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「取りに行こう」。前掛かりに攻め続けた桐蔭学園が5発快勝、14年ぶりの全国まであと1勝!:神奈川

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後半4分、桐蔭学園高はCB吉田剛(中央)がヘディングシュートを決めて4点目

[11.25 選手権神奈川県予選準決勝 桐蔭学園高 5-1 湘南学院高 ニッパ球]

 第96回全国高校サッカー選手権神奈川県予選準決勝が25日に行われ、桐蔭学園高湘南学院高に5-1で快勝。桐蔭学園は03年度以来14年ぶり9回目となる全国大会出場を懸けて、12月3日の決勝で桐光学園高と戦う。

 桐蔭学園は前半2分に電光石火とも言える先制点。自陣でボールを奪ったMF宍戸晃瑶(3年)の縦パスでDFラインの背後へ抜け出したFW森山翔介(3年)がGKとの1対1から「練習で左を練習していたので、角度をつけて左足で打ちました」と左足シュートを右隅に決めてリードを奪う。

 準々決勝でインターハイ全国準Vの日大藤沢高を破って初の4強入りを果たした湘南学院の出鼻をくじく一撃。その後、桐蔭学園は試合をコントロールするというよりも、アグレッシブな攻撃で2点目を狙いに行く。

 蓮見理志監督代行は「(ここまで)いつも苦しい戦いを続けていました。やっぱり点差を広げなければと本人たちも思っていたと思うので、そのまま手を緩めることなく前掛かりで攻めたことが点差をどんどん広げられた要因かなと思います」と「前へ」の理由を説明していた。今大会は初戦から準々決勝まで3試合連続1点差。主将のCB原川凌太朗主将(3年)も「自分たちはゼロ点で抑えた試合がなくて、必ず追いつかれて決勝点という試合の流れということを全員が分かっていたので、『取りに行こう』と試合中も言っていました」と振り返っていたが、積極的に前へ出続けたことがゴールラッシュに繋がった。

 原川が「止めて蹴るというのは基礎技術だと思うんですけれども、そこでは絶対に負けないで全国レベルまで引き上げようというのは監督と一緒に言って練習で積んできたので、それを天然芝のピッチの上で発揮できたと思います」という桐蔭学園はMF金子大樹(3年)や宍戸をはじめ、個々の技術力が高い。それをベースに森山のスピードを活かした仕掛けや、鮮やかなルーレットターンからゴールへ迫るMF若林龍(2年)、右SB岩本卓也(3年)のパワフルな突破なども交えて湘南学院にプレッシャーをかけていく。

 そして24分、岩本の右クロスをファーサイドの若林が折り返すと、最後はMF平田一真(3年)が押し込んで2-0。さらに37分にはクリアボールを拾った金子がDFを交わしてからゴール方向へ入れたクロスボールが、そのままファーサイドのゴールネットに突き刺さる。

 0-3で前半を折り返した湘南学院も後半3分、敵陣でインターセプトしたエースFW飯野智也(2年)がクロス。PAでコントロールしたMF篠原和希(3年)が右足を振り抜くが、DFの足に当たったボールはクロスバーを叩いてしまう。逆に桐蔭学園は4分、金子の右FKをファーサイドのCB吉田剛(3年)が頭で決めて4-0。さらに13分には左SB嶽間沢佳祐(3年)のクロスのこぼれ球をFW瀬賀凛太郎(2年)が右足で5点目を決める。

 湘南学院はMF井内悠人(2年)のドリブル突破や飯野の抜け出しなどから反撃するが、桐蔭学園はGK寺澤悠大(3年)が1対1のピンチを阻止。交代枠5人をフルに使って試合を進める。スタンドの応援を背に最後まで諦めない湘南学院も37分、DFラインの背後へ抜け出した飯野がGKとの1対1を制して1点を返す。

 さらにMF小谷竜也(3年)がクロスバー直撃のシュートを放って見せるなど、心打つような戦いを見せた湘南学院だが、金子が「今まで苦しい経験が自分たちの代は多くて、逆境というものをきょうはパワーに変えられたかなと思います」と語ったように、こちらも選手権への非常に強い思いを表現した桐蔭学園が5-1で決勝戦へ進出した。

 現在の3年生は今年、トーナメント戦こそ出場機会を得ていたが、県リーグではチーム方針によって開幕直後からBチームとして神奈川県3部リーグを戦い、1、2年生チームがAチームとして同1部リーグを戦っていたという。悔しい思いを持ちながら地道に成長し、選手権を目指してきた彼らを3人の2年生がサポート。現在は周囲のサポートもあって目標達成へ向けて迷いなく戦い、全国まであと一歩にまで迫っている。

 蓮見監督代行は「この大会に懸ける思いは、本人たち強い部分があって、絶対に決勝に行こうという思いがあったので、それが繋がったのかなと思います」と語り、2年連続準々決勝で敗れている桐光学園との決勝戦へ向けて「去年、一昨年と桐光学園にやられていて、力を示すには桐光学園を破るのが一番いいのかなと思っています。厳しい戦いになるとは思うんですけれども、あとはやるだけ」と期待した。
 
 そして、原川は「全員で桐光を倒すとそこを目指してやってきた。先輩たちの代の分まで自分たちの代が桐光破って優勝するところをOBに見せたい」。先輩たちの思いも込めて必ず桐光学園を倒して、自分たちが全国舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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