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延長後半ATにMF田中主将が劇的V弾!桐光学園は2-0から3失点も、再逆転して3連覇王手!:神奈川

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延長後半アディショナルタイム、桐光学園高はMF田中雄大主将が決勝ゴール

[11.25 選手権神奈川県予選準決勝 三浦学苑高 3-4(延長)桐光学園高 ニッパ球]

 第96回全国高校サッカー選手権神奈川県予選準決勝が25日にニッパツ三ツ沢球技場で行われ、3連覇を狙う桐光学園高と関東大会予選優勝校の三浦学苑高が対戦。延長後半アディショナルタイムにMF田中雄大主将(3年)が決めた決勝点によって桐光学園が4-3で勝った。桐光学園は12月3日に行われる決勝戦(等々力)で桐蔭学園高と戦う。

「非常に苦しいゲームでしたけれども、子どもたちが最後まで諦めずにハードワークしたということが最後、内容はともあれ結果に繋がったと思います。次のラウンドに進出する上でも、チームがもう一回り成長する上でもきょう一日はいい材料になったかなと思います」。桐光学園の鈴木勝大監督はミスから逆転を許すなど内容については満足していなかったものの、タフな100分間を勝ちきった選手たちを讃えていた。

 桐光学園は今年、インターハイ予選で初戦敗退。プリンスリーグ関東の前期は4分5敗と未勝利で終わっている。だが、夏の千葉合宿で早朝、砂浜での4km走のトライアルを含む3部練習を行うなど、夏の濃密なトレーニングを経て選手たちは変化。田中が「一試合に対してのチーム全体の意識が増したと思いますし、全員がチームのために走るようになった」という桐光学園はプリンスリーグ後期を6勝1分1敗の快進撃を見せ、この日も2試合連続となった延長戦を制して、チームの進化を印象づけた。

 先行したのは桐光学園だった。前半7分、右サイドからSB今井海斗(3年)が入れたグラウンダークロスが相手のオウンゴールを誘って先制点。その後、ゲームはロングボールやセットプレーでの競り合いが目立つ展開となった。徐々に三浦学苑がパスを繋いでビルドアップする回数を増やしていくが、桐光学園の守りは堅い。37分に三浦学苑は右ロングスローから決定機を迎えたが、FW松尾凌我(3年)の一撃は桐光学園GK丸山拓郎(2年)のファインセーブに阻まれてしまう。

 すると、後半立ち上がりに桐光学園が2点目を奪う。2分、田中の足裏パスで左タッチライン際を抜け出したSB國谷敦史(2年)のクロスをFW鷲塚蓮(2年)が頭で合わせて2-0。だが、三浦学苑はその3分後、左クロスを相手GKが弾くと、こぼれ球を拾った松尾がターンしながらの左足シュートをねじ込んで1点を返す。

 このゴールが三浦学苑を勢い付けた。11分には松尾が左サイドで素晴らしい突破。そして入れたクロスをMF杉山十椰(2年)が鮮やかな1タッチシュートで決めて同点に追いついた。そして20分、三浦学苑は左サイドから右SB佐藤健(3年)がロングスロー。クリアボールを拾った佐藤がゴール方向へ向けて右足を振り抜くと、GKの頭上を越えたボールがそのままファーサイドのゴールネットに突き刺さった。

 大逆転した三浦学苑イレブンはスタンドの応援団の下へ駆け寄って喜びを爆発させる。桐光学園は直後、大学受験のため試合開始直前に会場到着したDF渡辺大智(3年)を投入。負傷明けで後半11分から出場したFW倉持快(3年)や左足を武器に持つ渡辺、前線から気迫の守りを見せた田中らが三浦学苑ゴールへ押し寄せた。

 三浦学苑の枝村隼人監督が「ひっくり返した後に受け身になってしまった」と残念がっていたが、桐光学園が押し込み続ける。そして28分、桐光学園は右クロスを中央で身体を張って繋ぐと、倉持がDFをブロックしながらコントロール。そして右のスペースへ持ち出すと、角度のない位置から右足シュートを突き刺して同点に追いついた。

 桐光学園は一気に逆転を狙うが、飲み込むことはできず、試合は延長戦へ突入。互いにセットプレーなどからゴールへ迫るも、スコアが動かないまま迎えた延長後半アディショナルタイムに劇的な決勝点が生まれる。桐光学園は渡辺の左CK後の混戦から最後は田中が左足で決めて勝ち越し。桐光学園のスカイブルーのユニフォームが歓喜に舞う。直後に試合終了を迎え、桐光学園の決勝進出が決まった。

「(延長戦では)俺らの方が絶対に走れると言っていた。合宿が心の支えになっていると思います」と倉持。取り組んできたトレーニングの量と質が桐光学園の選手たちの自信になっていることは間違いない。この日は3失点したものの、個々が守備意識高く戦うことを徹底している部分も結果に結びついている。だが、シーズン前半戦で非常に苦しい経験をしてきただけに、選手たちに慢心は見られない。

 田中は「流れに乗れるような勝ち方をしていると思うので、まず一週間良い準備して決勝に臨みたい。(自分たちの方を)下から見て、下から行けるように来週もやっていきたいと思っています」。王者は挑戦者として決勝戦に臨み、残り1枚となっている全国大会出場への切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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