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流経大が延長戦で福岡大破りベスト4進出!両指揮官も賞賛の好ゲームはジャーメインの劇的PK弾で決着

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流通経済大がベスト4進出を決めた

[12.18 全日本大学選手権準々決勝 福岡大2-3(延長)流通経済大 柏の葉]

 第66回全日本大学サッカー選手権(インカレ)準々決勝が18日に行われ、流通経済大(関東3)は福岡大(九州1)と対戦し、延長戦の末3-2で勝利。2度のリードを追いつかれて接戦となった流経大だが、延長後半終了直前にハンドの判定によりPKを獲得。FWジャーメイン良(4年=流通経済大柏高/仙台内定)が冷静に沈め、2014年の優勝時以来となる3年ぶりの準決勝進出を決めた。

 福岡大の乾真寛監督も「今日は本当にガチンコの真っ向勝負を、互いにそれを望むところだって戦いをした」というように、序盤から終始激しい肉弾戦が続く。均衡を破ったのは流経大。前半29分、中盤のFKをDF小池裕太(3年=新潟ユース)が左足で蹴ると、DFアピアタウィア久(1年=東邦高)が頭でそらし、最後にDF今津佑太(4年=流通経済大柏高)が押し込んだ。

 しかし福岡大が鮮やかな同点弾を決める。前半36分、中盤でパスを受けたFW山下敬大(4年=九州国際大付高)が前方を確認して右足を一閃。流経大の中野雄二監督も「DFがどうこうじゃなく、相手を称えるしかない。本当に素晴らしいゴール」という右足ミドルで同点に追いつき、1-1のまま前半を終了する。

 前半押し込まれる場面が多かった福岡大だが、後半から徐々に勢いを取り戻す。後半14分には右サイドから切り崩し、最後は山下のパスを途中出場のFW梅木翼(1年=立正大淞南高)が右足シュート。惜しくもゴール右ポストに当たって枠を外れるが、得点のチャンスをつくり始めた。

 両者ともに決定機をつくりながらも得点は生まれず。激しいファウルやカードが出る場面が増えていったが悪質さはなく、まさしく“デュエル合戦”となった。後半アディショナルタイム2分過ぎには、途中出場のMF渡邉新太(4年=新潟ユース/新潟内定)がPA左に入り込み、相手DFの隙間を縫うシュートを放つが、GK永石拓海(4年=高川学園高/C大阪内定)のファインセーブに阻まれ、1-1のまま延長戦に突入した。

 すると、延長前半2分に流経大が待望の追加点。後方からのフィードをつないでPA左のアピアタウィアが大きく蹴り出し、ファーサイドのジャーメインが折り返すと、最後は渡邉が頭でゴールに押し込んだ。歓喜に沸く流経大だが、福岡大も諦めムードにはならず。その姿勢を貫き通した結果、福岡大は同11分に再同点弾を決める。

 福岡大は左サイドをパスで崩していくと、DF石田皓大(3年=高川学園高)がクロスを上げる。PA内のFW梅田魁人(2年=高川学園高)が落としたところで相手DFに一瞬の隙が生まれ、そこを山下が冷静にゴール右に決めた。2-2と再び試合を振り出しに戻し、両指揮官ともにPK戦を覚悟していたが、試合は思いがけない形で終了を迎える。

 延長後半アディショナルタイム2分過ぎ、流経大はFKの跳ね返しを再びPA内に放り込むと、福岡大DF中田永一(3年=四日市中央工高)にハンドの判定が下されてPKを獲得。会場中がどよめく中、冷静なジャーメインはゴール左に決め切り、得点直後に試合終了。流経大が劇的な形で120分間の戦いを制し、準決勝へと駒を進めた。

 接戦を制した中野監督は「最後までどっちが勝ってもおかしくないゲーム」と両チームの選手をねぎらう。セットプレーでの2得点については「福大さんの高さをすごくケアしようと思っていたのに、逆にセットプレーで圧倒できたかなっていう面では、思った以上の成果が出た」と手応えを感じていた。他試合では前回王者・筑波大、関東第2代表の順天堂大が敗れたため、「かなりチャンスはある」と優勝を視野に入れ始めた中野監督。「課題をもっと修正して、もっと展開できるゲームをしたい」と意気込んだ。

 一方、乾監督も「今日はベスト8だけど決勝戦だと思って戦った。大学サッカーの中で、多くのJリーガーや代表選手を輩出している両大学ががっぷり組んだ立派なゲームだった」とこちらも両チームの選手を称えた。それだけに最後のPKに腑に落ちないところも垣間見せつつ、「セットプレーから同じ形で2回やられたってことは、最後のPKでなく自分たちに敗因を求めるのであれば、それかなって」と試合を振り返る。「最高に誇らしく思うくらい、誰一人諦めることなかった」と選手たちへの思いを語る乾監督。「敗者は何を言っても敗者だからしょうがないけど」と前置きをしつつ、「勝者に値するだけの試合をした」と胸を張ってピッチを後にした。

(取材・文 石川祐介)
●第66回全日本大学選手権(インカレ)特集

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