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エスコートキッズも圧倒されたコレオグラフィー…槙野「実力以上のものを出せた」

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ガッツポーズするDF槙野智章

[11.25 ACL決勝第2戦 浦和1-0アルヒラル 埼スタ]

 偽らざる本音だった。10年ぶり2回目のアジア制覇を成し遂げた浦和レッズのDF槙野智章は「苦しい試合がたくさんあったけど、大会を通して思ったのは、特に決勝トーナメントに入ってから余計に思ったのは、個人としてもチームとしても実力以上のものを出せたということ」と振り返り、背中を押してくれたサポーターの存在に何よりも感謝した。

 この日も選手入場の際にはメインスタンドから両ゴール裏、そしてバックスタンドまで鮮やかに彩ったコレオグラフィーが選手を出迎えた。「アウェー(の第1戦)でアルヒラルのサポーターが出したのもすごかったけど、今日はもっとすごいものだった。僕と手をつないでいた女の子もあれを見て動けなくなるほどだった」。エスコートキッズも圧倒された光景。試合中の声援、アルヒラルへのブーイングも含め、「浦和に関わるすべての人の力」で勝ち取ったタイトルだった。

 スタメン発表でも“サプライズ”があった。出場停止明けのDFマウリシオがベンチスタート。敵地での第1戦は左サイドバックに入ったDF宇賀神友弥の背後を執拗に狙われていたこともあり、マウリシオをセンターバックに入れて槙野を左サイドバックに戻すのではないかという予想もあったが、蓋を開けてみれば、先発11人は第1戦から変更がなかった。

「僕が左で、マウリシオが真ん中と予想していたかもしれないけど、第1戦と同じメンバーで、DFラインは継続したメンバーでやりたいと(監督に)言った」と槙野が明かせば、堀孝史監督も「第1戦で左サイドをやられていたという話をされるが、(宇賀神が)個人的にやられたのではなく、チームとしてボールの出どころを抑えられず、あそこ(左サイド)にひずみがいっていた。ボールの出どころをしっかり抑えようと思って、今日の戦い方をした」と、その意図を語る。

 システムも4-1-4-1から4-2-3-1に変更。守備時はトップ下のMF長澤和輝がFW興梠慎三と2トップ気味になって相手のセンターバックとアンカー、ダブルボランチのMF柏木陽介とMF青木拓矢が相手のインサイドハーフをマークすることで高い位置から連動したプレスが機能。ボールの出どころを自由にさせず、結果として両サイドの背後を突かれるようなシーンもほとんどなかった。

 このシステム変更についても「このほうが守備がハマると、選手とスタッフでいいディスカッションをした結果」と槙野は胸を張る。「選手が第1戦で感じ取ったことを伝えて、今日の配置になった。みんなで準備した結果」と、守備の修整が大きな勝因となった。

 12月のクラブW杯出場を決めたことで槙野ら代表選手はE-1選手権には出場しない。「前回の合宿が終わるとき、ハリルさんから『東アジア(E-1選手権)には出るなよ』と言われた。クラブW杯に行ってほしいということだった」。ハリルホジッチ監督からの激励に応えるタイトル獲得だった。

 10年前のクラブW杯では3位だった浦和。「次はそれを超えないといけない」。初戦となる準々決勝に勝てば、準決勝では欧州代表のレアル・マドリー(スペイン)と対戦する。反対のブロックにはMF本田圭佑が所属する北中米カリブ海代表のパチューカ(メキシコ)もいる。「日本の方はそれ(本田との対決)も楽しみにしていると思うけど」。そう笑った槙野は「一つでも上に行けるように頑張りたい」と、次なる舞台へ視線を向けた。

(取材・文 西山紘平)

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