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“1冠目”で長期離脱、“2冠目”を影で支えたDF坂口祥尉の決意「またFC東京のエンブレムを…」

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“総監督”と呼ばれている東京ドロンパ人形を抱えるFC東京U-18DF坂口祥尉(3年)

[12.17 高円宮杯チャンピオンシップ FC東京U-18 3-2(延長) 神戸U-18 埼玉]

 見違えるほどに伸びたボブカットが、ピッチから離れていた日々の長さをあらためて感じさせた。FC東京U-18DF坂口祥尉(3年)は“今季1冠目”の日本クラブユース選手権(U-18)大会準決勝で、右膝前十字靭帯断裂という大怪我を経験。高校生活最後となった一戦も夏の決勝戦と同様、スタンドから声援を送っていた。

 しかし、想いは戦う選手たちと共にあった。「前日に監督とかチームのみんなから『ユニフォームを持ってきて』と言われて、その時点でうれしかった」。迎えた試合当日、背番号2の青赤ユニフォームはベンチに掲げられ、表彰式ではDF岡庭愁人(3年)、DF長谷川光基(3年)に大切そうに抱えられていた。

 そんな光景は坂口が怪我をして以降、チームで見せてきた立派な振る舞いの証でもあった。「けがをして何度か落ち込むこと、暗くなるときもあったけど、チームのみんなが明るく振る舞ってくれて、自分の気持ちも楽になった。そこで自分に何ができるかと考えて、試合前の声かけや、練習に気持ちよく入れる雰囲気作りを心がけた」。

 そういった行動の数々は、負傷離脱した選手たちにひときわ響いた。秋にかけて岡庭、MF小林真鷹(3年)が立て続けに負傷し、共にリハビリを経験した際には、「(復帰までのブランクは)俺より長くないだろう」と明るく元気づけた。そしてこの日、2人が一足先に実戦復帰。坂口は「ピッチに立ててうれしかった」と自分のことのように喜んでいた。

 もちろん、サッカー選手である以上、プレーできない悔しさはあったという。しかし、それは「みんなが知らない悔しさ」(坂口)として封じ込め、自らの役割を徹底した。ピッチで優勝を経験できない寂しさも「サポーターの方が自分のことのように応援してくれているのが、スタンドにいたからこそ感じられた」と前向きに捉え、「この怪我をしたから感じられることが多くあったので、マイナス面だけじゃなく、プラス面で捉えています」と笑顔で口にした。

 そんな愛され系ムードメーカーは今後、大学に進学する予定。「大学ではこのクラブを離れることになりますが、しっかり4年間やって、このクラブで今度は自分がピッチに立ちたい。またFC東京のエンブレムを背負い、心の底から喜べるようになろうと思います」。さまざまな経験でつかんだ強い決意は、そう簡単に揺らぎそうにない。

(取材・文 竹内達也)
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