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追い付かれても突き放す…夏の全国王者・法政大、びわこ大に競り勝ちベスト4進出!

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勝利が決まって喜ぶ法政大メンバーと、立ち尽くすびわこ大DF宮大樹(写真右)

[12.18 全日本大学選手権準々決勝 法政大3-2びわこ成蹊スポーツ大 栃木市]

 第66回全日本大学サッカー選手権大会は18日、準々決勝を行った。栃木市総合運動公園陸上競技場では、夏の総理大臣杯王者の法政大(関東5)がびわこ成蹊スポーツ大と対戦。2度にわたって追い付かれながらも3-2で競り勝ち、関西大(関西4)との準決勝に進んだ。

 法政大が勝ち越せば、びわこ大が追い付く――。得点経過に対して過度に一喜一憂せず、地道に前へ進み続けた両者の一戦は、そんな構図で流れていった。しかし、最後は3度目の勝ち越し点を挙げた法政大に軍配。長山一也監督は「2回追い付かれても悲観することなく、前向きにプレーできたのが良かった」と胸を張った。

 序盤はお互いにリスクを避け、ロングボールを多用する展開となったが、球際で優位に立った法政大が一方的にチャンスをつくった。前半4分、MFディサロ燦シルヴァーノ(3年=三菱養和SCユース)が左足ボレーでゴールを狙うと、同12分には右足シュートも披露。同15分には、MF末木裕也(2年=甲府U-18)のCKからゴールを脅かした。

 すると前半17分、立ち上がりからの勢いままに法政大がスコアを動かした。中盤でボールを持ったMF森俊貴(2年=栃木ユース)が長いドリブルで攻め込むと、右サイドに鋭いスルーパスを配給。受け取ったMF紺野和也(2年=武南高)のカットインシュートはGK岡田慎司(4年=松山工高)に阻まれたが、こぼれ球を森が押し込んだ。

 最終ラインを中心に元気な声が飛び交うびわこ大も、武器のセットプレーを活用してチャンスをうかがう。前半27分、MF青山景昌(2年=名古屋U-18)のFKにDF宮大樹(4年=清明学院高)が合わせたが枠外。同42分には、勢いのある攻撃からPA内でMF佐藤諒(2年=藤枝明誠高)が倒され、PKを獲得した。

 狙いを持って繰り出した厚みのある攻撃で、決定的なチャンスを呼び込んだ。キッカーは2トップの一角に入っていたFW井上直輝(2年=立正大淞南高)が担った。後半44分、落ち着いた助走から右にふんわり流し込み、良い時間で同点に追い付いた。

 1-1で迎えたハーフタイム明け、びわこ大ベンチが早速動いた。U-20日本代表MF堂安律(フローニンゲン)の兄であるMF堂安憂(4年=創造学園高)に代わって、MF喜多村知範(4年=八頭高)を投入。セカンドボールが拾えずに停滞していた攻撃陣にテコ入れを施した。

 しかし、後半も先に得点を奪ったのは法政大だった。13分、末木の右CKに対して、びわこ大ゴール前にエアポケットが発生。果敢に飛び込んだMF大西遼太郎(2年=磐田U-18)が右足ダイレクトで合わせ、再び突き放すことに成功した。同15分には、ディサロに代わって、U-20日本代表のタイ遠征から帰国したばかりのFW上田綺世(1年=鹿島学園高)がピッチに立った。

 長いボールを有効に使いたいびわこ大は後半23分、ゴール前の混戦から決定機を創出。攻撃参加をしていた186cmの宮が相手クリアボールを何度もヘディングで弾き返すと、浮いてこぼれたボールが再び宮の足元へ。迷わずボレーで狙ったが、大きく上に外れてしまった。

 法政大は徐々に攻め込まれる時間帯が増え、GK関口亮助(4年=浦和ユース)、センターバックのDF森岡陸(1年=磐田U-18)を中心に激しく味方へ指示を飛ばす。しかし後半35分、びわこ大は喜多村のサイドチェンジを受けたDF柳田健太(4年=熊本ユース)が右サイドを駆け上がり、中央へのアーリークロス。ニアサイドに飛び込んだ井上が2点目を決め、再び同点に追い付いた。

 それでも「総理大臣杯の成功体験は大きかった」(長山監督)という法政大に、無用な焦りはなかった。それどころか、球際の部分やセカンドボールの処理など「勝つためにすべきこと」を徹底。すると、FW松澤彰(2年=浦和ユース)、MF清谷陸(4年=広島皆実高)を投入した采配が見事に的中した。

 法政大は後半44分、連動したプレスで相手ボールホルダーに圧力をかけると、宮のパスを松澤がインターセプト。そのままボールを持った松澤が相手を抜いてPA左に走り込み、右足でゴールを狙った。ミートは十分ではなかったが、宮の股下を抜いたボールはファーサイドネットへ。指揮官が「良い時は本当に良い選手」と太鼓判を押す189cmの長身FWがこの日3回目の勝ち越しゴールを挙げた。

 もう後がないびわこ大は、競り合いに強い宮を前線に上げ、パワープレーを展開。後半アディショナルタイム、PAわずかに外で獲得したFKの場面では、GK岡田も最前線まで攻撃に関わり、土壇場での同点弾を狙った。しかし、ラストプレーでクリアボールが清谷にカットされ、無念のタイムアップ。今季の関西王者がベスト8で姿を消すこととなった。

 一方の法政大は、優勝を果たした総理大臣杯に続くベスト4進出。21日に行われる準決勝の相手は、これまで明治大と順天堂大を連破してきた関西大に決まった。「前線の選手は調子が良く、全体的に点を取れる雰囲気は出てきている」と手応えを感じる長山監督は、「強いチームとできるのが全国大会の良いところ。そこでまた自信を深めていきたい」と自然体で意気込んでいた。

(取材・文 竹内達也)
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