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冷静沈着な仕事人、浦和内定・明治大MF柴戸海の流儀は「一喜一憂しない」

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来季の浦和加入が内定している明治大MF柴戸海

 冷静沈着な仕事人。明治大のMF柴戸海(4年=市立船橋高/浦和レッズ内定)はどんなときも淡々とプレーする。その信条は「一喜一憂しない」こと。これは市立船橋高時代に教わったことだ。今季は副キャプテンとして明治大を支え、総理大臣杯準優勝に貢献。また8月にはユニバーシアード日本代表の一員として、世界一に輝いた。4年間の大学サッカーも残りはわずか。現在の心境は?

――リーグでは優勝争いから遠のきつつも、総理大臣杯では準優勝。浮き沈みの激しいシーズンを送っていますが、ここまで自分自身の出来は?
「前期リーグでチームとして勝ちがない中で、自身の出来も良くない試合が多かったと思います。去年と一昨年はチームが悪いとき、自分も同じになって悪くなるということが多かったので、最上級生の今年は副キャプテンということもあり、チームが悪い時こそ、自分が引っ張って勝たせられるようにというのは、最初に目標に掲げてやってきたんですけど……それが思うように出来ませんでした」

「それでも総理大臣杯で決勝まで行ったり、勝てないなかでもチーム一丸となって頑張ってきたというのはあるので。出来は良くないなりに、成長することはできましたし、次のステージでやるときにつながる部分はあると思うので。悪いなかでやれることや、すべきことを考えてやってきたので、得られたものは4年間の中である意味一番大きかったかなと思います」

――今季はキャプテンマークを巻く試合も多くありました。
「引っ張っていくという意識は、かなり出てきました。2、3年生のときから試合に出てきましたけど、先輩についていけば良かったので、その辺の落差というのはあったと思います。今年は引っ張っていく立場になり、そういう意識が芽生えたなかで、上に立って引っ張っていくことの難しさは改めて感じるようになりました」

「今までの先輩たちがどれだけ苦労して、自分たちを引っ張り上げてくれたのか、今まで気がつくことができなかったので。こういう立場になったからこそ意識も出てきましたし、責任感だったり自覚は強くなったかなと思います」

――今季のリーグ戦で明治大の結果が出なかった原因はどこにあると感じていますか?
「立ち上げ当初は、去年優勝したから自分たちもできるんじゃないかとか。自分たちの学年は1年生の時から、リーグ戦では毎年優勝争いを繰り返していたり、“後期の明治”と言われたり、そういう雰囲気があったので『大丈夫だろう』という隙がどこかにあったと思います。それがギリギリの厳しい戦いになった時、取りこぼしたり、勝てなくなった原因だと感じています」

――リーグの不振を乗り越え、総理大臣杯では3年連続の決勝進出。浮上のきっかけは?
「“自分たちは力もないし、何も成し遂げてない”ということをアミノバイタルカップの時に再確認しようと、何度もミーティングをしました。まず自分たちをもう一回知るというところから始めて、それによってチームがひとつになっていくというのがよくわかったので、それが自信になりました。そこから勝っていくことで成長できましたし、勝ったからこそ次の課題も見えたと思います」

――アミノ杯を終えてすぐにユニバーシアード日本代表の活動へ。ユニバで世界一になり、台湾から大阪へ帰国翌日には総理大臣杯開幕というハードなスケジュールでしたね。
「ユニバのあった台湾から夜に日本へ戻ってきて、翌日にはすぐに試合でした。移動もありますし、優勝したということで、どこか気持ちが一段落した部分もあったので、かなり肉体的にも精神的にもきつかったです」

「それでもユニバーシアードに選ばれたのは、明治大でやってきたことが全て。明治だったからこそ、ああいう舞台に立てて、優勝して世界一を掴み取れたとかなと。やっぱり自分の中で一番は明治だと思っているので、切り替えというのはかなりすんなりできました」

「日本代表とかを見ても、移動のスケジュールや過密日程などは当たり前ですし、プロとして浦和に入ったとき、ACLに行ったり色々な世界に行ったりすることはあると思います。そう考えたとき、大学生の自分はまだ若いですし、そんな事は言ってられないなと。そこの切り替えは自分の中でしっかりできたと思います」

――世界一になったユニバを通じて、一番驚きを受けた部分はどこになりますか?
「対戦相手でいえば、準々決勝のイタリア代表戦(6-0)が一番印象に残っています。立ち上がりに相手が退場する展開で6点を奪った試合。自分は途中から出たんですけど、相手が“もう攻めないでくれ”という姿勢だったり、ボールも取りに来ないですし……。世界で見ても、そういうチームがあるんだと、イタリアのようなチームがそういうことをしているのに、がっかりというかすごく色々なことを感じました。最後まで諦めない気持ちを持っているものだと思っていたので、そういう意味も含めてすごくがっかりでした」

「決勝のフランス戦(1-0)や準決勝のメキシコ戦(3-1)は、予選リーグに比べて相手のレベルもかなり上がって、本当にガチガチの戦いだったので、ユニバは育成の段階の大会ですけど、国のプライドをかけての戦いというのが見える場面もあったので、改めてすごい大会でした。そこで優勝できたのは、すごく自信になりました」

――世界大会のユニバで手ごたえを感じた部分は?
「球際と予測という部分は、特にメキシコ代表などの南米相手にもかなり通用したので、自分の中でそこは大きな手ごたえをつかめました。一歩の速さというか、アジリティーの部分では日本人も通用する部分があると感じて、そこも自分の中でかなりの手ごたえを感じられたと思います」

