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[プレミアリーグEAST]U-23、トップチームと両立。年間通して力積み上げてきたFC東京U-18が初優勝!

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初優勝を喜ぶFC東京U-18イレブン

[12.10高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 FC東京U-18 3-2 青森山田高 東京ガス武蔵野苑多目的グランド(人工芝)]

 FC東京U-18が最終節逆転で初V! 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグEASTは10日、最終節を行い、ともに首位・清水エスパルスユース(静岡)を勝ち点1差で追う2位・FC東京U-18(東京)と3位・青森山田高(青森)が激突。3-2で勝ったFC東京が、この日敗れた清水を逆転して初優勝を飾った。FC東京は12月17日に埼玉スタジアムで開催されるチャンピオンシップでヴィッセル神戸U-18(兵庫)と戦う。

「毎週末、色々な状況を想定しながらやってきたので、思わず涙が出てしまいましたけれど。選手が良く頑張ってくれた。一番いい場所で良い試合を見せてもらった」。ホームグラウンドに集結したサポーター、チーム関係者の前での初優勝。涙の佐藤一樹監督は選手たちに「ありがとう」と声を掛けて、彼らの一年間の奮闘を讃えた。

 昨年からU-23チームがJ3を戦うFC東京は昨年同様、今年も毎節のようにU-18チームの数名がU-23チームに帯同。また、MF平川怜(2年)とFW久保建英(1年)がトップチームでJ1デビューを果たした一方、U-18チームはDF岡庭愁人主将(3年)やDF坂口祥尉(3年)が怪我で離脱するなど“主力”の5、6人、それ以上を欠いたような試合もあった。

 だが、彼らは“主力不在”を言い訳の材料にすることなく、チームの総合力を高めるための力にしてきた。シーズン前半戦はチャンスを得た選手たちの力不足で敗れた試合もあるが、後半戦は7勝2分と無敗で逆転優勝。GK高瀬和楠(3年)は「スタメンの選手とかがJ3とかで何人いないことになっても気にしなかったですね。今回いないから『今日の試合ヤバイ』とかなくて、いない選手の話が試合前に出ないくらいでした。それは去年の3年生たちが見せてくれた姿でもあるし、自分たちが積み上げてきたものなので、それが実際結果として出たのは嬉しいですね」と胸を張った。

 試合は立ち上がり、先発全員3年生で「技術でも、圧力とかでも圧倒して勝とうと言っていた」(高瀬)というFC東京が、明らかに守備面での集中力を欠いていた青森山田を押し込む。ボールを保持しながら相手のDFラインの背後を狙うFW 原大智(3年、トップチーム昇格内定)やサイドで起点を作り、そこからクロス、シュートを連発。青森山田はカウンターやセットプレーでトップ下のMF田中凌汰(3年)やFW中村駿太(3年、山形内定)がチャンスに絡むシーンもあったが、ゴールを奪い切ることができない。

 すると30分、FC東京は左CKをトップチーム昇格内定のMF品田愛斗(3年)がGKの前に立つ長身FW原の頭目掛けて蹴り込むと、ボールは狙い通りにGKの頭上を越え、ファーサイドのポストを叩いてゴールイン。注目MFの鮮やかな直接CKによってFC東京が先制した。

 その後も押し込み続けるFC東京はカウンターを食らった際もCB長谷川光基(3年)や高瀬らが好守を見せて相手に得点を許さない。そして後半12分、中央の品田が右サイドのMF横山塁(3年)へ展開すると、横山が思い切り良くカットインから左足シュートにチャレンジ。この一撃がゴール右隅に決まり、2-0となった。

 青森山田も30分、左中間から強引に仕掛けたMF堀脩大(3年)が左足を振り抜く。これが相手DFに当たってコースが変わり、1点差。だが、FC東京はその直後、交代出場の久保が右の横山とのパス交換から縦に仕掛けて右足シュートを叩き込む。久保のファインショットによって点差は再び2点となった。

 それでも青森山田は簡単には終わらない。終盤、前線でのロングボールをMF郷家友太(3年、神戸内定)が何度も競り勝ち、選手たちがゴール前になだれ込む。40分には自陣からのロングキックを郷家が頭で競り勝つと、抜け出したMF檀崎竜孔(2年)がゴールへ押し込み、再び1点差。さらに45分には左サイドを突破した檀崎の右足シュートがゴールを襲うが、FC東京はGK高瀬が目一杯手を伸ばしてかき出し、直後のピンチでも右SB吹野竜司(3年)がシュートブロックする。

 最後は気迫の守備で守り抜いたFC東京が3-2で勝利。そして挨拶をする選手たちの元にコーチ陣、サポーターから清水敗戦の一報が届く。この1年間、FC東京はどんなメンバー構成になっても、目の前の試合で全力を尽くすことに集中。最終節も品田が「この場で100パーセントの力を出すことが一番だったので、他の会場の結果よりも目の前の相手に集中しました」と語ったように、常に100パーセントの力を出すことにこだわったFC東京が初Vを果たした。

 佐藤監督は「一生懸命やっているとサッカーの神様が微笑んでくれるかもしれない。まさにそうなってくれたのは彼らのサッカー人生にとって貴重な成功体験になったと思うし、いいものにしてくれたらいい」。練習から出し惜しみすることなく成長を目指して高いレベルでの底上げを実現し、「良い質で練習できているので誰が出ても大丈夫という自信があります」(高瀬)というチームになった。一週間後のチャンピオンシップは3年生にとって高校生活ラストゲーム。残り一週間も貪欲に成長を目指し、チャンピオンシップでは「(3年生は)一人ひとり行く場所は違うんですけれども、チャンピオンシップ取っていい思い出にできたらいい」(横山)という思いを込めて戦って高校年代日本一を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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