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4度目の挑戦で初優勝!「一番勇気を持って戦えた」高知西が明徳義塾との延長戦を制す:高知

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初優勝を果たした高知西高

[11.12 選手権高知予選決勝 明徳義塾高 0-1(延長)高知西高 春野陸]

 第96回全国高校サッカー選手権高知予選の決勝が12日に行われ、高知西高明徳義塾高に1-0で勝利。チーム史上初の全国大会出場を手にした。

 インターハイ予選は、3年連続で県予選の決勝まで進みながらも、いずれも敗退。初めて挑んだ選手権予選の決勝は、これまでの無念を晴らすかのような堂々とした戦いぶりを披露し、高知西の歴史に新たな1ページを刻んだ。

 両サイドからシュートを放つなど、立ち上がりから得点への意欲を見せた高知西だったが、「時間が経つに連れて相手に押し返されて、チャンスが少なくなってきた」(MF市村涼、3年)と勢いが低下していく。明徳義塾にボールを持たれる時間が続いたが、「相手のストロングポイントを消そうと話していた」とDF大西彪世(3年)が振り返るように、粘り強い守りで明徳義塾の持ち味であるボール回しを要所でカット。DF鎌倉玲音(1年)とMF清水侑季(3年)の両ウイングバックが見せた鋭い突破も、ゴール前を固めることで、前半に打たれたシュートを2本に抑えた。

 エンドが変わった後半からは、左MFに突破力のあるMF工藤篤弥(2年)を投入。8分には、左サイドでFW大平智也(3年)が潰れたこぼれ球を拾い、クロスを入れるなど相手を押し返す場面が増加した。12分にFW中山脩麻(1年)が入ってからは、勢いが更に加速し、彼のスルーパスからアタッカー陣が相手DFの背後をとる場面が増えた。37分には中山のスルーパスからMF山本稜山(3年)がPAへと飛び出したが、ブロックに出たGK植村芳記(2年)に止められ、得点とはならず。両者、無得点のまま80分を終え、試合は延長戦へと突入した。

 待望のゴールが生まれたのは、延長前半4分。MF坂本武宰志(3年)のロングシュートが相手に当たり、左CKを獲得すると、ゴール前に上がったボールをDF松井大芽(3年)が折り返した。落下点で待ち構えていたのは、市村。「来るだろうと準備していた」と読み通り、ゴール前にこぼれたボールを冷静に叩き込み、高知西が先制に成功した。

 試合終盤は、明徳義塾のセットプレー攻勢に手を焼いたが、最後まで集中を切らさず失点を回避し、1-0で勝利。寺尾拓監督は「決勝への挑戦は4度目だけど、今回は思いっきり戦える自信があった。自分たちのペースに明徳を巻き込むことができたし、今まで明徳と対戦した中で、今日が一番勇気を持って戦えたと思う」と口にした。

 高知西は、県でも上位の進学校。2007年にデンソー(現・FC刈谷)や南国高知FCでプレーした寺尾監督が就任して以来、チームは徐々に力をつけてきた。2016年からはプリンスリーグ四国に参戦するなど、県では明徳義塾に次ぐ存在になりつつあったが、インターハイ予選は3年連続で決勝敗退。加えて、これまでは受験や就職に備え、夏で引退する選手が多く、下級生主体で挑む選手権予選は芳しい成績を残せずにいた。

 だが、今年の代は「選手権予選の決勝は小さい頃からの憧れ。僕たちはこれまでの2年間、早くに負けて悔しい思いをしていたので、絶対に僕たちの代で決勝まで行こうと話し合った」と話す坂本を中心に3年生の半数近くが夏以降もチームに残ることを決意。年間を通したチーム強化が可能になり、これまでとは違い、手応えを持って、冬に挑むことができた。

 また、1トップから2トップへの変更やFW梅原裕也(3年)ら3年生の成長も追い風となり、得点力がアップ。万全の状態で選手権予選に挑めたことが、初の全国大会出場に繋がった。全国では、より厳しい戦いが待ち受けるが、覚悟はできている。大会までに、更なら成長を遂げ、「出るからには一つでも多く勝ち上がっていきたい」(寺尾監督)という目標を叶えるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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