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[MOM2310]関東一DF小野凌弥(3年)_一度は落胆も“間に合った”主将が全力守備、起点潰して勢い消す

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DF小野凌弥(3年)がFW窪田稜(2年)とマッチアップ

[11.11 選手権東京都Aブロック予選決勝 関東一高 1-0 成立学園高 駒沢]
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]

 一度はあきらめかけた分、一層奮い立った。関東一高の主将DF小野凌弥(3年)は4日に行われた準決勝東京朝鮮高戦(4-3延長)で左肩を負傷。転倒した際に強打し、筋肉や神経を痛めてしまった。肩が上がらず、反転ができない。走りにも支障が出るため通常通りのプレーは困難だった。

 準決勝の2日後、小野貴裕監督から「今の状態だったらメンバーから外す」と告げられると、落胆の色は隠せなかった。「決勝に出られないかもしれないと思うと気持ちは下がってしまった」。予選決勝でプレーできない可能性は高かったが、その後の処置で奇跡的に回復。「僕がやります」と志願した主将の目を見た小野監督は「任せて大丈夫だなと思った」と起用を決断。アクシデントを越え、決勝の舞台に間に合った。

「出られないかもしれないと、本当に悔しい気持ちがあった。試合に出させてもらえるなら自分が結果を残して、最後、ゴールの前は自分が体を張って守らないといけないと思っていた」。その言葉通り、小野は気迫あふれるプレーで最終ラインを統率し、体を投げ出した粘り強い守備で無失点に貢献。監督は「ちゃんと抑えてくれた。今日は凌弥の日なんじゃないかな」とパフォーマンスを称えた。

 成立学園は50m5秒9の快足FW窪田稜(2年)が攻撃の要。「窪田の裏を突いてくると意識していて、裏さえ止めておけば失点はしないと思っていた」。マッチアップした窪田に食らいついて危険を潰し、エースをシュート0本に抑えたことで相手の勢いも消した。「窪田を抑えられたのが大きかったかなと自分でも思います」。全力を出し切った小野は「みんなを全国に連れて行けたのはキャプテンとして嬉しい」と安堵の笑顔を見せた。

 今季はキャプテンとしてピッチ内外でチームを牽引する。「キャプテンをやる中で成長をして欲しいという思惑だった」と監督が“指名”。「もともとはキャプテン気質じゃない。周りを引っ張る子じゃなかった」と指揮官が振り返れば、チームメイトのMF重田快(3年)も「変わりようがすごかった。チームを引っ張るようになったし、苦しいときにいてくれる」と変化を指摘。自らも「自分でも去年とは別人みたいだと思います」とこの一年での人間的な成長を実感している。

 インターハイはベスト8。準々決勝で前回優勝校の市立船橋高に惜敗したが、全国で戦える手応えはつかみ、「全国でも通用すると思っている。ベスト4以上を目指したい」と目標を掲げた。2年連続の選手権出場。2回戦敗退となった昨年も、2年生だった小野は同大会のピッチに立った。「どこかを改善すれば自分たちも優勝できる。自分が中心になってチームを改善して、残り一か月を大切にしていきたい」。頼もしさに満ちた関東一のキャプテンは力強くそう言い切った。

(取材・文 佐藤亜希子)
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