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高知大は2年ぶり初戦勝利ならず…涙の選手、監督がチームへの思いを語る

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主将のMF下園直輝(4年=東海大附五高/左)らは試合後、涙を流した

[12.13 全日本大学選手権1回戦 高知大 0-4 福岡大 上柚木公園]

 第66回全日本大学サッカー選手権大会が13日、開幕した。上柚木公園陸上競技場(東京)で行われた第2試合で高知大(四国1)は福岡大(九州1)と対戦。0-4で敗れ、1回戦敗退となった。

 平均身長が177.5㎝と高い福岡大に対し、高知大は素早いサイド攻撃で序盤から攻勢に出る。主将のMF下園直輝(4年=東海大附五高)は「サイドを起点にどんどんチャンスをつくれて、前半は本当にいけるっていう感覚があった」と振り返った。

 前半8分には左サイドの山崎一帆(4年=佐賀商高)の高速クロスをFW井上健次朗(4年=柏日体高)が合わせてゴールネットを揺らす場面も。しかし、オフサイドの判定を取られてノーゴールになり、「そこがすべてだった。1点、2点を先に決めていれば」と山崎も悔しさを滲ませる。

 福岡大のシュート数7本に対して、高知大は10本とチャンスをつくり続けた。しかし結果は0-4の大敗。下園は「前半のチャンスだと福岡大よりも多かった」と口にしつつ、「でもそこで決め切る福岡大がすごかった」と勝者を称える。川田尚弘監督は「ゴールを奪う奪われるっていう本質の部分で福岡大が上だった」と語った。

 試合終了のホイッスルが響くと、ピッチでは選手たちが泣き崩れた。下園は「ありきたりですけどあっという間で。本当に今までサッカーばっかりでした」と大学4年間を思い返し、「今日も高知から応援に駆けつけてくれて、そういう仲間に出会えてよかったです」と感謝を語る。また福岡出身の下園は「福岡大の山下(敬大)とか三浦秀弥は選抜で一緒だった奴らなんです。この先も頑張ってほしい」と同郷の勝者にエールを送った。

 サイドから攻撃を仕掛け続けた山崎は「結果はついてこなかったけど、今まで一番良いプレー」と後悔はない。「今年は4回生が多くて個性が強くて。4回生で話し合いをしたり、色んな問題を抱えながらも最後の大会に挑んだんですけど、最後はチーム一体で戦えました。みんなと一緒に頑張ってやってこれて、高知大に来てよかったって思えます」とチームへの思いを語った。

 スタンドへの挨拶後、川田監督はベンチにいる選手たちからしばらく距離を置き、ピッチの中央にいた。「一緒にいるとぼくもつられてしまうので」と目を赤くしていた川田監督は「自分のチームだからって寄っているわけではないですけど、本当に良いゲームだった。見ている方々にも高知にこういう選手がいるんだって見せられたんじゃないかな」と振り返る。

 今季の高知大は4月の天皇杯代表決定戦では決勝まで進出も高知ユナイテッドSCに2-3で惜敗。夏の総理大臣杯では初戦の九州産業大に0-3で敗れ、インカレでも初戦で姿を消すことになった。「何かひとつ、形にしてあげたいんですよね」と川田監督は語る。「最後のところで勝ち切れなくて、あの子たちもすみませんって謝ってくれるんですけど、本当におれこそ申し訳なくて」と選手たちへの思いを口にした。

「でもこういう大舞台で全部出せたと思います」と川田監督に後悔は残っていない。ともに戦ってきた選手たちに心の底から感謝し、「良いチームなんですよ、本当に。自画自賛して申し訳ないですけど最高でした」と最後は笑顔でピッチを去っていった。

(取材・文 石川祐介)
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