beacon

守りに守った関西大が歓喜のベスト8!“アクシデント続発”の明治大はパワープレー実らず

このエントリーをはてなブックマークに追加

関西大FW加賀山泰毅(3年=JFAアカデミー福島)が決勝PKを沈めた

[12.16 全日本大学選手権2回戦 関西大 1-0 明治大 浦安市陸]

 第66回全日本大学サッカー選手権大会は16日、2回戦を行った。浦安市運動公園陸上競技場での第2試合は、関西大(関西4)が明治大(関東4)を1-0で下した。18日の準々決勝では順天堂大(関東2)と対戦する。

 最後の最後まで猛攻を繰り出し続けたが、明治大のスコアは最後まで動かなかった。栗田大輔監督は試合後、「最後のところで相手ディフェンス陣を崩せないのはこのチームが今年勝ちきれなかった課題」と敗因を指摘。「関西大がよく身体を張って守ったと思います」と相手チームを称えた。

 互いに紫色をチームカラーとするチーム同士の対戦は、プレースタイルも似通った戦況を呈した。互いに前線からのプレッシングで相手ボールホルダーに圧力をかけるため、どちらもリスクを避けるロングボールを多用。序盤から最終ラインの背後にボールを蹴り込み合う展開が続いた。

 ところが前半10分、明治大をアクシデントが襲った。最前線に入っていたFW小柏剛(1年=大宮ユース)が接触で目を負傷。大事を取って病院に直行するため、MF富田光(3年=中京大中京高)と交代した。指揮官も「ゲームプランが狂ったのは事実」と認める苦しい立ち上がりとなった。

 前半15分すぎまでは、MF中村健人(2年=東福岡高)のキックで相手守備陣に脅威を与えた明治大だったが、徐々に関西大のチャンスが増える。しかし、前半30分、MF塩見仁(4年=興國高)のパスを受けたDF黒川圭介(2年=大阪桐蔭高)のミドルは枠外。同36分、塩見のクロスに反応したFW加賀山泰毅(3年=JFAアカデミー福島)のヘッドも不発に終わった。

 それでも関西大は前半38分、DF羽田健人(2年=金光大阪高)のボール奪取からチャンスをつくる。中央でボールを受けたMF藤村洋太(4年=京都橘高)が右サイドに展開すると、ドリブルで攻め上がった加賀山がクロス。これが明治大DF山崎浩介(4年=大宮ユース)の手に当たったとして、PKが与えられた。

「チームメートの『行けるやろ』という声」に後押しされ、ペナルティースポットについた加賀山は、「相手のGKが先に動いたら逆に蹴ろうと思っていたんですが、それが見えなかったんで端っこに蹴り込んだ」と左へシュート。同じ方向に飛んだGK長沢祐弥(3年=藤枝東)の手をかすめてゴールネットに吸い込まれ、関西大が貴重な先制点を手にした。

 1-0で迎えた後半は、一進一退の攻防。関西大は3分、MF塩谷仁(3年=磐田U-18)のボール奪取を起点にFW竹下玲王(4年=磐田U-18)がGKと1対1の場面を決められず、明治大は同6分、中村の右CKに山崎が頭で合わせ、GK白澤慶志郎(4年=関西大一高)を脅かし。

 激しいせめぎ合いで互いに心身の負担が大きくなる中、選手交代でフレッシュな選手を入れていく両チーム。そこで再び明治大にアクシデントが襲う。後半21分、接触プレーで大黒柱のDF柴戸海(4年=市立船橋高)が立ち上がれなくなり、DF鳥海晃司(4年=千葉U-18)と交代でピッチを退いた。

 まずは1点が欲しい明治大は、フォーメーションを3-4-2-1に変更。「矢印を前にしようという狙い。そんな練習もずっとやってきた」(栗田監督)というオプション布陣で攻勢にかかった。その後は、CBの中央に入ったDF岩武克弥(3年=大分U-18)、左ストッパーのDF袴田裕太郎(3年=浜松開誠館高)らが鋭いボールを前線に繰り出し続けた。

 しかし、関西大には「高さに特長がある」(前田雅文監督)という“壁”が並んでいた。4バックのうち3枚が身長185cm級。ハイボールをDF鯉沼晃(4年=大宮ユース)、DF荒木隼人(3年=広島ユース)らがしぶとく跳ね返し続け、良い形で相手攻撃陣にボールを渡さない。

 残り10分となった後半36分、明治大はMF岸本英陣(4年=帝京大可児高)を投入したのを合図に、パワープレーを開始。自陣での間接FKではほぼ全員をPA内に送り込み、徐々にCBの山崎や袴田を最前線に上げるなど、いよいよ捨て身の攻撃に乗り出した。

 それでも関西大は、途中投入されたFW永松秀麻(4年=関西大北陽高)らが相手ボールホルダーに圧力をかけ続け、精度の高いボールを蹴らせず。最後は持ち場を離れてまで高い打点のヘディングを繰り出し続けた荒木がファウルを受けて時間を稼ぎ、1-0のまま歓喜の笛を迎えた。

 関西大の前田監督は試合後、「うちは2点も3点も取れるチームじゃない。守備は意識の問題なので、協力してやることを意識している」と勝因は堅守にあったと指摘。準々決勝の順天堂大に向けては「これだけ消耗させられたのでバテていると思うが、代わりのメンバーもしっかりいる。全員でやっていけばチャンスはある」と関東勢の強豪相手の連勝を誓った。

(取材・文 竹内達也)
●第66回全日本大学選手権(インカレ)特集

TOP