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「スーパーハードワーク」を武器に、京都U-18が16年ぶり2度目のJユースカップ制覇!!

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前半アディショナルタイム、京都サンガF.C.U-18MF上月壮一郎が右足で先制ゴール

[11.19 Jユースカップ決勝 京都U-18 2-1 G大阪ユース 長野U]

 Jユースカップ 第25回Jリーグユース選手権大会の決勝戦が19日、長野Uスタジアムにて開催された。京都サンガF.C.U-18ガンバ大阪ユースによる「関西対決」となったJユース頂上決戦は、巧みな技術を見せるG大阪に対して京都が粘り強い抵抗から鋭い攻撃を繰り出して2得点。G大阪の反撃を1点に抑えて逃げ切り、16年ぶり2度目の栄冠を手にした。

 大会史に残る激戦だった。梅津克貴(3年)、山下諒(3年)、奥野耕平(2年)、そしてトップ下の岩本翔(2年)というテクニカルなMF陣をそろえるG大阪は中盤でしっかりボールを繋ぎながらゲームを運ぶ。対する京都は、U-17W杯日本代表主将だった福岡慎平(2年)を中心としたハードワークで対抗。相手の両脇を狙いつつ、「奪ったボールを素早くカウンターに繋げるのが自分たちの狙い」(MF上月壮一郎、2年)と言うように、特にショートカウンターに活路を見出した。

 FW原田烈志(2年)が2度のチャンスを迎えるなどややG大阪ペースで進んでいるかにも見えた。実際、「ガンバさんはボールの扱いが本当に上手くて、狙いとしていたところでボールを奪えていなかった」と京都・岸本浩右監督も振り返る。だが、指揮官に焦りはなかった。「よく声も出ていて、『いまは我慢やぞ』とか『ここ行くところや』と言い合えていた。しっかり我慢強くやれていた」(岸本監督)。

 そして迎えた前半アディショナルタイムだった。我慢の流れを一変させるビッグプレーが飛び出す。GK若原智哉(3年)のキックをセンターサークル手前で受けたMF津野絢世(2年)が素早くMF橋本尽(3年)へ。この日が負傷からの復帰戦だったテクニシャンは巧みなターンから一つ溜めを作って、前方へ動き直していた津野へリターンし、自身は左斜め前方に走り出す。すると今度は津野がファーストタッチからのトリッキーなヒールパスを橋本の欲しいスペースへ。絶妙な連携プレーからDFを剥がした橋本はこれを左足ワンタッチでのスルーパス。「アイツなら届く」と信じて出したボールに走り込んだ上月が期待どおりに追い付く。GKとの1対1から放たれたシュートは見事にゴールネットを揺らし、京都に先制点が生まれた。

 そして後半開始早々の8分には追加点。今度はG大阪の決定的シュートがゴールポストに跳ね返ったところからだった。左サイドでこぼれ球を拾ったのはG大阪だったが、そこに素早く詰めた津野がハードタックルで再びルーズボールにすると、続く球際の攻防をMF杉田迅(2年)が制してマイボールに。これを橋本が素早く福岡に預けると、福岡はそのまま中央のスペースを独走。相手を十分に引き付けてから右サイドへ出したスルーパスに走り込んだのは、なんと最初に逆サイドでタックルを入れていた津野。京都が掲げる「スーパーハードワーク」を絵に描いたような超絶の運動量を見せた津野が入れたクロスボールは、懸命に戻って来たG大阪DFに当たってゴールイン。記録はオウンゴールながら、ほぼ津野のゴールと言っていいような追加点だった。

 ただ、G大阪もここで終わるようなチームではない。失点から間もない11分に、山下のFKを京都DFがクリアし切れずこぼれ球になったところを、DF中島大雅(3年)がプッシュ。1点差に詰め寄り、以降もじわじわと京都を追い込み続ける。「ヤバいかなと思った」と京都DF俣野亜以己(3年)も率直に振り返ったように、27分には交代出場のG大阪FW塚元大(1年)がビッグチャンスを迎えるなど、流れはG大阪に傾いたかにも見えた。だが、ここから京都が驚異的な粘り強さを見せ付ける。

 相手にボールを持たれて消耗を強いられる展開にもかかわらず、何度もラインを押し上げ直し、相手のボールホルダーにプレッシャーを掛け続ける。球際の競り合いとなれば、必死に食い下がって相手に自由を与えない。「練習の中から『スーパーハードワーク』をやってきた成果」と橋本が胸を張ったとおり、交代選手を一切使わなかったにもかかわらず、その足が止まることは最後までなかった。

 結局、試合は2-1のスコアのまま動かず。京都が松本昂聡、六車拓也らを擁した第9回大会以来となる実に16年ぶりの戴冠。驚異的にして感動的なまでの「スーパーハードワーク」を武器に、Jユースの頂点に立った。

(取材・文 川端暁彦)
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