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関東2位・順天堂大が4発逆転勝利!九州産業大は開始早々のリード守れず

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FW杉田真彦(4年=静岡西高)の2ゴールを含む4得点で勝利した順天堂大

[12.16 全日本大学選手権2回戦 順天堂大 4-1 九州産業大 浦安市陸]

 第66回全日本大学サッカー選手権大会は16日、2回戦を行った。浦安市運動公園陸上競技場での第1試合は、順天堂大(関東2)が九州産業大(九州3)に4-1で逆転勝利し、関西大(関西4)との準々決勝に駒を進めた。

 最初にスコアが動いたのは前半2分だった。キックオフから圧力をかけた九州産業大が開始約30秒、ゴール斜め左30mの位置でFKを獲得する。キッカーはボランチのMF末永巧(3年=東福岡高)。ゴール前の密集地に浮き球を供給すると見せかけ、回転がかったシュートをニアポスト際に放つと、GK佐藤久弥(1年=東京Vユース)の手をかすめたボールがゴールネットをそのまま揺らした。

 関東2位の順天堂大は、U-20日本代表のタイ遠征に参加しているFW旗手怜央(2年=静岡学園高)を欠く中、早々にビハインドを負う展開。しかし、そこに焦りはなかった。堀池巧監督は「まだ1分。先制した相手が引いてくるのは分かっていた」とゲームプランは変えず。5-4-1のブロックで固める九州産業大に対し、サイドを広く使って最終ラインから攻撃を組み立て、徐々にボールを前へ進めていった。

 すると前半5分、すぐさま順天堂大が試合を振り出しに戻した。DF坂圭祐(3年=四日市中央工高)の縦パスを受けたMF石上輝(3年=堀越高)がPA内に浮き球のスルーパス。プルアウェーの動き出しからフリーで抜け出したFW浮田健誠(2年=柏U-18)が左足ボレーで叩き込んだ。

「ずっと2年間、ああいう動きをしろと言ってきた。ようやくできるようになったので良かった」。そう目を細める堀池巧監督が、念入りに教え込んできたという形で舞い込んだ大型FWの同点弾。指揮官は「その1点が入ったのがすごく大きかった。チームを勢いづけた」と手放しで称えた。

 その後も徹底的にボールを握る順天堂大が九州産業大の守備陣を攻め立てるが、堅いブロックの前に決定的な一打は繰り出せない。それどころか、ときおり激しく寄せてくるプレスに横パスをかっさらわれ、両翼のDF行武誠萌(4年=神村学園高)、DF山口慶希(3年=熊本国府高)の高速カウンターを受ける場面もあった。

 それでも前半34分、順天堂大はMF貫場貴之(4年=富山一高)が右サイドに展開したボールに対し、攻め上がったDF鈴木啓太郎(2年=帝京高)が鋭いクロス。ニアで構える九州産業大ディフェンスを越えたボールがファーに流れると、ボランチの位置からPA内に走り込んだMF名古新太郎(3年=静岡学園高)が頭で合わせ、前半のうちに逆転に成功した。

 いずれの得点も順天堂大らしい崩しが発揮されたというよりは、アクセントとして繰り出した大きな展開が結実した形。それについて堀池監督は「ポゼッションは目的ではなく手段。相手の状況を見ることが大事」と述べたうえで、「相手がフラットな陣形だったので、対角のボールが使えると指示していた。狙いどおりの形だった」と前向きに振り返った。

 1点リードで迎えた後半も、順天堂大が主導権を握った。6分、名古のボール奪取から迎えたFW杉田真彦(4年=静岡西高)のシュートチャンスはGK加藤大喜(4年=神村学園高)がブロック。それでも同10分、右サイドに上がった名古のボールキープを起点とし、PA内に攻め込んだ浮田の左足シュートのこぼれ球に杉田が詰め、リードを2点に広げた。

 さらに順天堂大は後半16分、相手ビルドアップのミスを突いた貫場が敵陣深くでインターセプトすると、フリーの杉田にパス。これを落ち着いて決めて、スコアを4-1とした。同21分には、来季からツエーゲン金沢への加入が決まっているDF毛利駿也(4年=山梨学院高)に代え、負傷明けのDF原田鉄平(4年=静岡学園高)を入れるなど、次の試合を意識した起用も行った。

 ところが、九州産業大も意地を見せる。後半30分が過ぎたあたりから、絶妙なポジショニングを取る末永を起点に勢いのある攻撃を展開。途中出場のMF田原伊織(3年=長崎日大高)が正確なテクニックで相手をかわすと、MF関恭範(4年=福岡U-18)が立て続けに決定機を迎えた。

 しかしながら、順天堂大ディフェンスの攻守にも阻まれ、得点には至らず。「相手に合わせて堅くやっていこうと取り組んできた。チームとしてやろうとしていたことを最大限やってくれた」(森下仁之監督)という九州産業大だったが、2年ぶりのインカレは2回戦で姿を消すこととなった。

 順天堂大は18日の準々決勝で、関西大と対戦することが決まった。堀池監督は「攻守のバランス」がカギになると指摘。「この試合のように先に失点してしまうと、(関西大は)守り切る力がある。トーナメントでは守備を慎重にやらないとダメなので、1点以内に抑えたい」とこの一戦で表れた課題の解消を誓っていた。

(取材・文 竹内達也)
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