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相手は流経柏か、市船か…初出場の大分西は主将「うれしい」指揮官「最高!」と前向き

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千葉県代表との対戦が決まった初出場の大分西高DF宮崎優成主将(3年)

 総体全国王者の流通経済大柏高、同3位の市立船橋高が県予選決勝で争う千葉県代表の初戦の相手は、悲願の初出場を果たした大分西高(大分)に決まった。優勝候補筆頭と目される強豪校を相手に、指揮官は「最高の相手なので、最高の準備をしたい」、主将は「強い相手になるほど燃える」と、“完全燃焼”をテーマに挑む構えだ。

 千葉県予選は19日、準決勝を終えた。スコアレスからのPK戦で勝利した流通経済大柏、Jクラブ入団が内定しているDF杉山弾斗とFW福元友哉のゴールで逆転勝利を挙げた市立船橋が23日の決勝戦に臨み、勝ったほうが全国大会に出場する。いずれも夏の総体で上位進出を果たした学校で、優勝候補の筆頭。そんな強豪校に対し、初戦となる来年1月2日の2回戦で、開校15年目を迎えた九州の新興校が挑む形となった。

 20日の抽選会では、開催地の千葉県代表が先にブロックを決め、その後のクジ引きで大分西が隣に滑り込んだ形。引き当てたDF宮崎優成主将(3年)は「びっくりした」とその瞬間を振り返る。それでも「自分としては結構うれしいですね」と後ろ向きな気持ちはなく、「全国に来るなら強いチームとやりたかったので、その中でもかなりの強豪と当たってうれしい」と不敵な笑みを見せた。

 大分西を県内の強豪校に導いた首藤啓文監督も「最高でした!思わず笑ってしまいましたね」と前向き。大分西は毎年、造語を使ったスローガンを採用しているが、チームカラーから取った昨年の「紫上西高(シジョウサイコウ)」を引き合いに出し、「サイコウ(最高)の準備をしますよ。サイコウ(最高)の相手なのでね。そういう気持ちがわき上がってきたところです」と満面の笑みで取材に応えていた。

 ここまでの全国大会経験は、俊足ドリブラーFW河辺駿太郎(現・明治大)らを擁して臨んだ2013年夏の総体のみ。その時は、初戦の名古屋高戦をPK戦の末に突破したが、冬に選手権で優勝を果たすことになる富山一高に2回戦で敗れた。そのため、今大会の目標は「総体で1回勝ったので、2回勝ちたいね」というもの。しかし、抽選会を終えて「完全燃焼!」(首藤監督)と初戦に全力を注ぎ込む方針に変更した。

 大分西にとっては3年連続で進んだ県決勝で、初めてつかんだ悲願の選手権初出場だ。予選決勝前には、昨年度の永井智大主将がロッカールームを訪れ、「俺たちの気持ちも背負って戦ってほしい」と激励。勝利決定後には涙を流して「ありがとう」と伝えた先輩の姿を見て、宮崎主将は「自分たちが13期生なんですが、やっと全国に来ることができた。先輩方の気持ちも背負って戦いたい」と意気込んでいる。

 気になるのは千葉県決勝のゆくえだが、「センター試験の対策もありますし、見に行くのは難しいかな」と首藤監督。それでも「どちらが来ても、まずは自分たちの甘さを排除しないといけないでしょう。サッカーって基本的に楽しいものですが、そんな試合にはならない。甘いところ、緩いところを排除していくような作業になる」と約1か月半後に迫る決戦に向けて、まずは相手の分析よりもチームの引き締めに取りかかる構えだ。

 もっとも、指揮官が「楽しそうでしょう?」と胸を張る雰囲気に象徴されるような、「つないで勝つ」という攻撃的なスタイルを放棄するつもりはない。「ウチは引きませんので、前から行きます。選手たちもそうやってやりたいって言うと思う。良いところを出して、挑んで、完全燃焼したい」。そんな指揮官に対し、主将も「完全燃焼できれば悔いはないし、結果は付いてくると思う」と声をそろえる。

 大分西の今年度のスローガンは、青く晴れた空のように高い地位を目指す者のメンタリティーを表す故事成語から採用した「西雲之志(せいうんのこころざし)」。前向きで、笑顔で、楽しそうな船頭たちに率いられた新興校は「泥臭く、チャレンジャーの気持ちで」(宮崎主将)、優勝候補に挑んでいく。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 竹内達也)
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