手に3回負けている。4回目はないよ」という山根誠監督の激励を見事に実行してみせた。「後半は風下になるので、落ち着いてポゼッションしていこうと選手に伝えた。それが、あの1点につながった。あのときはパスが4本ほどつながった」(山根監督)という風が強い環境を踏まえた指揮官の指示も功を奏している。

 また、無失点で80分を戦い抜いた守備についても「(三田学園の10番の)井浦は上手くて、距離を空けるとやられるので、複数でカバーしようと話していた。中盤もセカンドボールをよく拾ってくれました」(DF水田和真、3年)という狙いを実行できていた。

関学高が決勝戦の舞台へたどり着いたのは2006年度以来、11年ぶりだ。全国大会は過去に10回出場しているが、最後に兵庫県大会を制したのは1968年度。「昔は強かったらしいけれど、僕たちが生まれる前の話。古豪ではなくて強豪になりたい」(三島)という思いを実現させるための舞台へ、チーム一丸となって挑む。

(取材・文 雨堤俊祐)
●【特設】高校選手権2017

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