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ギリギリの戦いから成長。そして全国へ…高松商が香川西に勝ち切って2年連続の選手権出場を手に:香川

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2年連続23回目の選手権出場を手にした高松商高

[11.11 選手権香川県予選決勝 四国学院大香川西高 1-2 高松商高 ピカスタ]

 第96回全国高校サッカー選手権香川県予選の決勝が11日に行われ、高松商高四国学院大香川西高に2-1で勝利。2年連続23回目の選手権出場を手にした。

 高松商にとっては2連覇がかかった大一番だが、この日は大学受験のため、準決勝のスタメン2人が不在。配置転換によって、ピンチを乗り切る考えだったが、川原虎之亮監督が「立ち上がりからリズムに乗れず、香川西さんの攻撃に慣れるまで時間がかかった」と振り返ったように、前半はキックオフと共にFW高木慎也(3年)がシュートを放つなど、フルスロットルの攻撃を仕掛けた香川西に苦戦し続けた。

 特に厄介だったのが、GK中村将英(3年)から高木へのホットラインだ。精度の高いロングキックを何度も受けたが、高松商は「守備の時間が長くなるのは分かっていたので、守備の集中を切らさずに行こうと意識していた」と口にするDF河辺壮瑠(3年)を中心としたDF陣が粘り強く対処した。

 前半5分に自陣左で与えたFKのこぼれ球からDF岩本來也(3年)に決定的なシュートを打たれたが、河辺がヘディングでクリア。「決められていたら、違った展開になっていたと思う」(川原監督)シーンを乗り切ると、以降はもう一つの警戒ポイントであるサイドのMF西村宙(3年)に対し、初スタメンとなったDF佐藤優多郎(2年)が身体を張った守りで仕事をさせず、前半を終えた。

 迫力ある香川西の攻撃を無得点で凌いだ一方で、前半のシュートはわずか2本。ハーフタイムには川原監督から、「シュートの意識が低すぎる」と喝を入れられた高松商は、後半開始と共に前を向く意識を高めた。成果は早々と表れ、1分には左サイドの突破から左CKを獲得。ゴール前に低く入ったクロスがオウンゴールを誘い、均衡を崩した。

 待望の先制点が生まれたものの、9分には再びピンチが訪れ、サイドから上がったクロスから高木にヘディングシュートを打たれた。この一撃はポストに当たりながら、ゴールマウスへと吸い込まれかけたが、DF河辺が懸命にクリアし、失点を回避した。

 高松商業はその後も耐える場面が続いた。それでも、後半25分に再び攻撃に転じ、自陣からのフィードに途中出場のFW末澤麟太郎(3年)がDF裏で反応。ドリブルでゴール前まで運び、相手DFに進路を遮られたタイミングでフリーのFW横内和眞(3年)に預けると、横内が冷静にゴール右隅に決めて2点差とした。

 終盤は香川西のパワープレーを受け、高木にPKを決められたが、最後まで集中を保った守りで高松商が1点リードを保ち、2-1で試合を終えた。

 今年の高松商は、2008年から昨年まで指揮を執った陶山輝佳前監督から川原監督へと指揮官がバトンタッチ。自主性を重んじる新監督の下、新たなスタートを切ったが、インターハイ予選は3回戦で志度高に0-1で敗れた。この敗戦を機に、自分たちと向き合うことで課題を抽出。ミーティングを重ねながら、一歩ずつ成長を果たすと共に、「サッカー以外の部分もピッチに出ると思ったので、グラウンド整備をしたりごみ拾いをした」(河辺)とオフの部分にも拘った。

 取り組みの成果もあり、夏以降はチーム状態が向上。今予選は2回戦の寒川高戦でのPK勝ちをおさめたことで勢いに乗ると、MF伊賀龍太郎(3年)が「僕らはノーシードでチャレンジャー。どのチームも手ごわくてギリギリの戦いだった。だからこそ成長してきたと思う」と胸を張ったように逞しさを増していきながら頂点まで駆け上がった。

 試合後は、チームメイトや応援に駆け付けた保護者、同級生と喜びを分かち合った選手たちだが、満足した様子は見られない。MF堀内洋司(3年)が「優勝をスタートラインにして、昨年はできなかった全国での勝ちを掴みたい」と意気込むように、香川王者をきっかけにし、次なるターゲットである選手権での活躍を狙う。

(取材・文 森田将義)
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