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周囲の予想を「ひっくり返すことができた」。昌平に会心勝利の矢板中央がプリンス関東昇格王手!

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後半34分、矢板中央高MF飯島翼が直接FKを決めて先制!

[12.23 高円宮杯プリンスリーグ関東参入戦1回戦 矢板中央高 2-0 昌平高 埼玉第2G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2018プリンスリーグ関東に参入する2チームを決める「プリンスリーグ関東・参入決定戦」の1回戦が23日に行われ、矢板中央高(栃木)が昌平高(埼玉)に2-0で勝利。矢板中央は25日の参入決定戦で日本航空高(山梨)と戦う。

「選手権で当たる可能性があるので、ここで一発違いを見せようと思っていた。周りの人は絶対昌平が勝つと予想していたと思うんですけれども、自分たちはひっくり返すことができた。自信になる勝利でしたね」。矢板中央のU-17日本代表MF松井蓮之(3年)は、今年の埼玉5冠王者で選手権のV候補にも挙げられている昌平から勝ち取った白星に、会心の表情を見せていた。

 最終ラインからショートパスとドリブルを交えて前線までボールを運ぶ昌平に対し、矢板中央は前線のターゲットであるFW望月謙(2年)へロングボールを放り込み、そのセカンドボールを拾ってからの攻撃やカウンターで押し返していく。

 拮抗した前半。矢板中央は高橋健二監督が「昌平さんにボールを持たれると思っていたので、我々の守備意識との駆け引きの勝負になると思っていた」と振り返ったように、ボールを握られ、縦パスを通されても最後局面で人数を掛けてその攻撃をブロックして見せる。

 昌平はパス交換からPAに切れ込んだMF古川勇輝(2年)が左足シュートを放つなど相手にプレッシャーを掛け続けるが、帰陣が速く、しっかりと守備ブロックを作って待ち構える矢板中央ゴールをこじ開けることができない。対して、競り合いでの強さやスピードといった特長を持つ矢板中央は、攻撃面でも十分に一発の怖さを示しながら試合を進めていく。

 0-0のまま迎えた後半の12分、昌平は右クロスからFW渋屋航平(2年)が決定機を迎えたが、矢板中央はGK山梨卯月(3年)がビッグセーブ。その後も昌平が中央、サイドから仕掛ける回数を10回、15回と増やして守りに穴を作ろうとするが、矢板中央は崩れない。29分に昌平FW森田翔(2年)の放ったヘディングシュートがクロスバー直撃。すると34分、我慢強く守りながら、カウンターを狙い続けた矢板中央が待望の1点を奪い取る。

 矢板中央は交代出場FW山下育海(3年)の好守からボールを奪った松井が一気に前進。敵陣中央右寄りの位置でFKを獲得する。そして、キッカーの交代出場MF飯島翼(2年)がキック直前に判断を変えてファーサイドへ左足シュート。見事な弾道を描いた一撃がクロスバーを叩いてゴールラインを越えた。

 雄叫びを上げて喜ぶ10番・飯島と矢板中央イレブン。昌平はすぐに反撃へ出るが、CB石井優輝主将(3年)が「(交代出場の)テクニックのある選手や、スピードのある選手に自分たちの足が止まった時にやられてしまった」と悔しがったように、前半から次々と投入されて来る矢板中央のアタッカー陣に勝負どころで決定的な仕事をされてしまった。42分、矢板中央は左オープンスペースへ走り込んだ松井がそのまま深くえぐってラストパス。これを山下が左足で決めて、勝負の行方を決定づける。我慢強い守りと交代出場したアタッカー陣の活躍によって、矢板中央が2-0で快勝した。

 矢板中央は選手権3回戦で対戦する可能性のある昌平に勝利。選手権に向けて弾みをつけると同時に、プリンスリーグ関東昇格まであと1勝とした。高橋監督は「(来年、プリンスリーグで)やらせたい。ここまで来たらあと1勝。勝ち取りたいですね」と頷き、松井は「(前評判の高かった昌平を倒し、)矢板中央の名前を全国に知らせられたかなと。これからプレッシャーもかかると思うんですけれども、跳ね返せるように。まずは明後日(25日)、プリンス参入戦に勝てるようにしていきたいです」と意気込んだ。チームにとって大きな1勝。矢板中央がもう一つ白星を勝ち取り、最高の形で選手権を迎える。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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