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劇的な幕切れ…MF上野が後半AT弾!草津東が“師弟対決”を制して3年ぶり全国へ:滋賀

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草津東高が1-0で近江高を下し、3年ぶり9回目の出場を決めた

[11.18 選手権滋賀県予選決勝 近江高 0-1 草津東高 皇子山陸]

 第96回全国高校サッカー選手権滋賀県予選決勝が18日に行われ、草津東高が1-0で近江高を下し、3年ぶり9回目の出場を決めた。

 長く滋賀県を引っ張ってきた草津東と、レギュラー全員1、2年生ながら今年のインターハイに初出場し、選手権予選も初の決勝進出を果たした近江との決勝戦。近江の前田高孝監督は現役時代、草津東でプレーし、草津東・小林茂樹監督の教え子ということで『師弟対決』となった戦いは、後半アディショナルタイム2分に草津東MF上野広人(3年)が劇的な決勝弾を叩き込むと、その直後にタイムアップの笛が鳴り響くという劇的な幕切れとなった。

 前半は近江のペースだった。FW槙山佳佑(2年)とトップ下の岡崎藤吉(2年)のコンビが軸となり、テンポ良くボールを回して攻撃のリズムを作り出した。一方の草津東は、押し込まれる展開となったが、ベンチの小林監督はすぐさま状況を察した。「前半はもう苦しい展開になったので我慢して、後半勝負だと思った」と、前半は無失点で凌ぎきるように選手達に我慢を促した。

 そして、草津東は0-0で引き上げて来ると、すぐに動いた。ギアが上がらなかった10番のMF葉賀洸(3年)と14番のMF橋本卓成(2年)を下げて、MF竹端勇人(3年)と上野を投入。10番と14番は草津東の象徴的な番号だが、小林監督は「ここまで思い切ったのは今年初めてかも知れない」と語ったように、ベテランの勝負の勘が動く形での2枚替えとなった。

 これがまさに的中した。後半、草津東は竹端と上野が高い位置でボールを収められるようになったことで、前半は孤立していた1年生FW渡邉颯太の鋭い動き出しと裏への飛び出しが生きるようになった。さらに前半は影を潜めていた左MFの栗山高季(2年)のドリブル突破も効果的に出せるようになり、試合は一変し草津東ペースとなった。

 近江は「前半が凄くうまく行っていただけに、後半はもう少し変化を出すことが出来れば…。相手のペースに引き込まれてしまった」と前田監督が悔やんだように、後半は押し込まれてしまい、それが前述した土壇場の決勝弾に繋がってしまった。

 激闘の末に教え子のチームを1-0で下し、3年ぶり9回目の選手権出場を決めた草津東の小林監督は試合後、「前田が素晴らしいチームを作って来た。前回対戦したときは、正直自分の中で『よく素晴らしいチームを作った』という想いがあり、それが甘さとなってしまった。今回はその甘さを捨てて、勝負に徹した」とコメント。この言葉は教え子に対する最大限の賛辞であり、リスペクトであった。

 この言葉を受け、近江の前田監督は「本気でぶつかり合うことが出来た。小林監督や野洲の山本(佳司)監督たちが滋賀を強くしてくれた。その分、僕ら若い指導者がもっと滋賀を盛り上げて行かないといけないと思っている」と、これからの精進を誓った。恩師の勝負に徹する姿勢と、そこまで苦しめた教え子の戦い。滋賀県高校サッカー界に新たな息吹が芽生えた一戦でもあった。

(取材・文 安藤隆人)
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