――逆に課題に感じた部分はどこでしょう?
「ゴール前でのパス、ラストパスだったり、ゴールへつなぐためのきっかけとなるパスだったり……どちらの足に出すとか、走っている選手のスピードを落とさずに出すパスというのは、まだまだだなと感じました」

「優勝はしましたけど、もっとそういう部分ができないとレベルが上がった時には通用しない。その一本のパスで点が入らなくなってしまうと思ったので、細かい部分のこだわりはもっと意識的にやっていかないといけないなと思います」

――守の部分で持ち味を発揮する柴戸選手にとっては、攻の部分に伸びしろを感じているということでしょうか?
「自分のなかで、“守”に重きを置いていますし、自分の良さというのは一番そこで出せると思っています。ですがボランチとしては、数字を残すのが大事だと思うので、攻撃の伸びしろはまだまだです。なので、今のうちからプロで通用するプレーというのを意識しながら、プロに入ったときに即戦力となって活躍できるくらいの意識でやっていかないと難しくなってくるかなと思っています」

 今年5月5日には来季の浦和加入内定が発表された柴戸。大学サッカーにおいては、おもにボランチでプレーすることがほとんどだが、浦和の内定リリース時に記載されていたポジションはDFだった。本人は「浦和は特殊なフォーメーションというのもあり、後ろの3枚とボランチ2枚の“5枚”でどこでもできるという選手像を描いています」と先を見る。

――浦和への加入を見据えた上で手本としている選手はいますか?
「最近では、浦和の阿部勇樹選手だったり、引退してから今は明治大のコーチをやっていただいている鈴木啓太さんのプレーは見るようにしています」

「浦和は攻撃に重きを置いていたり、主導権を握りながら攻めていくスタイルですが、その中でのリスク管理だったり、守備での献身性は評価される可能性はあると思います。それでも後から組み立てなければいけないですし、前にも供給しないといけない。そういった意味でも阿部選手のプレーは、しっかり後ろで守備をしながら、前に出て行ったり、得点を取ってもいますし、かなり参考にさせてもらっています」

――浦和はACLで決勝進出を果たしました。
「ACLの決勝は行かせてもらう予定です。ACLでの戦いを見て、今の自分がこの舞台に立って、堂々とプレーできるか考えたとき、全然足りないと感じました。まだまだという焦りもありますが、来年以降にそこに立っている姿を想像したときの楽しみも、今はそれぞれ半々位あります」

「それでも、もっともっとやらなければいけないですし、まだ全然足りないと思うので。早く進路が決まったからこそ、常にプロを意識する部分はありましたし、準備する期間も長かったので。大学サッカーも残りわずかですが、やれる事はいっぱいあるかなと思います」

――リーグ戦も今季はラスト1試合、インカレを含めても大学サッカーで過ごす時間は1か月半ほどになります。
「リーグも残りわずか。インカレを含めても、他のチームとできる試合の数も限られてきます。あっという間という感じですね。今までは来年もあるという気持ちもありましたし、1試合1試合にかける思いはありましたけど、4年生になってからの1試合1試合の重みは全く違います。特にリーグ残りわずかとなった今、1試合の重みや大切さは改めて感じますね」

――ユニバ代表選手たちから“潰し屋”“クラッシャー”と言われ、ポーカーフェイスのイメージが強いかと。意識的に表情に出さないようにしている部分があるのでしょうか?
「両方のパターンがあって、顔に出さないようにしている時と夢中で考えられないくらいの状況でプレーしている時とがあります」

「“一喜一憂しない”というのは、高校時代に教わったことで。試合中やミーティングで言われてきたので、どういうことなんだろうと、高校の時から自分なりに考えてやっていました。やっぱりサッカーなので、点を取ったときなど、感情を出したほうがいい時もあると思うんですけど、守備のときにはできるだけ“一喜一憂しない”というか、顔には出さないようにと心がけてきました」

「ボールを取りに行っても、もちろん取れない時も取れる時もある。そこでいちいち反応していたら、次のプレーに遅れたりして、もっとひどい状況が生まれてしまう。それにボールを取れたとしても、その後に次に繋げなければいけないですし、ボールを取って満足していては、次に繋げられない。取って終わりなのではなく、取れなかったら終わりではなく、そのプレーがどうだったかというのは、試合が終わった時に考えればいいと思うので」

「もちろん、瞬間瞬間で“もっとこうしておけば良かった”というのは、パッと頭に浮かびますけど、すぐに次のプレーに切り替えたほうがいい。色々考えたりするのは、いつでもできると思うので。そういう意味でも“一喜一憂しない”というのは結構大事にしていますね」

――今回のスパイク『NEMEZIZ(ネメシス)』の第一印象は?
「イメージ的には履きやすそうというのと、オレンジだったので派手だなと感じました」

――派手な色の方が好みですか?
「派手というか、明るい色がいいかなと思います。試合中とかは下を向かないようにしていますし、下を向くと良くないとメンタルトレーニングとかもやっています。ですが、どうしても下に目がいってしまうときはあって、その時に足元が暗いと落ち込む部分がある気がするので。なので明るい色がいいなと思いますね」

――足元へのフィット感など履き心地は?
「フィット感はすごくいいですね。自分的には少しきつめというか、締まっているくらいが履きやすいので、そういう意味でも足の甲周りもしっかり締まっていて、足周りをしっかり固定してくれるのでやりやすいです」

――スパイクにまつわる験担ぎなどはありますか?
「強いて言えば、スパイクの紐がどちらが上でどちらが下を通すかというのは、左右で揃えるようにしています。それと紐が絶対に捻らないように、というのは気をつけてますね。あまり気にしている人はいないのかもしれませんが、紐を通すときに右からの紐が上だったら、全部同じ側を上にして……というところはこだわりというか意外に気にしています(笑)」

(取材・文 片岡涼)

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