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昌平が埼玉4冠達成!全国準決勝、決勝で埼玉スタジアムに戻ってくる!

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昌平高が埼玉4冠を達成

[11.19 選手権埼玉県予選決勝 昌平高 2-1 浦和西高 埼玉]

 昌平が埼玉4冠達成! 第96回全国高校サッカー選手権埼玉県予選決勝が19日に埼玉スタジアム2002で開催され、ともに今夏のインターハイに出場した昌平高浦和西高が激突。昌平が2-1で勝ち、3年ぶり2回目の全国大会出場を決めた。

 今年、埼玉県の新人戦、関東大会予選、そしてインターハイ予選でも優勝している昌平に対し、浦和西はインターハイ予選決勝で昌平に敗れているものの、30年ぶりとなるインターハイ出場。選手権予選でも34年ぶりとなる決勝戦へ駒を進めてきた。

 立ち上がり、互いにサイドからの崩しでシュートチャンスを作ったが、時間が経つにつれて、昌平がゲームをコントロールしていく。浦和西はMF田中隆太郎主将(3年)を中心に守備ブロックを形成。相手が縦パスを入れてきたところに狙いを定めたのに対し、昌平は最終ラインからMF原田虹輝(2年)やMF古川勇輝(2年)らが絡みながら細かく、正確にボールを繋いで相手を押し込むと、コンビネーションから前を向いたMF山下勇希(3年)や大宮内定FW佐相壱明(3年)が縦へ切れ込もうとする。

 そして、25分には右サイドからカットインしたSB塩野碧斗(3年)の左足シュートがクロスバーをかすめた。だが、浦和西はCB福与航大(3年)が身体を張って食い止めるなど根気強い守り。逆に34分にはFW森喜紀(2年)のラストパスで抜け出したFW遠藤寛紀(3年)がGKをかわしながら右足シュートを放つ。決定的なシーンだったが、これは昌平・藤島崇之監督が「(チームには)緑川が後ろにいるという安心感がある」という絶対的守護神・緑川光希(3年)が見事な反応で止め、0-0のまま前半を折り返した。

 後半、トップ下の山下をボランチに下げるなど、中盤の配置を入れ替えた昌平に対し、浦和西は市原雄心監督が「前半、ラインが低かったので後半に修正した」というように、DFラインが全体を押し上げる。その浦和西は、7分にMF楮本颯(3年)の仕掛けからFW高橋岬生(3年)がシュート。10分には左SB田村駿弥(3年)の右ロングスローをニアでそらすと、胸トラップした遠藤が右足を振り抜く。だが、シュートはわずかにポストの右。浦和西がチャンスを逸した直後に昌平が先制点を奪った。

 13分、昌平は中盤右サイドから原田が蹴り込んだFKをタイミング良くニアへ飛び込んだCB関根浩平(2年)がヘディングシュート。GKの手を弾いた一撃がそのままゴールネットへ吸い込まれた。先制した昌平は石井優輝主将(3年)と関根のCBコンビが安定した守りを見せ続け、中盤で山下が相手の反撃の勢いを止めるなど隙を見せない。

 それでも交代選手を次々と投入して同点を目指す浦和西は30分、失点直後に投入されたMF唐牛七海(2年)が右サイドからDF2人をかわして中央へ侵入。PA外側にこぼれたボールを高橋が豪快な右足シュートでゴール右隅に突き刺し、同点に追いついた。

 起死回生の同点弾にスタンドが湧く。昌平は優勝候補の一角として臨んだインターハイの初戦(対日大藤沢高)で1-0から残り時間10分での連続失点によって逆転負け。そのことが頭によぎるような展開となった。だが、石井が「選手権はこんなもんだろうと。このままで終わることはないだろうなと思っていたので、失点したのは悔しいですけれども想定内というか、(失点したことよりも)これからどうしなければいけないかを考えていました」という昌平は夏と違った姿を見せる。

 昌平は31分、FW森田翔(2年)がドリブルで持ち上がり、佐相とパス交換でPAへ侵入。そして、DFのタックルを巧みにかわすと、そのまま左足シュートをねじ込んだ。失点からわずか1分後に奪った勝ち越しゴール。浦和西もセットプレーなどから再び昌平ゴールに迫ったが、これを冷静に跳ね返した昌平が2-1で勝利。埼玉4冠を達成した。

 昌平は昨年、初出場したインターハイで3連覇を狙った東福岡高を破るなど全国4強。夏の活躍をきっかけにMF針谷岳晃(現磐田)とMF松本泰志(現広島)がプロ入りを決めるなど注目度を高めたが、選手権予選は準決勝敗退となった。夏からもうひと伸びできなかった1年前。だが、藤島監督は今年について、「インターハイを機に力をつけてこれている。一本槍にならないということでフォーカスしてやってきた。いろいろな選択肢を持ち合わせながらやっていくサッカースタイルはここに来て良くなってきている」と夏からの進化を認める。

 石井は「(インターハイの初戦敗退後、)すぐ宿舎戻って監督とミーティングして、選手でもミーティングして何か変えなければならないという話をして、まず声からでもいいから、小さなことからでもいいから変えて行こうという話をしていました」と振り返る。個々がこだわってきたわずかな部分からの変化。ピッチで表現するサッカーについても、特長的なパスワークに固執するのではなく、ドリブル、佐相の抜け出しなど攻撃の選択肢を増やし、また配置などにも多様性を持ってきたことがチームとしての成長とこの日の勝利に繋がった。

 埼玉王者は今度こそ全国大会で勝ち上がり、準決勝、決勝が行われる埼玉スタジアムに戻ってくる。石井は「この舞台(埼玉スタジアム)は誰もが目指している場所ですけれども、4チームしか行けないので、そこに行けるように。インターハイの反省を活かして、1回戦から目の前の試合に照準を合わせてまた全国で一回り二回り成長した姿を見せられるようにトレーニングしていきたい」と力を込めた。この後、終盤戦を迎える県1部リーグで埼玉5冠を達成し、全国大会までの1か月強の期間でもう一伸びすること。そして全国で、夏の敗退直後に掲げた日本一の目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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