beacon

[MOM2350]流通経済大柏GK薄井覇斗(3年)_W昇格狙う流経大柏の守護神、チーム全体の命運を背負いPK2本ストップ

このエントリーをはてなブックマークに追加

GK薄井覇斗(3年)が2本PKをストップ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.15 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 大阪桐蔭高 1-1 (PK4-5)流通経済大柏高 広島一球]

 また、止めた。結果を得るためには、この男のセーブが必要なのだ。高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プレミアリーグ参入戦の1回戦が広島県内で行われ、流通経済大柏高(関東2、千葉)はPK戦の末に大阪桐蔭高(関西1、大阪)を下して2回戦に駒を進めた。17日に行われる2回戦で徳島ヴォルティスユース(四国1、徳島)に勝てば、来季のプレミア復帰が決まる。

 大阪桐蔭との1回戦は、ともに一歩も譲らない激戦となり、1-1でPK戦にもつれ込んだ。どちらもよく準備をして来たことが伝わる内容だった。試合時間の90分にも、延長戦の20分にも見劣りしない攻防がPK戦で展開された。

 ともに、キッカーがじっくりと時間をかけ、覚悟を決めた一撃を蹴り込んだ。勝った流経大柏は、守護神のGK薄井覇斗(3年)が1本目、2本目をセーブした。先には動かず、相手がキックモーションに入る寸前でフェイントをかけ、誘い込むようにしてコースを防いだ。1本目は左に跳んでセーブ。2本目も左に跳び、中央に残した足でボールを弾き返した。3、4本目を決められた後、5本目も止め切れなかったが、コースに跳んでボールを触る好反応を見せて、相手にプレッシャーをかけた。

「相手の蹴り方に合わせているので、あまり意識して(先に跳ばないように)我慢していたわけではないです。最初はフェイントをかけて止められていたんですけど、その後は何本か早く跳んでしまったので、改善しようと思ったら、今度は弾き切る意識が薄れてしまって5本目を止め切れなかったのは、ちょっと後悔しています」

 3本目以降は止められなかったが、サドンデスの7本目で相手が枠を外した後に味方が決め、PK戦5-4で勝利を得た。小学4年生で「何か運動をした方が良い」と言われただけで特にアスリート思考を持たずにサッカーを始めたときからGK。記憶の中では当時からPK戦では一度しか負けていないというほどに、PK戦には自信を持っている。流経大柏は、今夏のインターハイ(全国高校総体)を優勝したが、その際にも準決勝の前橋育英高(群馬)戦で、薄井は試合中のPKを止めて勝利に貢献している。

 流経大柏は今季ダブル昇格を狙っている。トップチームがプリンスリーグ関東で2位。今回のプレミア参入戦の出場権を得た。そして、Bチームが千葉県1部リーグを優勝した。同じチームのA、Bが同じリーグに所属することはできないため、トップチームがプレミア昇格を果たせずに残留すると、Bチームは県リーグから昇格できない。プレミア昇格が決まれば、Bチームはプリンスリーグ関東の参入戦(23、25日)に出場することができる。

 1回戦突破を手繰り寄せた守護神は「Bチームがプリンスリーグ関東の参入戦に出られるかどうかが、僕たち(のプレミアリーグ昇格)にかかっている。自分たちの勝利だけを背負っているわけじゃなくて、チーム全体を背負っているので、そのためにも負けられない」と、「1つ目の昇格」を果たす決意を語った。ピンチを止めて、チャンスにつなげる頼もしい男の目には勝利しか見えていない。

(取材・文 平野貴也)
●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ

TOP