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インカレでは守護神は渡さない…流経大の清水内定GK新井が好セーブ「最後は気持ち」

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GK新井栄聡(4年=西武台高)は最終盤にビッグセーブを見せて流経大を勝利に導いた

[12.21 大学選手権準決勝 東京国際大1-2流通経済大 柏の葉]

 最後まで集中力を切らさなかった。流通経済大(関東3)のゴールを守るGK新井栄聡(4年=西武台高)は延長後半アディショナルタイム3分、東京国際大(関東6)のMF安東輝(4年=浦和ユース)に打たれたミドルシュートを好セーブで弾き出す。直後に試合終了のホイッスル。背番号21の清水エスパルス入団内定GKは、「みんなが繋いでくれた結果だと思う」とチーム力の勝利に胸を張った。

 東京国際大戦には燃えるものがあった。埼玉県坂戸市出身の新井にとって、東京国際大は実家からは車で10分ほどに位置する地元の大学。東京国際大が今季より関東1部リーグに昇格したことで、対戦を楽しみにしていた大学の一つだった。だがいきなり今季の開幕戦で激突し、新井が先発したが、1-2で敗戦。第2節からはGKオビ・パウエル・オビンナ(2年=JFAアカデミー福島)にレギュラーの座を明け渡すことになった。

 その後もアミノバイタル杯と天皇杯予選で出場はあったが、リーグ戦の出場はなし。7月に清水への入団内定が発表になった新井だが、9月には左手首を骨折し、離脱を余儀なくされた。「骨折した時にはインカレも間に合わないかもしれないと言われていて、ガクッときた」。ただ幸いにも怪我が手首だけだったため、下半身を動かすことは出来た。そのため、フィールドプレーヤーの練習に加わって、コンディションを整えてきたのだという。

 そしてインカレに間に合わせた新井に、絶好のチャンスがやってきた。オビ・パウエル・オビンナが森保ジャパンの初戦となったM-150杯に招集されていたことで、インカレ初戦となった16日のIPU・環太平洋大戦に出場できなくなったのだ。「オビが代表で間に合わないとなったので、初戦は俺だろうなと思った。それが分かってからは、出場に向けてコンディションを合わせていった」。環太平洋大を完封すると、続く福岡大戦も2失点ながら延長戦勝利に導く。そして準決勝でも好セーブを見せて、母校を3年ぶりの決勝に導いてみせた。

 流経大にとって3年ぶりの決勝の相手は、夏の総理大臣杯との2冠を狙う法政大に決まった。今季関東リーグ戦の対戦成績は1勝1敗。ただここまでくれば相手は関係ない。「最後は気持ちの強いチームが勝つというが本当にその通りだと思う」と気合を入れ直した新井。「メンバーに入れない選手の思いが、自分のプレーに宿ればいいなと思います」と意気込んだ。

(取材・文 児玉幸洋)
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