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流経柏は“滑るマット”でキック練習…PK見ない本田監督「毎日欠かしたことはない」

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自信を持ってPK戦に臨んだ流通経済大柏高MF宮本優太主将(3年、写真左)ら

[11.19 選手権千葉県予選準決勝 流通経済大柏高0-0(PK4-2)日体大柏高 柏の葉]

 19日に行われた日体大柏高との準決勝、流通経済大柏高は延長戦を含めた100分間をスコアレスで終え、勝負の行方はPK戦に委ねられることとなった。夏の全国総体で頂点に立った王者にとって、運に左右されるような展開は“誤算”かと思われたが、「PKでは負けないですから」(本田裕一郎監督)とそんな先入観を否定。実際、挑戦した4人全員が冷静なキックを沈め、見事に7年連続となる決勝への切符をつかんだ。

「1年間やってきたからね。毎日欠かしたことはない」(本田監督)。流経大柏は今季、練習後には必ずPK戦の練習をしていたという。その理由は「攻撃で何点取るかは計算できないけど、守備を失点ゼロで行くのは計算できる」ため。無失点で抑えても得点を奪えないという場合も想定できる中、トーナメントで勝ち上がっていくためにはPK戦を突破することが不可欠だからだ。

 またここまで取り組んできたのは、ただのPK練習ではない。「PK練習では滑りやすいマットを使って、普通のところでは蹴らせません。それを置いて蹴るとね、つるっと滑っちゃうんですよ」(本田監督)。100分間を戦い抜いた後のPK戦では、疲労やピッチ状況など様々な負の要因があり、キックの踏み込みがうまくいかないことがある。ならば、それを練習で意図的につくり出そうという狙いだ。

 そんな練習を積み重ねてきた自信に支えられた選手たちは、能力のある攻撃陣を擁する日体大柏高に対し、勝ち越しのためのリスクを負わずに「失点しなければ良い」という意識でプレー。そのまま“プランどおり”とばかりにスコアレスで延長戦に持ち込み、最終的にはPK戦に登場した4人全員が成功し、7年連続の決勝進出を果たした。

 主将のMF宮本優太(3年)もファーストキッカーとしてペナルティースポットに立ち、落ち着いて左へ蹴り込んだ。PKに自信はあるかと問うと、「やり込んできたので」と即答。一発勝負の舞台で「やっぱり緊張はしました」という本音もあるが、「思いどおりの方向に蹴れば大丈夫」とプレッシャーのかかるを大役を遂げた。

 一方、PK戦への自信を口にする本田監督だが、「外した選手が可哀想で、見ていられないから」と席を外し、結果を待つというスタイル。これに対し、宮本主将は「選手のことを信じているんだと思います。あとは自分たちでやるだけ」と頼もしい言葉が帰ってきた。またPK練習の“工夫”については「ピッチが濡れていれば滑るんですが、普通のピッチではあまり変わらないですけどね」とおどけつつ、「いつもPK戦のことを想定していて、自分たちの分からないところまで教えてくれます」と指揮官への信頼をあらためて口にした。

 試合終了後、2人が枠を外して敗れた日体大柏の酒井直樹監督は「PKになれば五分五分だと思っていたんですが……」と前置きした上で、「うちの選手はふかしてしまったが、流経さんは全員がしっかり蹴ってきた」と全国常連校との差を痛感していた。この準決勝は、あらためて流経大柏の勝負強さが光った一戦だった。

(取材・文 竹内達也)
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