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[MOM2327]一条DF山原琢夢(3年)_“主将の代役”が同点FK!攻守に躍動し、周囲も納得の大会MVPに

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同点FKを決めた山原琢夢

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.18 選手権奈良県予選決勝 一条高 2-2(PK5-4) 奈良育英高 橿原陸]

 2回戦の東大寺戦で、主将のDF生成光(3年)が右ひざの前十字靭帯を負傷し、戦線離脱。プレー面だけでなく、精神的にも欠かせないリーダーが不在となった中、大会を通じて、チームを牽引したのは、主将の代役に名乗りを挙げた左サイドバックのDF山原琢夢(3年)だった。

「自分がキャプテンマークを巻いている以上、負けるわけにはいかないという気持ちが強かった」と振り返るように重責はもちろんある。ただ、「マークを巻いた試合は負ける気がしなかった。昔はメンタルが弱かったけど、高校に入ってから大舞台に緊張しなくなった。準決勝が終わった後も決勝が早く来ればいいのにとワクワクしていた」と続けるように、この日は連覇がかかった大一番を楽しむかのように攻守で躍動した。

 最初の見せ場が訪れたのは、先制点を許した直後の前半5分。チームメイトがPA手前でFKを獲得すると、山原は自陣から駆け寄り、キッカーに立候補した。壁の右を突いた低いシュートは、「壁が邪魔でボールの行方が見えなかった。GKが見送ったので入らなかったのかなと思った」というが、ボールは右ポストに当たって、ゴールに吸い込まれた。

 同点弾を機に、チームは流れを掴み、サイドの高い位置にボールが入る回数が増加。山原も今春までサイドハーフだった攻撃性能を発揮し、自陣からの持ち上がりや前列に入ったMF藤武駆(3年)との連携で左サイドを崩す機会が続いた。本職の守備でも、サイドを狙った奈良育英高の仕掛けを何度も阻止。山原を崩せなかった奈良育英が、「左を崩せ」という指示を飛ばし、反対サイドの崩しを選んだように、彼の存在は相手にとって非常に厄介で、後半24分には対面する右サイドハーフが早々と交代させられた。

 後半は山原のいる左サイドを崩され、2点目を与えてしまったが、苦しい時間帯でも声を絶やさずチームメイトを鼓舞。攻守両面だけでなく、精神的な支柱となった山原に対し、前田監督は「いっぱいいっぱいだったと思うけど、彼のサイドは安定していた」と評価した。

 試合後の表彰式では、大会の最優秀選手を受賞。本人は「たまたま今日は動けていて、それを評価してくださった」と謙虚な言葉を残したが、生成が「プロの世界を見ても、DFで最優秀選手はほとんどない。でも、山原ならあるかなと思っていたし、相応しいと思う」と称えれば、MF川崎航太(3年)も「誰がどう見ても最優秀選手。前半に自分たちが良い形で攻めることができたのは、アイツがしっかりロングボールや1対1を抑えてくれたから」と口にするなど、周囲も納得のパフォーマンスだった。

 ベスト16まで進んだ昨年度の選手権は、大会登録メンバーには選ばれたが、ベンチ入りを果たせず悔しい思いをした。それだけに今年にかける思いは強い。この日同様、粘り強い守備で昨年超えを目指すだけでなく、個人でのアピールも狙っており、「攻撃で持ち味を見せたいし、全国までにFKを磨くので、チャンスがあればそこも見て欲しい」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
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