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[MOM2300]関西学院FW三島涼風(3年)_「中央で勝負する選手に」。180cmFWが攻撃支え、決勝点

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関西学院高FW三島涼風は決勝点を決めた

[11.5 選手権兵庫県予選準決勝 三田学園高 0-1 関西学院高 アスパ五色メイングラウンド]

 均衡を破ったのは、この男の一撃だった。後半11分、味方からのパスを足元で受けた関西学院高FW三島涼風(3年)は「相手がそんなに厳しく当たりにこなかった」とみるや、対峙したDFを力強いドリブルで突破。体勢が崩れかけたところでGKとの1対1を迎えたが、シュートは相手GKの股を抜いてゴールネットを揺らした。これが決勝点となり関学高は決勝戦進出を果たしたのだが、三島の貢献はゴール以外でも大きいものがあった。

 関学高はこの日、ボランチのMF西川滉太郎(3年)が警告累積により出場停止。ボールさばきが上手く、ポゼッションによる攻撃構築に貢献できる存在を欠いての一戦となった。風が強い環境で前半は風上だったこともあり、普段から取り組んでいるパスをつないでいくスタイルに固執することなく、前線へシンプルにボールを送り込む場面が何度も見られた。

 その攻撃を支えたのが三島だ。空中戦の強さを生かして相手DFと競り合いながら起点となり、味方の攻め上がりを引き出す。山根誠監督も「2トップがボールをキープしてくれたのが大きい。三島がよく(相手DFの)西川と競り合ってくれた」と賛辞の言葉を送っている。

 以前はチームのことを考えて、サイドのスペースへ流れてボールを引き出す動きが多かったが、監督や練習参加した大学の関係者から『もっと中央で勝負する選手になってほしい』と言われたことで意識が変わった。この日はスカウティングを踏まえて相手SBのところで高さによる起点作りを任されていたが、同時にそこからゴール前へ入っていくという狙いも持ってプレーしている。

 身長は180cmだが、ピッチ上ではそれ以上の存在感が発揮されている。ポジションはFW一筋だが、昔は身体が小さかった。小学生の頃はドリブルを狙い、ヴィッセル神戸U-15に所属した中学生の頃も入団当初は身長が伸びずに裏のスペースを狙う駆け引きで勝負していた。転機となったのは中学2年生。中足骨を骨折したタイミングで成長期が訪れた。身長は15cm伸び、肩幅も広くなるなど、現在のプレースタイルにつながる体格へと変化していった。そうした経験を踏まえて「最終的にはプレッシャーの厳しい中央で勝負できて、裏への駆け引きも狙える選手になりたい」と将来像を描いている。

 この日、何度もマッチアップした三田学園のDF西川哲史(3年)とは中学時代に県トレセンなどで共にプレーした仲だ。「友達です。高さがあって、セットプレーでも僕がマークに付くことになっていた。怖さはあったけれど、しっかりと身体を寄せて無失点でいけたことがゴールにつながったと思う」と振り返っている。三島と西川のような親交のある選手が両チームには多く、関学高は敗れた三田学園の思いも背負って、滝川二高との決勝戦に挑む覚悟だ。

(取材・文 雨堤俊祐)
●【特設】高校選手権2017

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